人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「METライブビューイングアンコール2023」でプッチーニ「ラ・ボエーム」を観る ~ 前日「蝶々夫人」を歌ったクリスティーヌ・オポライスが急きょ代役でミミを歌うサプライズ

2023年09月04日 06時19分01秒 | 日記

4日(月)。昨日、東銀座でMETライブビューイングを観た後、時間があったので何年ぶりかで新宿のタワーレコードに行ってみました ビルの9階と10階がタワーレコードですが、クラシックは10階です。10階のフロアに着いて店内を見渡して驚きました。前に来た時はほとんどワンフロア全部がクラシック売場だったのが、何と10分の1くらいの狭いスペースに縮小していました 代わりに他のジャンルの売り場が増えていたのですが、さらに驚いたのはLP復刻ブームを反映してLPの売り場がかなり広いスペースを占めていたことです キャッチフレーズも「NO MUSIC、NO LIFE」とともに「NO VINYL、NO LIFE」(VINYL=アナログ盤)が併用されていました クラシックCDのあまりの少なさにショックを受けました もう二度とこの店に立ち寄ることはないでしょう 頼りは渋谷店ですが、余程のことがない限り行かないと思います

ということで、わが家に来てから今日で3156日目を迎え、ロシアでは1日に始まった新学期から、ウクライナ侵攻を肯定する新しい歴史教科書を導入し、軍事ドローンの操縦も学校で教えるなど、子供のころからプーチン政権のプロパガンダを刷り込み、親政権の「愛国者」をつくる狙いがある  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアが戦争に負けて プーチンが失脚したら 教科書はどう書くのか 楽しみじゃね?

 

         

 

昨日、東銀座の東劇で「METライブビューイングアンコール2023」のうちプッチーニ「ラ・ボエーム」を観ました これは2014年4月5日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 出演は、ミミ=クリスティーヌ・オポライス、ロドルフォ=ヴィットーリオ・グリゴーロ、ムゼッタ=スザンナ・フィリップス、マルチェッロ=マッシモ・カヴァレッティ、ショナール=パトリック・カルフィッツィ、コルリーネ=オレン・グラドゥス。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、指揮=ステファーノ・ランザーニ、演出=フランコ・ゼフィレッリです

 

     

     

オペラ「ラ・ボエーム」はジャコモ・プッチーニ(1858-1924)がアンリ・ミュルジュ原作「ボヘミアンたちの生活情景」に基づき、ジュゼッペ・ジャコーザとルイージ・イッリカの台本により1892年から95年にかけて作曲、1896年2月1日にトリノ・レッジョ劇場で初演されました

物語の舞台は19世紀半ばのパリ 詩人ロドルフォは、画家のマルチェッロなど3人の仲間と共に、将来を夢見て屋根裏部屋での貧乏生活に耐えている 3人が街へ繰り出して1人残ったロドルフォのもとに、同じ屋根裏に住むお針子ミミが火を借りにくる。ミミが落とした鍵を闇の中で探すうちに手が触れ合い、2人は恋に落ちる(以上第1幕)

大賑わいのカフェ・モニュス。ロドルフォはミミを仲間たちに紹介する そこにマルチェッロの昔の恋人ムゼッタが、金持ちの老人と連れ立って登場する 昔の恋人の気を惹きたいムゼッタが自分の人気ぶりを歌うと、カフェの騒ぎも最高潮に達する ムゼッタはマルチェッロたちと合流し、勘定は老人に押し付けてしまう(以上第2幕)

パリの郊外の居酒屋前。マルチェッロを訪ねたミミが「ロドルフォが嫉妬深いので別れるしかない」と訴える しかしロドルフォの本意は「貧しいわが身ではミミの薬も買えない」と不治の病にかかったミミを案じての別れだった ロドルフォはミミと回想に浸り、マルチェッロはムゼッタの浮気を罵りつつ、ともに別れていく(以上第3幕)

男たちは再び屋根裏部屋の共同生活に戻る 一同が陽気に騒いでいると、ムゼッタが身体が弱ったミミを連れて来る ベッドに寝かし、皆は治療のための工面を図る ロドルフォとミミは最初の出会いに思いを馳せるが、ミミは咳の発作に襲われ、皆が戻った後に、密かに息を引き取る ロドルフォは「ミミー!」と叫び 亡骸にすがりつく(以上第4幕)

 

     

 

開演に先立ち METピーター・ゲルブ総裁がステージ脇に登場、驚くべき主役交代を告げました

「皆さまにお知らせがあります ミミを歌う予定のアニータ・ハーティッグが風邪のため、本日出演できなくなりました 今朝7時半にハーティッグからメールがあり、風邪を引いてしまいどうしても歌うことが出来ないということでした そこで、昨日「蝶々夫人」のヒロインを歌ったクリティーヌ・オポライスに急きょ電話を入れ、何とか引き受けてもらいました 再びMETに来てもらい、衣装合わせを済ませて準備が整いました ヒロインを歌い、その翌日 別のオペラのヒロインを歌うのはMET始まって以来、彼女が初めてです 皆さま、どうか彼女を応援してあげてください

これに関して、オポライスはジョイス・ディドナートによる幕間のインタビューで、

「蝶々夫人を歌い終わって、家に帰って寝たのですが、公演の最終日の夜はなかなか寝付けないのです 今朝の5時頃やっと寝付いたと思ったら、7時半にゲルブ総裁から電話が来たのです

と語っていました。ディドナートが「その時、どう返事したの?」と訊くと、

「断りました

でも彼女は引き受けたのです ディドナートが、「あの公演、観ていたそうね」と言うと、

「そうなんです。それで多少、事前に全体の流れが把握出来ました

と答えていました つまり、ライブビューイングの収録は初日公演に限らないということです METでは2,3作のオペラ公演が同時並行で上演されているので、オポライスはハーティッグのミミを事前に観て観察することが出来ていたということです そうは言うものの、前日の公演から24時間経たないうちに、別のオペラのヒロインを歌うなど常識では考えられません 彼女は、

「プロとして、引き受けるべきだと思いました

と語っていましたが、これぞプロフェッショナルの鏡と言うべきでしょう 本当のプロはいつでも準備が出来ているということだと思います ゲルブ総裁はインタビューで「こういうことはよくあることです」と語っていましたが、すぐに代役を引き受けることが出来るオポライスのような優秀な歌手陣が揃っているMETだからこそ、平然と言えるセリフだと思いました

第1幕冒頭のロドルフォとミミの「冷たい手を」「私の名はミミ」は、当時人気急上昇中のイタリア出身のグリゴーロとラトヴィア出身のオポライスにより、センチメンタルでノスタルジックに歌い上げられました この作品に限らず、プッチーニってこういう感動的な音楽をたくさん作っていますね

生き生きしていたのはムゼッタを歌ったアメリカ出身のスザンヌ・フィリップスです ムゼッタは彼女の当たり役です

本公演の大きな特徴はフランコ・ゼフィレッリによる豪華な演出です とくに第2幕「カフェ・モニュス」の100人を超す人々が登場する絢爛豪華なシーンが印象的です

私は2011年のMET来日公演でゼフィレッリ演出による「ラ・ボエーム」を観ています 6月8日(水)NHKホールです。ミミは当初アンナ・ネトレプコが歌う予定でしたが、東日本大震災に伴う東電の原発事故の影響で来日せず、代わりにバルバラ・フリットリが歌いました ロドルフォはMETの看板テノール、ピョートル・ベチャワが歌い、ムゼッタをスザンナ・フィリップスが歌いました 指揮はファビオ・ルイージです ゼフィレッリの演出で「ラ・ボエーム」のライブビューイングを観ると、あの日の来日公演を思い出します

 

     

 

METライブビューイングアンコール「ラ・ボエーム」の上映時間は幕間のインタビュー、2回の休憩を含め約3時間です 今後の東劇での上映予定は9月15日(金)14時15分、同20日(水)19時の2回です

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