芝居茶屋とは

芝居茶屋とは
今では死語となってしまった芝居茶屋と言う制度があった。この茶屋は戦前にはかすかに残っていたがどうやら明治期にその役目が終わってしまったようである。
　江戸時代芝居興業を宣伝するために考えられた仕組みで、芝居茶屋の人達は得意先に芝居の番付け、つまり新しい芝居の内容を得意先に配達して芝居に見に来るように催促していたようである。顧客は芝居茶屋から見やすい桟敷席を予約して取ってもらい茶屋の案内で桟敷に向かい芝居の合間の食事の手配もおこなっていた。今泉みねの『なごりの夢』に芝居見物の話が出てくるが幕末の歌舞伎見物は浅草に小屋があったため芝居の前日から準備があり当日かなり早く船に乗って浅草に向った様子が書かれている。
　明治になって芝居茶屋が料理茶屋に転換し、今残っているのが料亭となっている。芝居茶屋の仕組みが現在まで残っているのが相撲茶屋というもので国技館の桟敷席をとろうと思ったならば相撲茶屋から手配してもらわなければならない。茶屋の案内によって桟敷席に座るのだが弁当やお土産が付いて４人で座るにはかなり狭い。相撲興行は朝早くからおこなっていて江戸時代の歌舞伎興業も早朝からおこなっていたので相撲見物の様子から当時の見物客の様子が想像できる。
　『かべす』とは菓子・弁当・寿司のことで桟敷席を取れない人達の食事で芝居茶屋の人達から桟敷席をとれない見物客を見下す軽蔑した言葉でもあった。
　明治の時代は転換期で福神漬の歴史から色々な販売先を探っていたようである。相撲見物は時代劇を見ていると考えるとちょんまげも当然のこととなる。力士は男芸者と見ることもできる。