稲村亭日乗

京都の渓流を中心にルアーでトラウトを釣り歩いています

トラウト釣りから見た笙の川

2024年08月20日 | トラウト
 笙の川との出会い
 トラウト釣りでは、
ぼくは特定の川に固執せず、なるべく多くの川に入ることにしてきた。

 そうしているうちに出会ったのが笙の川で、その後の最大のお気に入りとなった。

 何がいいのか?といえば、ひとつには遊漁期間全体を通じてよく釣れること、
もうひとつはこの川で釣れるトラウトが、元は放流されたものであっても、
自力で繁殖し、生育するものが多いと思われることからだった。

     

 漁協のていねいなアマゴ放流
 笙の川は日本海に注ぐ。

 当然、元々はヤマメの川だ。

 ところが、ぼくが通い始めたころ、釣れるのはヤマメでなくアマゴばかり。

 これは漁協が釣り人の要望に応え、
長年アマゴを放流してきたからで、この事情は美山川(京都)などと同じだ。

 そこでぼくはぜひとも在来種のヤマメを釣ってみたいものと思い、上流にもよく足を運んだ。

 例えばこの水系の一部を成す黒河川での体験。

 林道をずんずんさかのぼり、山深い釣り場に到着。

 「このあたりまで来ればヤマメか?」
 と思ったが、釣れるのは朱点鮮やかなアマゴばかり。

     

 そこから釣り上がり、大堰堤に遭遇。

 「この堰堤の上ならヤマメがいるのでは?」

 いやそこもアマゴ、さらに・・・。

 いやはや、こんな最上流部までアマゴだとは!

 しかも、この状況は、支流の五位川や麻生川などでも同じなのだ。

 ここを管轄する漁協(敦賀河川漁協)は
なんと広くていねいにアマゴを放流していることか! 

 ぼくには驚きだった。
  
     

 アマゴからヤマメへの転換はしたけれど
 ところが、2014年だったか、県の指導で放流はヤマメに戻された。

 漁協事務所でこの話を聞いたとき、ぼくは思った。

「それはいいこと。すると、笙の川では
これから急速にアマゴからヤマメに変わっていくことになる」と。

 で、ほぼ10年後の現状はどうだろう。

 確かに本流部、中流部ではヤマメが優勢だ。

 しかし、少し上流部にいくと今もアマゴが優勢なのだ。

 これは何を語っているのか?

 つまり、ヤマメは中流部あたりで放流されるが、
堰堤にはばまれ、上流には向かえないのだ。

     

 その結果、既存のアマゴたちは堰堤の上流で居続けることになる。

 これは昔と違い、今の漁協の放流範囲がかなり狭くなっていることの証だろう。

 豊かな笙の川 生き延びるアマゴたち
 が、他方では、アマゴたちの健在ぶりはすごいことでもある。

 笙の川、エサ釣師も含め、釣り人はけっこうおり、持ち帰る人もいるはず。

 それでも、追加放流がなくとも、
彼らは上流部でたくましく自力で世代交代を重ねているわけなのだから。

 冒頭に記したぼくにとっての笙の川の魅力はここにあった。

 いずれにしても、この川が
永遠にトラウトたちを生み育てる豊かな川であり続けてほしいものだ。

 笙の川、ずいぶん楽しませてもらった。

 ありがとう、さよなら。

     

 付記
 なお、ぼくとしては笙の川だけを特別視して賞賛するつもりはない。
 他にもトラウトたちが自力で豊かに世代をつないでいる川も少なからず見聞きしてきたからだ。
 こうした川がこの先もずっとその力を保ってくれることを願うところだ。
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2 コメント

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Unknown (釣魚遊人)
2024-08-21 00:23:40
魚に罪はありませんね。
国内魚、外来魚共に
人間が生態系を乱してるのです。
ただ、笙の川の環境や水質が良いからアマゴは、生き延びているのです。
これは、評価すべき事です。
堰堤を魚が、行き来出来るような対策がされれば尚良いですね。
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笙の川 (神田)
2024-08-22 20:45:32
>遊人さん、コメントありがとうございます。
 文面のとおり、ぼくは笙の川についてそう感じてきました。ぼくの主観に過ぎるのでないことを祈りつつです。
 いい川であったおかげで、釣り人を呼び寄せ、だからこそぼくらも知り合いになれたんですね。
 この先もずっといい川であってほしいです。
 
 
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