周五郎

2017-07-28 21:24:09 | 日記

 大学に入るまで一冊の本も読まなかった。それが、大学に入って夢中で本を読み漁った。折しも、学園紛争のさなかであり、それの影響が大きかったのだろう。ともあれ知恵や知識に飢えていたのだ。講義のいくつかは面白いのもあったのだろうが。それよりも梅原猛がちょうど仏教を学び始めた頃で、その連続講義が、新宿の本屋でありそれはずいぶん強烈な印象だった。だから、仏教学はもちろんだけど、哲学、思想、文学などと時間が足りなくて、はぁはぁいうかんじで学校にはろくに行かずに、本読みに精を出していたんだ。小説は漱石やドストエフスキィやヘッセが好きで、ほとんどのものは読んだと思う。けれど、個人全集をしっかり読んだのは、山本周五郎ただ一人である。

 哲学の本に集中して読んだら、なんというかアタマが鉄アタマのようにかんじて、その疲れを取るのに周五郎の本を開くのだ。たいがいは数頁読むとそれだけで、なにやら安心して眠れたのだ。それが時には、哲学などは放ったらかしにして、朝から朝まで周五郎漬けになったこともある。

 唐突になんでこんなことを書くのかって。最近友が、周五郎を読んだ。ずいぶん興奮したなどと、はやしたてるもので、どれどれという感じで読み出したのだ。読まなくては、などと思っている本が机の横に積まれているのだ。それらをよけて、周五郎にはまってしまったのだ。昼は薪造りで夜はしばらくで眠ってしまうのが、このところ寝不足気味で、いやはやなのである。

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