人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

馳 星周著「少年と犬」を読む ~ 岩手県から熊本県まで5年をかけて辿り着いた一匹の犬の使命と運命:直木賞受賞作

2023年09月16日 06時48分53秒 | 日記

16日(土)。わが家に来てから今日で3168日目を迎え、ロシア訪問中の北朝鮮の金正恩総書記とロシアのプーチン大統領は贈り物を交換したが、プーチン氏は「何度か宇宙に行った」宇宙服の手袋とロシア製のライフルを贈り、金氏は北朝鮮製の銃などを贈った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     どっちの銃が優秀か プーチャンと金ちゃんが向かい合って撃ち合いしてみたらどう

 

         

 

昨日、夕食に「お肉やわっやわっ鶏のガリチー煮・スパゲティ添え」を作りました 今週中はビールを飲まないのでスパゲティをいつもより多めにしました

 

     

 

         

 

馳 星周著「少年と犬」(文春文庫)を読み終わりました 馳 星周(はせ せいしゅう)は1965年、北海道生まれ。横浜市立大学文理学部卒業後、出版社勤務を経て、フリーのライターに 96年にデビュー作「不夜城」がベストセラーになる。98年「鎮魂歌(レクイエム)不夜城Ⅱ」で日本推理作家協会賞長編部門、99年「漂流街」で大藪春彦賞、2020年「少年と犬」で第163回直木賞を受賞しました

 

     

 

本書は「男と犬」「泥棒と犬」「夫婦と犬」「少女と犬」「娼婦と犬」「老人と犬」「少年と犬」の7篇から成る連作短編集です

「男と犬」では、東日本大震災で被災した宮城県仙台市を舞台に、運転手として窃盗団に手を貸す中垣和正と、震災で飼い主を亡くしたシェパードの雑種「多聞」との出会いが語られます

「泥棒と犬」では、窃盗団の一員であるペルシャ人のミゲルが逃走を図り新潟県に向かい、そこで「タモン」を放すが、ミゲルは何者かによって銃殺されるという物語が語られます

「夫婦と犬」は、富山県に住む中山大貴・紗英夫妻がその犬に出会い、大貴は「トンバ」、紗英は「クリント」と名付けるが、大貴がトンバとともにトレイルランニング中、滑落事故で死んでしまうというストーリーです

「少女と犬」では、東尋坊で死のうと思った永野瑠衣がその犬に出会い「マックス」と名付け、生きる希望を取り戻していくストーリーが語られます

「娼婦と犬」では、滋賀県で娼婦の美羽がその犬と出会い「レオ」と名付ける ギャンブラーの晴哉のため風俗店で働くが、浮気を知って晴哉を殺害してしまう 自首を決意しレオを京都の山中に放つという話が語られます

「老人と犬」では、島根県で猟師を営む片野弥一がその犬と出会い「ノリツネ」と名付ける 弥一は膵臓癌を患っており、ノリツネは疎遠となった娘の代わりに、自分を看取るために使わされたと信じている 弥一は猪狩りの最中、仲間の猟師の誤射によって死亡してしまうというストーリーが語られます

「少年と犬」では、岩手県釜石市で東日本大震災に被災し、熊本県に引っ越してきていた内村徹が「多聞」と出会い、家族で飼うことにする 息子の光は大震災の経験から心を閉ざしていたが、多聞との交流で心を開くようになる しかし、熊本大地震が起こり、多聞は落下物から光を守るため庇って死んでしまう その後、光と多聞は5年前に宮城県の自宅近くの公園で会っていたことが判明する、というストーリーが語られます

「多聞」は人前に現れる時にはいつも空腹で、満身創痍の状態です しかし出会った人は、放っておくことが出来ない親しみを感じ、食物を与え、動物病院に連れていき治療を施します 助けられた恩返しをするかのように、多聞は人に癒しを与えます 人はこう思います。「この犬は自分に出会うためにやってきたのだ」と しかし、多聞は常に西の空を眺めています。そこで人は思います。「この犬は西の地方に行きたいのだ。そこに会いたい人がいるに違いない」と そういう多聞に”選ばれた”人たちの配慮によって多聞は西の方へ、西の方へと移動していきます そしてついに会うべき人に会い、彼の命を救って死んでいきます

本書は、「多聞」という名の犬が、行く先々で別の名前で呼ばれ、人々を癒しながら西の地方を目指して移動していく姿を描いている一方、それぞれの物語の登場人物の生き方や生き様を描いているとも言えます

犬で思い出すのは、子ども時代に近所に住んでいた「ジロー」という名前の犬のことです ジローを飼っていた家が川向うに引っ越してしまい、何年もジローを見ない月日が経ちました ある日、仕事から帰ってきた建具職人の父が「今日、ジローに遭ったぞ」と興奮気味に話しました 川向うに仕事に行った父が、帰りがけに橋の近くでジローによく似た年老いた犬に出逢ったので、「ジローか?」と声をかけると、しっぽを振って嬉しそうにすり寄ってきたそうです 父は頭や身体を撫でてあげたといいます 「犬は人の顔や声をよく覚えているもんだなあ」とさかんに感心していました 言うまでもなく犬は頭が良い動物です 本書を読んでずいぶん昔のことを思い出しました

コメント (2)
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