宙船

2024-07-11 13:16:37 | フォーク&ニュー・ミュージック
 TOKIO


広島メンネルコール  



その船を漕いでゆけ おまえの手で漕いでゆけ
おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな

その船は今どこに ふらふらと浮かんでいるのか
その船は今どこで ボロボロで進んでいるのか
流されまいと逆らいながら
船は挑み 船は傷み
すべての水夫が恐れをなして逃げ去っても

その船を漕いでゆけ おまえの手で漕いでゆけ
おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな

その船は自らを宙船(そらふね)と 忘れているのか
その船は舞い上がるその時を 忘れているのか
地平の果て 水平の果て
そこが船の離陸地点
すべての港が灯りを消して黙り込んでも

その船を漕いでゆけ おまえの手で漕いでゆけ
おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな

何の試験の時間なんだ 何を裁く秤(はかり)なんだ
何を狙って付き合うんだ 何が船を動かすんだ
何の試験の時間なんだ 何を裁く秤なんだ
何を狙って付き合うんだ 何が船を動かすんだ

その船を漕いでゆけ おまえの手で漕いでゆけ
おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな
その船を漕いでゆけ おまえの手で漕いでゆけ
おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな





TOKIOに提供した「宙船 (そらふね)」ですが、元々は中島みゆきさんが自身のオリジナルアルバム『ララバイSINGER』の主柱にする曲として

作詞・作曲していた楽曲でした。

ところが、時同じくしてジャニーズ事務所より「TOKIOのボーカル長瀬さんに合う曲は無いか」とのオファーがあり、それを受けて「宙船」がTOKIOに

提供されたのだそうです。

このことは、「TOKIOに委ねることによって派手な柱になって帰って来るのも悪くないと思った」とみゆきさん自身がツアーのMCで語っています。

そして、後に中島みゆきのアルバム『ララバイSINGER』(2006年11月22日発売)にセルフカバー曲として収録されます。

ところで、この曲、ジャニーズ事務所所属の5人組アルドルバンド“TOKIO(トキオ)”が唄った日本テレビ系土曜ドラマ「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」

(2006年7月8日~9月16日放送)の主題歌でしたよね。

ドラマの人気とともにこの曲が収められたTOKIOのシングルはロングヒットとなり、初めてジャニーズ系のタレントに楽曲を提供したみゆきさんは、

この作品で「第48回 日本レコード大賞」の“作詩賞”を受賞しています。

2006年11月22日発売のアルバム「ララバイSINGER」でセルフカバーしていますが、もともとこのアルバムの為に用意していた曲でした。

TOKIOが受取ったデモテープの“仮歌”はコーラスの宮下文一が担当していたため、レコーディング前にTOKIOのメンバーはみゆきさんの唄声は聴いていません。 

今、自分はどこでふらふらしているのだろうか。

今、自分はどこでボロボロになりながらも頑張っているのだろうか。

人や世の悪意に呑まれまいと必死に自分を保ちながら、足掻き、時には心に傷を負う。

たとえ見てくれている人や助けてくれる人がいなくても、まるで自分のことを歌ってくれているかのようだと思われた、思われる方も。

誰も助けてくれる人はいないのに、こんなに力強く自分のことを歌ってくれているのだ、・・・涙ボロり。
























































































































































































































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リンゴの花が咲いていた

2024-07-11 06:26:07 | Jポップス
藤 圭子 



森昌子 



リンゴの花が 咲いていたよ
別れの駅は 遠かったよ
さようなら さようなら
おさげの人は 見えなくて
花だけ白い 花だけ白い 道だったよ

お城が空に 浮いていたよ
お岩木山は 月だったよ
さようなら さようなら
好きだと知った そのあとの
瞼にしみる 瞼にしみる 夜だったよ

リンゴの花が 咲いていたよ
リンゴのような 人だったよ
さようなら さようなら
心の中で 呼びかける
津軽は夢の 津軽は夢の 国だったよ





原曲は、1966年7月発売された佐々木新一「リンゴの花が咲いていた」でした。



佐々木 新一  




リンゴ、その名称は、平安時代の辞書『和名類聚抄』に「利宇古宇(りうこう、りうごう)」としてリンゴが記述されており、これが転訛したものと

言われています。

花言葉は、「優先」「好み」「選択」

その他

リンゴの実

「誘惑」「後悔」

リンゴの木

「名誉」


花言葉の「優先」は、リンゴの美しい花が後の有益な果実の先触れであること。

「選択」の花言葉は、ギリシア神話のトロイア戦争の原因となった「パリスの審判」にちなむと言われています。

実の花言葉の「誘惑」「後悔」は、ヘビにそそのかされたイヴとアダムが禁断の果実を食べ、エデンの園を追放されたという旧約聖書の『創世記』に由来。

神によって創造された人類の始祖アダムとイヴは、エデンの園で、神に禁じられていた「知恵の木の実」(善悪の知識をもたらすいわゆる「禁断の果実」)を

食べてしまいます。

蛇がイヴをそそのかし、イヴが先に食べ、アダムにも実を渡したのです。

その結果彼らは楽園を追放されました。

「失楽園」です。

キリスト教はこれを人間の「原罪」の起源とみなします。
 
この「禁断の果実」、いつのまにか「リンゴ」だということになりました。

食べたアダムとイヴは、突然、自分たちが裸であることに羞恥を覚えて、イチジクの葉で陰部を隠します。

つまり彼らは、たがいが男であり女であること、性的欲望をもって互いを求める性的存在であることに覚醒したのです。

「知恵の木の実」の「知恵」は「善悪の知識」だということになっていますが、このとき彼らは、「善悪」よりも先に、性的存在として、恋愛をこそ知ったのだ、

だから羞恥を覚えたのだ、というのが私マスターの解釈です。

(「知恵の木の実」を禁じていたユダヤの神は、たぶん、人間に、自分たちが性的存在であること、つまりは神でなく人間であることを、知らせたくなかったのでしょう。)
 
つまり、このエピソードは、「恋愛」の起源です。

人類の始祖同士による人類の「初恋」なのです。

そして人類の始祖による「初恋」は、神の計画にそむく初めての「罪=原罪」だったのです。
 

(「神」でないことを知った彼らはエデンの園を追放されます。失楽園です。

そして、追放されたときから、男は労働の、女は妊娠出産の、苦痛を背負うことになります。

なぜ? 永遠の生命を失い、死なねばならなくなったからです。

生殖によって子孫を残さなければならなくなったからです。

生殖=結婚するために、男と女は「恋愛」をしなければならなくなったからです。

ほら、だからこれは人類の始祖による「初恋」であり、初めての「罪」だったのです。)
 
このとき、イヴがアダムにリンゴの実を差し出しました。

人間の男が女の差し出す「薄紅の秋の実に人こひ初めしはじめ」でした。
 
藤村の「初恋」で、「君」が「われ」に「やさしく白き手をのべて」リンゴを与えるのは、イヴとアダムの起源の行為を反復しているのです。
 
それなら、無邪気にして清純な「初恋」を謳ったとされる藤村の詩の背後にも、「恋=罪」という観念が隠されているかもしれません。

結婚が「家」存続のためだった時代です。

「自由恋愛」はたしかに「家」からの逸脱可能性を秘めた「罪」でした。

「恋」を知り初めた若い二人は「罪」をも知り初めたのです。




























































































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昭和放浪記

2024-07-11 04:22:58 | Jポップス
水前寺清子


女の名前は 花という
日陰の花だと 泣いていう
外は九月の 雨しぶき
抱いたこの俺 流れ者
女は教えて 二十一
しあわせ一年 あと不幸
枕かかえてはやり唄
 歌う横顔あどけない・・・





この曲「昭和放浪記」、1972年10月にリリースされた水前寺清子の48枚目のシングルです。

水前寺清子のために狙い撃ちで書いた、とは阿久悠さんの後日談。

作曲を小林亜星に頼んだのも、思いがあってのことだったそうです。

その甲斐でしょうか、この曲で水前寺さんはこの年『第23回NHK紅白歌合戦』に出場しています。

しかし、当時は伝説的な大ヒットと囁かれましたが、ヒットすることもなく、結局は隠れた名曲どまりで終わってしまいました。

 昭和の時代を生きた男が、その時代の悲しみ、悲恋、未練を”これも我が人生”と想い起こす哀愁感いっぱいの名曲だとマスターは思うのですが。

ところで、1972年に「昭和放浪記」を書いた阿久悠は、歌詞が出来上がったときにいい手応えがあったので、凡庸な演歌の作品で終わらないようにと、

あえてポップス系の小林亜星に作曲を依頼したのだそうです。

その後に隠れた名曲と呼ばれたことについて、阿久悠さんはこのように述べています。

「これは演歌好きの人からは、隠れた名曲のように言われている。

別に隠したつもりはなかったが、ただもう一つ売れなかっただけである。

それでも、詞ができた時も、曲がついた時も、レコーディングが終わった時も、

かなかの盛り上がりで、もしかしたら、伝説的な大ヒットとささやかれたのだが、

結局は隠れた名曲どまりであった。

この『昭和放浪記』はねらいうちのように、水前寺清子のために書いた。」

水前寺清子は1970年に放映されたテレビのホームドラマ「ありがとう」が高視聴率を取って、シリーズ化されたことから俳優としても人気を博していたが、

歌手としてはヒット曲が途切れている状況にありました。

新進気鋭の作詞家としてヒットメーカーになっていた阿久悠に、がらりと作風が変わる危険を見越したうえで楽曲を依頼したのは、

歌でも新境地をひらきたいという目論見があったからでしょう。

1971年から72年にかけて阿久悠が作詞した作品のリストを見ると、ほとんどがポップス系の曲であったことがわかります。

そのなかで演歌と呼べそうなものは、わずかに内山田洋とクールファイブの「この愛に生きて」と「恋歌」、そして藤圭子の「京都から博多まで」ぐらい。

だから当時の阿久悠には、水前寺清子のトレードマークともいえる応援歌、いわゆる元気が出て威勢のいい歌の路線を継承するつもりはなかったといいます。

このとき作曲を指名された小林亜星は1年前に阿久悠とコンビを組んで、「ピンポンパン体操」という幼児向けの楽曲で思わぬメガヒットを飛ばし、

その余韻がさめない頃でした。

作詞するにあたって阿久悠さんは、劇画か任侠映画のような人物設定にしたうえで、場所もはっきり昭和初期の女郎屋とわかるようにしたとのこと。

だが1コーラスが4行の典型的な演歌の歌詞だったので、小林亜星の書いた曲は見事過ぎるくらいに演歌そのものという作品になりました。

自分たちの新しい面を発見した阿久悠と小林亜星はレコーディングが終わった後も、いい作品が出来上がったと思って満足していました。

だから関係者たちもヒットを予感していたらしいですが、実際にレコードが発売されると意外なことに、まったくといっていいくらいヒットしませんでした。

小林亜星はヒットしなかった要因のひとつとして、編曲とサウンドについてこんな感想を述べています。

「なかなかドラマチックな、映画の1シーンを見てるような歌です。

ちょっと浪曲調のところがあり、小杉仁三さんという方のアレンジがモダンジャズ的なアレンジで、ちょっとその違和感がありすぎたかもしれませんが、

ぼくにとっては素晴らしいアレンジで、もう一度世に問いたいと思っている曲です。」


























































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初恋の丘

2024-07-11 00:03:58 | 由紀さおり
由紀さおり




まぶしく輝く 青い大きな空も
ときどき 私の ものじゃないふりをする
まぶたに うかんで くるの初恋の丘
決して 恋などしないと 誓ったのに
あなたと笑って あなたと歩いて
あなたと祈って あなたと夢みた
ちょっぴり涙流したこともあったわ
大人になってもひとりぼっちはつらい
初恋の丘へも一度戻りたいな

お嫁にゆくことだけが 道じゃないけど
やっぱり ひとりじゃ 生きてゆけないのかな
あなたと笑って あなたと歩いて
あなたと祈って あなたと夢みた
ちょっぴり 涙 流したこともあったわ
大人になっても ひとりぼっちはつらい
初恋の丘へ も一度帰りたいな
お嫁にゆくことだけが 道じゃないけど
やっぱり ひとりじゃ 生きてゆけないのかな





この曲、マスターの年になって聞いてみるとやたらと歌詞が胸に染みます。

何でだろ。(笑)

ところで、「初恋の丘」と言うと思い出す曲がこの曲です。



クロード・チアリ




初恋は遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの

室生犀星ではありませんが。































































































































































































































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