新聞紙上に今月から漱石のこころを連載している。
大学に入るまで本など開いた事もなかったものが、最初に真剣にページをめくったのが、漱石だった。それ以来ぼくのなかでは今でも、漱石とドストエフスキィとヘッセは時折り開いてきた。けれどここ数年は読む機会がなかった。
日常の暮らしの中で、小説を読む時が少なくなったのがさみしい限りである。そんなこともあって久し振りにこころを読んでいる。
折しも、宮部みゆきが書いておりこれも冬の頃から読み出して、展開のすばらしさ、文体の読み易さに引かれて読んでいる。
それで、こころである。これが大正の初め頃に書かれたものとはとうてい思えない。文体があたらしいんだという事を、再確認しながらたのしんでいる。