トンネルの向こう側

暗いトンネルを彷徨い続けた結婚生活に終止符を打って8年。自由人兄ちゃんと天真爛漫あーちゃんとの暮らしを綴る日記

猜疑心

2006-05-24 18:58:17 | 
夫から退職金が2回に分けて入ると言われた時、イヤーな気持ちになった

「後から入るから」この言葉に何度振り回されただろう

毎月1回必ず出張があった
その出張日が後払いになったからと言われ先にホテル代、食費代を渡す
でも帰ってきてもなかなか貰ってくる様子がない

忙しい時期になると月に2回、3回となる
1回に2万くらい渡すとかなりの負担になる

次の給料までいつ持ってきてくれるだろう
明日だろうか、明後日だろうか
夫に聞いても「今日は経理の人休んでたから」
「今日は忙しくて外回りで会社に行っていないから」等
あまりしつこく聞くと「うるさい!」と怒鳴られた

そのうち夫は「会社が苦しくて出張費が1万しか出なくなった」と言った
「少し多めにくれ。接待の約束があるから」と言って結局2万は持って行った

ある日夫が「今年、燃料手当て(北海道では冬の暖房費の手当てがでる)がいつ出るか分らない」と言った
毎年8万は出る
冬の暖房には灯油代が結構かかる
これが出ないと本当に生活がきつい

「会社の状態が苦しいんだから仕方ないだろう」と言われた
毎年9月には出る
11月にはそれなりにストーブを焚く日が増える

10月になっても11月になっても支給されない
「今月は?」「会社が何か言っていた?」と聞いても
「分らん。」「何も言ってない」としか言わない

ある日9月の給料明細だけがない事に気がついた
「ねえ。9月の明細を貰っていないよね」と聞くと
「失くした」と言った

嫌な予感が胸に広がる
でもそれ以上聞く事ができなかった
週末皆で車で出かけて夫がガソリンスタンドに寄った

スタンドのメンバーカードをダッシュボードから出そうとした時
他の紙と一緒に給料明細が落ちた
拾って見ると9月の明細だった
「こんなところに合ったよ」と言うと夫がギョッとしたように見た

私は中を開くとそこには燃料手当ての欄に9万の金額が書き込まれていた
「9万って書いてあるよ。税金も引かれてる。なんで?」

「だから渡した事にして先に明細に載せてあるんだって」
「はあ?現金渡さないうちに税金引くなんて事ありえないんじゃないの?」

「ありえなくてもそう会社に言われたんだから仕方ないだろう!」とムッとして言った
その時点で「あー嘘だったんだな」と思った
もうそのお金はまた会社の穴埋めに使ったんだと思った
(本当は借金の返済だったらしいが私は気がつかなかった)

借金の事が言えないとしても、持って行ったお金が戻らないのなら戻らないと初めから言ってくれれば何日も何日もお金が戻ってくるのか、来ないのかと悩まなくても良かったのにと何度も思った

戻ってこないんだと諦めるまでにどれ程苦しむだろう
戻ってこないと言うことは夫が嘘をついた事になる
「だって、会社がそう言っているんだから。信じられないなら自分で電話でも何でもすればいい」と穿き捨てるように言われた

会社になどどうして電話できるだろうか
明らかに嘘だと思うのに証拠を夫に突きつける事もできない
結局騙された振りをするしかない

夫は嘘をつくがそれを隠すことがめちゃくちゃ苦手だ
不安を消す為に必要以上に私にベタベタとくっついて表情を伺う

「もう信用したかな?」
「もうこの話は終わりにしてくれるかな?」
夫の心の中の声が手に取るように分る

夫は無理やり私を笑わそうとする
笑えやしない
お金は戻ってこないと分って今月はどうやって暮らそう

どうせ戻ってこないならこの何ヶ月も寝ないで悩んだのはなんだったんだろう
やっぱり嘘だったんだ

怒りと失望で笑うことなど出来ない
無表情でいると
「何だってんだ!人が気を使ってやってるのに!」と怒鳴り
「ほらー!」と自分の財布からお金を取り出し私に投げつけた
「これでいいんだべ!明日の出張は野宿すればいんだべ!」とドアをバタンと閉めて出て行く

まるで私が悪い事をしたかのように植えつける
結局「良いよ。何とかなるから」と卑屈に笑うしかなかった

夫はホッとしたように「悪かったね。本当に大丈夫?」と猫なで声をだして私の頭を撫で続ける

私は背中に走る虫唾をじっと耐えて我慢した
こんな事を何度も何度も繰り返して私の中の夫は壊れていった
信じたい。でも信じられない
信じられない。でも信じなきゃ
そんなジレンマの中でグルグルと周って今まで来た

退職金の一回目は退職したその日に振り込まれた
残りがなかなか振り込まれない

銀行へ行って記帳するたびに肩ががっくりと落ち、足元から崩れるような不安に陥る

もしかして会社の退職金も前借して残りは出ないんじゃないだろうか
それを確かめたくても夫の返事は全く信用できない
夫はきっと「後から出るって会社が言ったから」としか言わないからだ

もう夫の言葉は信じない
目で見えるものだけ信じる

そして昨日銀行から
「まとまったお金が振り込まれました。良かったら利息の良い運用をしませんか」と電話が来た

良かった・・・・
出たんだ。涙が出そうになった
夫は嘘をついていなかった

夫と暮らすと決めた以上
これからも何度も同じことが繰り返されるだろう
私は猜疑心と戦っていかなければいけないんだ

そしてその疑いを1つずつ夫が晴らす事で私の中の夫はまた1から積まれていくのだ
事実だけを見て積み上げて行くしかないんだろうなって思う

とにかく本当に残りの退職金が入って良かったーーーー。










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2 コメント

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痛いほど分かります (nao)
2006-05-25 04:36:35
元夫はお金に関してのトラブルではないですが、

自分が悪くても私が納得せざる手段を使う人でした。

なぜ、私が謝るの?

なぜ、私が悪いの?

そんな事ばっかりで、

未だに来る電話でも、変わってないです。



ご主人、今までのことを改めよう、

ちっこさんの信用を取り戻そうと頑張ってるんじゃ

ないでしょうか?

今回の事でちっこさんの気持ちも少し変わってきたように思います。
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naoさん (ちっこ)
2006-05-25 16:41:01
人の弱味につけ込むのが上手いんでしょうね

どうやったら私をねじ伏せられるのかを無意識に感じ取る特技を身につけているんだと思います



どんなに悔しくてもその罠に嵌ると抜け出せませんでした



また1から積みなおしです

今度は積む積み木をちゃんと選んで積んでいこうと思っています



自分の心に正直に積んでいきたいですね

急がずゆっくりと



naoさん、ありがとう
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