トンネルの向こう側

暗いトンネルを彷徨い続けた結婚生活に終止符を打って8年。自由人兄ちゃんと天真爛漫あーちゃんとの暮らしを綴る日記

最終日

2006-04-28 10:41:18 | 元夫婦
もうとっくに辞めた様な気分になっていたけれど長い有休が遂に終わり
今日で夫が本当に退職する

1週間位前から必要な手続きをしに会社に行っていた
夫から「悪いんだけどお金用意できる?」と言われた
「幾ら?」

「20万・・・会社の人や会社から借りていた分がある。それも整理したいから」と言われ、細かく内容を書いたプリントを渡された
前に私が「人にお金を借りて平気で返さない貴方は軽蔑されているだろう」と言った事が堪えたらしい

「とにかく全ての膿みをだすよ。全て清算して真っ白になりたい」と言った
次の日にお金を用意して渡した

まだ任意整理の方は進んでいない
でも受理されたらしく夫の携帯に借金の請求がぴったりと止んだ
夫は「ビックリするくらい静かになったな」と言った

毎月、毎月6社からもの請求は凄かった
家にいてもひっきりなしに携帯が鳴っていた
幾ら鳴っても夫は携帯に出ようとしなかった
「携帯鳴ってるよ」と言っても
「良いんだ。変なところからのメールだから」と言っていた

あれが全て消費者金融からのものだったのだなんて本当に気がつかなかった
自分のお気楽さにあきれてしまうくらいだ

返済の電話が止まって夫が
「なんか、頭がようやくハッキリしてきた。周りが良く見えるような気がする
いろんな事が考えられるようになってきたよ」と言った

「それは良かったね。毎月最低でも7万は用意しなきゃいけなかったんだから、電話攻撃も凄かっただろうし、やっと返してもまたすぐ返済日が来るような気がしなかったかい?」

「そうなんだ。いっつも返済の事で頭がパニックになって、仕事どころじゃなかった。その上おふくろや親父の事、会社の嫌な上司の事、次から次へと問題が出てきて二重人格見たいになっていたんだ。この問題に悩んでる自分と問題を排除している自分、もう何がなんだか分からなかったよ。
お前に見つけられて本当に良かったよ。
俺の背中を押してくれて本当にありがとう」と言われた

「弁護士の人に話せたことが良かったんだよ。もう1人で悩まなくて良くなった
んだから。隠す必要もなくなったんだし、色々問題があったってお父さんは言うけれど本当は問題はひとつだったんだよ
借金の問題が大きすぎてそれを紛らわすためにいろんな問題を自分でくっつけていたんだよ。」

「そうかもしれないね・・・・」としみじみと呟いた

その日は日曜日だった
夫に「スーパー銭湯に行かない?」と言われた
久々に大きなお風呂でゆっくりしたい気持ちもあって子供達を連れて出かけた

外は行楽日和で晴れていた
夫は大きく腕を伸ばすと
「あーーーー。もう競馬をしなくて良いと思うとホッとする。稼がなきゃ。当てなきゃって思わなくて良いかと思うと本当に嬉しい。日曜日を日曜日として暮らせるなんて本当に気楽だ」と言った

「もう競馬やりたくなくなったんだ。楽しくなかったんだ」と聞くと
「楽しくなかった・・・・」と言った

ここ数日夫は身辺整理をしていた
夫はとにかく物が捨てられない性格だった
お気に入りの記事が載った新聞すら捨てられない
片付けても片付けても夫の物で部屋が埋まっていく有様だった

新聞はスクラップにするわけでもなくただ積み上げられていた
それを全て縛って廃品回収にだした
自分の漫画の単行本も殆ど古本として売ってきた

家の中が突然ガランとした
「俺にしてはフットワーク軽いでしょ」と笑った
「うん。背中の錘が取れたようだよ」と言うと
「それを言うなって・・・・」だって

私の心の傷が消えたわけじゃない
夫への猜疑心も消えたわけじゃない

もちろんこれからも信用するわけでもない
借金夫と共存するためにはいつでも逃げられる用意を欠かすことはできない

お金も見えるところに置かない
財布の場所もその都度変える
子供や自分の通帳も置き場所を豆に変えるなど自衛策は欠かせない

それでも共存するからにはその他のところでは楽しく暮らそうと思う
全てが嘘だったわけじゃない
子供を愛している気持ちも本当だと思う

まだまだやる事は沢山ある
仕事も決まっていないし・・・・
私もやることが沢山ある

でも明るく前向きに進めたらいいなって思う
とりあえず今日は20年勤めた会社を退社する日なので
ささやかながらご苦労さんパーティーをやろうと思っている

子供達も飾り付けをすると張り切っている
昨日まで会社の恨みつらみを吐き出してやると言っていたが今朝になって
「なんか新しい自分になるための一歩だと思う事にするよ。」と言って出かけた

私の人生って本当にデコボコだけどそれでも前に進んでいくしかない
これが私の道だから、道端に花を植えながら少しづつ進んでいこうと思う

こんな時の子供達

2006-04-25 09:23:53 | 子供
夫の借金が発覚した時私は動揺していた
子供達に「ちょっとお父さんとお話があるからテレビ観ててね」と
息子に言った

悲しいかな息子はこういう事に凄く敏感である
「分かった。あーちゃんドラエモン見よう」とビデオをつけた

最初私は借金問題の事が信じられず半信半疑だった
本当に2年前の免許の事で手違いがあって送られた請求書なんじゃないかと
思っていた。そう思いたかった

だから話しもすぐ終わるだろうと思っていた
でも夫の口からでた言葉はそんな淡い期待も今までの積み上げたものも全て
足元から崩れ落ちる話だった

夫が泣きながら謝っているときに娘の声がドアの向こうから聞こえた
「お父さん泣いてるのかな?」
夫は慌てて我に返った
「あーちゃん。ドラエモンまた始まったよ。駄目だよ。お父さんとお母さん
話中なんだから」と息子の声が聞こえた

私は過去に何度も何度も息子を傷つけた
子供の前で喧嘩して、夫を罵声しいかにお父さんはお母さんに酷いことをしているかを子供に見せ付けたかった

子供を味方につけるために私は必死だった
その事は今も凄く私の罪悪感となって私を苦しめている

だからこそ今度の事だけは息子を巻き込みたくないと強く思っている
子供達の前で怒鳴りあったり、罵りあったり、泣いたり、愚痴ったり
そんな風に子供からエネルギーを奪ったりしたくないと思った

なるべく寝た後に話をしたり、どうしてもすぐ話が必要な時は
寝室へ行って「お話しがあるからね」と言ってからにした
息子には「今、ちょっとトラブルがあってお父さんと真剣に話さなきゃいけないことが出来た。でも心配ないからね」と説明した

話し合いが終わってなるべく平静を装ってその夜を過ごしたはずだった
夫とも普通に会話したし笑いも絶やさない様に心がけていた

私がパソコンに座ってぼんやりしていると息子が来て
私のパソコンを見ていた
いつまでもそこにいるので「なあに?パソコン使いたいの?」と聞くと
「いいや。」と言ったまま口を真一文字に結んでいた

「心配なの?大丈夫だよ」と言うと
「いや。心配じゃないよ。ただお母さんの苦しむ姿はもう見たくないんだ」と言った

咽に石が詰まったように苦しくなった
でも此処で泣いてはいけない。もう泣いてはいけないんだと思った
「お母さん大丈夫だからね。ちゃんとお父さんと話し合うからね。」それだけ言うので精一杯だった

息子は今でも私や夫の顔色を見る癖が抜けない
私と夫との間に何かが起きると必要以上にお手伝いをしたり、無理に明るくしようとしたりする
そんな姿が不憫だったり、時にはイライラしたりすることもある

前は「子供が心配しなくて良い。」とか「親の顔色伺うような事しないで」とか
叱っていたけれど今はどんな気持ちもありがたく受け取ろうと思っている
だってそれが息子の表現方法だから

心配する息子も、顔色を伺う息子も全て息子の気持ちなのだ
だから必要以上にお手伝いをしたがる時も「ありがとう。助かるよ」と言っておく
そんな風に受け止めていると息子はだんだん落ち着いて普段どおり
友達と遊んだり、ゲームをしたりするようになった

子供の前では泣かない。夫の悪口を言わない。
これはもう私の譲れない私の中の約束である

なぜか亡くなった祖母の言葉を思い出した
「ちっこ。心の中に一本の柱を持ちなさい。これだけは譲れないという柱だ
自分だけの真っ直ぐな柱を持ちなさい。
その柱を中心に気持ちをしっかり持てばどんな時も迷わずに行けるから」

ずっと忘れていた
子供の頃その柱を私は持っていたような気がする
その柱がある限り自分は強い人間だと自信を持って生きていたような
気がする
どんなに辛くとも、寂しくとも自分は1人でも生きて見せると意気込んでいた時があった

いつしか私は柱を失って誰かがいなければ、誰かを求めなければ存在価値を見出せない人間になってしまった

私はまた柱を立てた
ゆるぎない自分だけの柱
どんな時もその柱を中心に私はもう一度生き直そうと思う

子供に恥じないように、息子に「もうお母さんの苦しむ姿を見たくない」なんて言わせない為に・・・





借金問題と両親

2006-04-21 19:25:31 | 元夫婦
私は借金問題に親を巻き込んではいけないと思う
親に報告しても余程出来た親じゃない限り解決しないと思うからだ
結局問題を複雑にして終わるか、親が歳を取っていたら心配を増やしてしまうだけだと思う

という私も借金が発覚した時何度も「両親に言うから」と脅かした
それが1番良いことだと思っていた
しかし親にばれたくないからという理由で借金しない人がどれだけいるのだろうか

結局夫の両親に報告しても何も変わらなかった
夫を子供のように怒鳴りつけてクドクド説教して、そして尻拭いで終わり
その時は凄く嫌な思いをしても結局小さい子供の頃から繰り返されていたから
夫にとっては嵐が過ぎ去ったぐらいの気持ちしかない

今度はばれずに頑張ろう位の気持ちにしかならないのだ

結婚して1年の間に何度も何度も発覚した
その頃の夫は些細な事でもすぐに怒鳴り散らし私は玄関のドアが開く音すら脅えて暮らしていた

部屋を片付けていると夫の請求書や督促状などが次々と出てきても夫に直接聞くことができなかった

思い余って姑に相談した
姑は「ごめんね」と謝ってくれただけで舅に相談することも夫に助言してくれることもなかった
それどころか同居して夫を見張ると言った時には本当に落胆した
しかも姑に「お義理父さんにだけは言わないで」と懇願される始末だった

その日から親は当てに出来ないと自分を鼓舞して夫に詰め寄り
説教したり、なじったり、離婚をちらつかせたりしてあれこれやってみた
でも逆切れされたり、ふてくされたり、仮病に無言で結局いつも自分が折れるしかなかった

そのうち「お義理父さんに言う」と脅すようになっていった
これは本当に効いた
その言葉を言うと夫は心底反省したように見せた

「もうしない。もうない。」と言う言葉を聴くと本当に安心した
あんなに恐がっているお義理父さんにばれる事と比べたらもう絶対しない筈だ
と勝手に思い込んでいたのだ

夫の方は両親にばれないようにもっと上手く隠そうと必死になっただけだった

8年前に発覚した時は姑もさすがに入院中の舅に連絡したらしい
姑は「父さんが話があるから来て欲しい」と言ってると電話をくれた

その時には離婚届にもサインして2人で今度こんな事があったら覚悟しよう
という事でやり直しを決意した後だった

実家に行くと舅が「息子が借金をしていたって聞いたんだ。驚いて早めに退院してきたんだ」と言った
夫と2人2階へ上がりなにやら話していた

舅も自慢の息子の借金にショックを受けていたようだった
特に怒鳴り声も何も聞こえなかった
そのうち舅が1人で降りてきた

「あいつは何を聞いても答えない。どういう事なんだ。ちっこさん説明してくれ」
と言った後1.8リットル入りの焼酎をドンと足元に置いた
私は今までの結婚してからの借金の事を話した

舅は「あー。なるほど。」と真剣に聞いているようだったがその焼酎を飲むピッチの速さに驚いた
私の借金の話をまるで酒の肴のように聞いては飲み、相槌を打っては飲んだ
そして最後は「もうないのか?」と聞いた

「さあ?私には調べられないので分かりません。夫が本当の事を言わないので分からないし今まで嘘ばっかりだったので本人じゃないと分かりません」と言った

「そりゃそうだな。」と言った後
「じゃあ、今回は俺が出してやる。それで良いな」と言った

はあ?何が良いんだろう?と思った
私はそんなつもりで言ったんだじゃない
お金を出して欲しいとかそういう意味じゃない

後どれくらい借金しているのか本当の事が知りたかったのだ
もう借金はしないという確証と何に使ったのかという疑問を解決したかったのだ
だから協力して欲しかった

でも義理両親達は目の前の問題を解決してまた何事もないように暮らしてくれればそれで良かったのだ

私がそのお金を断ると舅は顔を真っ赤にして怒り出した
「人が払ってやるって言ってるんだ。受けとれ!」
焼酎の瓶は殆ど空になっていた

2階に逃げると夫と姑が「酒飲んでる時にそんな話をするお前が悪い」と怒り出した。
「話し始めたら飲みだしたんだ。飲んでいないときなんかないじゃない。じゃあいつ話せば良いのさ」と怒った

「さあ。帰るぞ」と夫はさっさと車に乗ってしまった
舅が怒って「金を受け取れ」と窓ガラスをドンドン叩いたけれど
「いりません。そんなつもりじゃなかったんですから」と言い張った

親が子供の借金を肩代わりしちゃいけないことぐらい私には分かっていた
1度やれば2度、2度やれば3度、そのお金を受け取ることで夫の中で
親が払ったんだから良いだろうみたいに私への罪悪感を帳消しにされるのが嫌だった

いつまでもいつまでもこの嫌な気持ちを引きずって、家の貯金を集めて質素に暮らす事が夫には大事なんだと思っていた

結局そんな風に財布の紐をがっちりと締めて相手を追い詰めても駄目だったんだけれど・・・

今回は自分の親にも友達にも一言も言っていない
これは自分の問題なんだと自覚することが大切だと思うから
誰かに優しく背中を撫でて欲しいと思うこともある
でもそれをしたら自分は元に戻ってしまう気がする

夫も今回は私が誰にも相談しない事の方が堪えているようにも見える
頻繁に「誰かに相談したの?あの人に言ったの?」と気にしている
私は「誰にも相談しない。私の問題だから誰にも相談しないって決めてるから」
ときっぱり言ってやった

夫は目を丸くして見上げていた

と言っても此処に気持ちを吐き出しているしコメントを書いてくださっている方達から沢山力を貰っているから一人で抱えてるって訳でもないけれど・・・(ありがとう)

一応夫が知っている人には相談しないと決めている
私の決意が少しでも夫に届くと良いなと思っている
いやいや。期待しちゃいけないよね。










債務整理 3

2006-04-19 09:52:01 | 元夫婦
夜もあまり眠れず、食事も進まず体力だけが消耗していくような日々
朝目が覚めると、昨日まで降っていたみぞれは解けてその日だけぽっかりと開いたように
春の日差しが窓から差し込んでいた

重たい目を開けながら私はあれを今日実行しようと思った
朝夫が出かけた後急いで仕度をした

今日中に夫名義の定期を全て解約して自分名義に変えよう
そう思っていた
債務整理が始まるとどうなるか分からない

夫が会社を辞めた事を知った業者がどう出るかもわからない
とにかく夫の名義の貯金を自分のために移そう
そう思った

娘と列車に乗って銀行に行った
銀行に着くとドキドキした
夫名義の定期は結婚してからずっと積み立てしていたので結構な金額だった

定期満期まで後半年だった
それを今解約して妻名義に変えることに銀行の人は変に思ったりしないだろうか

夫に確認すると言われたらどうしようかと要らぬ心配ばかりが頭に浮かんだ
「解約ですね。隣のフロアでお待ちください」と言われた

銀行の1番奥の衝立で囲まれた部屋で待たされた
私の他にも何組かの人がいた

娘に飴を食べさせながら待っていた
暫くすると隣のフロアが騒がしくなった

作業服を着た中高年の男性が大声で怒鳴り始めた
「おい。ちょっと貸してくれって言っただけなんだ。何でこんな目に合うんだ。
あー!?俺は務所に何度も入ってるんだ。おー!呼ぶなら呼べ。
なんでこんな目に合うんだ。俺は今辛くて酒を飲んできたんだ!
飲まなきゃやってられねーんだ。」

舅と同じ訛りのある男だった
声の質も泣きながら話すしぐさも、そして自分は辛くて酒を飲んでいるんだという言い訳もそっくりだった

銀行の人に連れられて私達の方に向かってきた
私は娘を膝にしっかりと抱き身を硬くして隠れるよう座っていた

「おー。警察でも何でも呼んでくれ。俺は何度も務所に入ってるんだ
人を殺すくらい何でもないんだ。」何度も何度も同じ事を繰り返し怒鳴り散らしていた

私は目を逸らすことが出来なかった
怒りとも、憎しみともいえない目でその男を凝視していた
一瞬その男と目があった
ぎょっとしたように私を見た

やがて男は警察に両腕をつかまれて連れて行かれた

舅の事を思い出していた
「お義理父さん。貴方はアル症で、その息子は借金を繰り返して今家族も失おうとしていますよ。私の結婚生活はなんだったんでしょうね。
滑稽ですね。依存症に寄生虫のようにはびこる私は共依存症でしたね。
もうこんな事終わりにします。もう終わりにします」

心の中で呟いた
娘が「あの人どうしたの?」と聞いてきた
私はもう1つ飴を口の中に入れてやり自分も1つ口に入れた

飴は口の中で溶けて心の中まで沁み込んでいく様だった
涙が咽まで競りあがって抑えるのが大変だった

やがて名前が呼ばれそのお金を鞄に詰めた
特に怪しまれることも夫に連絡される事もなかった

もう1つの銀行も行き自分名義の通帳に全て移し変えた
後は保険名義を変えようと思っていた
ホッとした頃夫から携帯に電話がかかって来た

「何処にいるの?」
「ちょっと買い物」
「もう、帰ってくる?」
「もう少ししたら帰る」

夫にばれない様に急いで家に帰った
家に帰ると夫が
「昨日はごめんね。俺今いろんな事が頭にあって整理できないんだ
時々変な事とか言うけど気にしないでね」と言った

「さっき弁護士に手付け払って後の事を頼んできたよ
俺、もう何も言わないよ。何を言っても言い訳にしか聞こえないだろうし
信じてもらえない気持ちもよく分かるから。半年事に自己開示して借金がない事を証明して事実で信じてもらえるように努力するよ。」

私は何も返事が出来なかった
ぼんやりしていると夫はまたちょっと行くところがあると出て行った

私は名義変更した通帳の隠し場所を探した
通帳を開いてみるとこれだけあれば少しは子供と暮らせるだろうかと思った
パソコンで住むところを探してみた
仕事もしなければ駄目だなと思った

いろいろ考えているうちにさっきの酔っ払った男の事を思い出した
夫は舅達と絶縁した
もう夫は本当に天涯孤独となるんだな

あの支配され続けた舅から抜け出した夫は赤ん坊そのものだった
今まで全てを舅と姑に決められ行動してきた
自分で何かを決めることも、考えることも禁止されて・・

その生活がどれほど嫌だと感じていても夫は逃げ出すことが出来なかったのだ
そして逃げても自分で考える力を奪われてしまった夫はただ自分を嘘で守ることしか出来なかった

私にすがるしかなかったのかもしれない
その夫が必死に自分で借金を解決しようと走り回っていた
私は甘いのかもしれない
そんな夫に涙がでて止まらなかった

許すのか?許さないのか?
これから信じられるのか?信じられないのか?
答えは出ない。

でも今すぐ結論を出さずとも準備をする事はできる
仕事を見つけていつか背中を押されるように出て行こうと思う日が
来る時のために、準備は私に力を与えてくれるような気がした

今は準備に集中しよう。
自分の足で立てるように夫の半年事の自己開示を見ながら決めても良いのかもしれない

そう思うと妙にすっきりした
夫にメールした
「もう一度チャンスをあげます。条件は半年事の自己開示。」

夫は家に帰ってきてこう言った
「チャンスをありがとう。でもこれは保留だと思っておく。
自分にとっても本当にやり直せるか証明して見せたい。
それを見守っていて欲しい。」

「そうだね。半年更新でいきましょう」

もうただ結果を待つのは止めようと思う
夫も半年更新なら私も半年更新。
自分の甘ったれた人生にもうけりをつけようと思う

まだまだ迷ってしまうけれどとにかく前に進んで行こう
回転木馬をもう廻さないと心に決めて・・・・





債務整理2

2006-04-17 19:12:22 | 元夫婦
債務整理に向けてまた辛い現実を見なければいけなかった

夫に「隠してあるカードを持ってきて。今日も辛い現実と向き合いましょう」と言った
夫はどこに隠していたのか6枚のカードを持ってきた

1枚、1枚、現在どれくらい借りているのかネットで調べた。
6枚とも限度額いっぱいになっていた
もう少し発覚が遅れていたらもう1枚増やしていたかもしれない

とにかくこの情報を持って弁護士のところへ行って話しを聞いてもらうしかない
夫は大手の会社に面接予定だった
面接の説明次項に「自己開示必要あり」と書いてある文を見つけた

夫が「自己開示必要って、借金の有無を調べるって事かな」
「自己開示って言ったらそれしかないだろうね」

「じゃあ。俺の借金ばれちゃうのかな。」
「調べればばれるし、お金を扱う仕事だから多額のサラ金があったら駄目だろうね」

「じゃあ、この会社は受けられないって事?これからもこういう会社は受けられないって事なの?」
「それが現実でしょ。別に嫌なら債務整理しなきゃ良いじゃん。」

「はあああああああああ」と長いため息をついた

「俺、会社面接断る。借金をとにかく何とかするよ」
「ふーん」
「まだ、結論出てないよね。俺1年位出稼ぎに行こうかな」

「働かなきゃ食べていけないしね」
「俺、お前たち見てると涙でて本当に止まらない。」
「とにかく弁護士の所へ行って相談してくる」

弁護士との約束の日が近づくにしたがって夫も緊張しているのが分かった
イライラしたり、落ち着きがなかったり、ぼんやり天井を見たり
「あー。緊張して落ち着かない」
「ありのままを話して相談することだよ。この期に及んでこれは隠しておこうとか
しないことだよ。転職の事も影響とか聞いてくれば良いじゃないの」

夫にとって自分の事を話すことは何より苦痛なのだ
ましてや自分の羞恥な部分を話すことは夫にとってはありえない現実なのだ

私は「貴方がどうこの借金問題を解決するか見せてもらう。その上で結論を出そうと思うから」と伝えた

夫はパソコンをしていたが突然背筋を伸ばして
「はい。」と返事をした

夫は弁護士と相談して帰ってきた
いつもはご飯を食べてから話し合うようにしてたのに
いきなり「ちょっと良い?」と言って部屋に入った

「行ってきたから。相談もしてきた。古い借金はそれなりに減るかもしれないけれど、相手の会社の了解が取れないと成立しないから幾ら減るかはまだ分からない。

弁護士費用は1社に付き3万。成功報酬は減額の16%だそうだ。残り一括返済にするかどうかは個人の自由です。退職金が出るのなら相手も全額返済を条件にだしてくるかもしれません。俺、もう綺麗になりたい。一括返済にするよ。」と言った

夫は弁護士の話し合いが上手く出来た事を本当にホッとしたように意気揚々と話した
夫は「本当に待っている間心臓が飛び出そうな位緊張したよ。でも一応話が出来た。その弁護士に後の処理を頼んだよ。明日手付けで1万持っていきたいんだ」鼻息荒く捲くし立てた

私はなぜか夫のもうこれでスッキリだみたいな話し方にイライラした
何でそんな嬉しそうに報告するんだ
まだ終わったわけじゃないのに。借金がなくなったわけじゃないのに。
今までの事が全て消えた訳じゃないのに・・・・

なんで?そんなに明るいの?心の中で今までの鬱憤が爆発しそうだった

「良かったね。話が出来て。これからは貴方の金銭感覚と向き合わなくちゃね。
お父さんさ、友達から前に4千円借りたことあるよね。
それ未だに返していないよね。お父さんは返しにいったけれど留守だったって言ったけどもし私だったら現金書留でも振込みでもして返すよ。

私は友達からお金を簡単に借りたりしない。
借りたら返すまで気が気じゃなくていられない。
お父さん今でも貸してくれた人と友達だって思ってるかも知れないけれど
きっと相手はお父さんを軽蔑していると思う。

だって貸してくれた好意を踏みにじるなんて本当に恥ずかしいことだと思うから」
また口から言葉が止まらなくなる

「それに、あの嘘。免許をなくしたと言って借金を隠したでしょ。あれも次の日に
新しい免許証まで作ってうそを突き通すなんて普通じゃ考えられない。
そういう感覚が本当に麻痺してるって自分で自覚するべきだよ」

黙って俯いて聞いていた夫はポツリと言った
「面接の会社も断ったよ・・・・。今日は本当に緊張して胃が痛いよ。
晩御飯はいらないから。もう寝る」肩をがっくりと落として部屋から出て行った

タバコを吸うために外へでて行ったら大きな音がした
何かを投げたか、蹴ったのだろう

夫は私が喜んでくれると思ったのだ
でも反対に言われたくない古い友達の借金の事を言われて心底がっかりしたのだろう
私も一言くらいねぎらってあげれば良かったのだろうか

夫にとってどれほど緊張したか痛いほど分かっていた
グチグチと責めた事の自己嫌悪が辛かった

布団に入ると子供が「お父さん。どうしてご飯食べなかったの?」
「お腹痛いんだって。」
「だからご飯食べなかったんだね」

息子が心配そうに天井を見ていた
「お兄ちゃん。話し合いまだ続いているけれど心配しなくて良いからね」
「うん。心配してないよ」
息子にはお父さんが会社を辞めた事。

今お父さんと真剣な話し合いをしている事を伝えてある
説明せずに不安にさせる事は舅の時に反省しているのでなるべく長男には説明した

布団の中から子供達の寝息が聞こえる
「もう駄目かもしれない。」そう思った
私も責めることを止められない
どんなに冷静に話していても昔の事や今までの事に縛られてしまう

こうやって自己嫌悪に陥る自分もまた辛い
「楽になりたい」
心の底からそう思った

今年はいつまでたっても春が来ない
外はみぞれ混じりの雪が降っていた

心も体も芯まで冷えていくようだった
(つづく)





債務整理

2006-04-15 12:24:04 | 元夫婦
夫の借金発覚から何度も何度も話し合った
サイトを巡ってたどり着いたものがある

それは「債務整理」
詳しい説明はちょっと私で無理です
夫はもう10年以上も借金を重ねているので、「任意整理」と言うのをすると
今まで払いすぎていた利息が返ってくるらしい

多い人だと100万位減るのだという
夫の借金は総額370万円。月々支払いが144、000。
利息だけで70、000にもなっていた

ひと月に144000円なんて払える筈もなく、今は利息のみの返金をしていたようだ
それでもひと月70000もただ見えない物に対して払い続けていたなんて
本当に「おお馬鹿!」と叫びたくなる

夫に「ひと月14万も払ったら残りたった14万だよ。家の家賃に7万。
保険や息子の学費、水道光熱費を引いたら食費すら出ないよ。あなた借金は月7万だと思っていたでしょう。でも本当は14万なんだよ」

「利息で7万なんて7万あったら何ができたの?あーちゃんの雛人形だって買ってあげられたじゃないの。それもひと月だよ。1年に70万。10年で700万だよ
700万あったら家の頭金にだってなってたよ」

言いたくないけど口から出る言葉を止められない
夫は「うーん。勿体無かったな」とまるで今気がついたかの様にうな垂れた

「債務整理って知ってる?」と聞くと
「いや。知らない」と言う

「任意整理というのをすると5年位カードは持てなくなるけれど、今までの
払いすぎた利息で借金を少し減らすことが出来るらしい。
弁護士に頼んでやって貰うらしいけれど、任意整理中はもう督促も来なくなるんだって」と調べた情報を伝えてみた

夫は目を丸くして早速パソコンとにらめっこを始めた
一通り読んで「弁護士に頼んでみる」と言った

「その方がいいかもね。でも多重債務者を狙って悪徳弁護士もいるらしいから
よく調べたほうが良いよ。市でやってる相談窓口があるみたいだからそっちに相談した方がいいかもよ」と伝えた

私も人には上手に説明できないが多重債務の事を調べた
毎日1つは新しい知識が増えた
それを夫に伝えるだけ伝えた

いつもは面倒臭い事は一切しない夫が必死に難しい文章と睨めっこしていた
「俺、明日電話して予約してみる」と言った

次の日にはもう予約を取り付けてきた
夫にしては素早い行動だと感心してしまった
本人もよっぽど困っていたのだろう
そりゃそうだ今月も最低は7万は用意しなくちゃいけないんだから

その結果報告の度に話し合いもした
最初は事実だけを話し合っていた
責めたり、罵っても今までの経験から何の結論が出ない事は分かっていた

それでも悔しさが滲んでくる
なぜもっと早く言ってくれなかったのか
8年前に残さず完済していたらこんな風に嘘で固め続ける結婚生活を送らなくても
良かったのに

最初から7万の利息じゃなかっただろう
でも夫の小遣いは月交通費入れて3万だ。
当然足りない。困る。出張費だと嘘をつく。
「会社からでないなんておかしい」と聞けば
「経理に領主書引き換えだって言われた」と言う

でも出張から帰ってもその立替分が戻ってくる事は一度もなかった
どんどん猜疑心が産まれてくる
私の財布の紐もどんどん硬くなっていく

夫は嘘をついてもその嘘を隠すことがとても下手だ
とにかくその場限りになれば良いのだろう

あの免許落として悪用されたと言うのは嘘の巧妙さには本当に騙された
免許落として悪用された事にするために次の日にわざわざ紛失届けをだし
新しい免許を作ったのだから

夫はそこまでして自分を守りたかったのだろう。
夫は家族に心配をかけないためだったと言っていた
夫にとって私に心配をかけないための嘘は夫の中では正義なのだ

その変な正義のために今じゃ給料から返済不可能にまで膨らんでいるのに
本人には全く罪悪感がなかったのだ
俺は家族のために隠しているんだと・・・

そんな言い訳を聞いていると自分まで気が変になりそうだった
(つづく)



8年前

2006-04-12 13:30:00 | 元夫婦
さっきふっと思った
この8年間何してきたんだろうって考えたら凄い自己嫌悪になってしまった

8年前、夫の借金を知ったのは
やっぱりポストに入っていた請求書だった

その前にもその請求書は来たことがあった
自慢じゃないけれど私ってローンのカードを一枚以上持ったことがない
利息を払うのが勿体無くて一回以上の回数で払ったこともない

だからサラ金の請求書なんて見てもよく分からなかったのだ

そこには30万と書いてあったと思う
「これは、何?」と聞いたとき
「借りれる枠が30万って事さ」とその請求書をぐしゃぐしゃにして捨ててしまった

「本当に?また借りてるんじゃないの?まだあるんじゃないの?」と聞くと
「俺が信じられないの?電話でも何でもしてみれば」と凄まれた

共依存症の私には人を信じると言う言葉に弱い
人を疑うと言う事はとても疚しいことのように思ってしまう
もし本当に私の思い違いだったら夫に精神的な借りを作ってしまう

結局私も夫へのくだらないプライドを捨てられなかったのだろう
いつも夫の前だけは完璧でいたい
弱味を握られたくないと思ってしまっていた

どうして人間らしく付き合えないのかとつくづく嫌になる

で結局信じた振りをした
「嘘だったら、どうなるか分かってるよね」と念を押すと
「嘘じゃないって、勝手にしろ!」と険悪な雰囲気になってしまう

この険悪な雰囲気というのも私は凄く苦手だ
子供の頃から暗い家の環境が嫌で険悪な雰囲気が続くと息が詰まって
苦しくなってしまうのだ

早くまた笑って暮らしたい
私が信じればまた普通に暮らせるのだと思ってしまうのだ

それ程念を押したのにやっぱりその請求書は届いた
目を皿のようにしてよーく見た
何度見ても今月の請求と残高請求が載っていた

私はもう夕飯の時間だったけれどとりあえず着替えを持って夫の実家に行った
その頃の姑は右半身不随になっていたけれど今よりずっと気丈だった
舅は入院していた

その頃の夫は義理両親を本当に恐れていた
義理両親のいう事が世界であり絶対だった
だから今までの借金の話をするなら絶対義理両親に言おうと決めていた

タクシーに乗って義理両親宅に行くと姑が心配そうに待っていた
今までの借金の事全てを話した
姑は「あの子が・・・・」と絶句していた
「確かに浪費するというかお金の事をわかっていない所もあったかもしれない
仕事をしていて構ってやれず簡単にお金を渡しすぎていたのも悪かったかも」と自分を責めだした

1時間くらいして書置きを見た夫が慌ててやってきた
姑は子供を叱るようにただ怒鳴り散らすだけだった
夫はただ天井を見て無言のままだった

何の借金なのか後幾らあるのか幾ら聞いてもただ無言だった
それから2日ほど義理実家にいたけれど
夫はご飯も食べずに自分の部屋に上がり閉じこもっていた

姑は「まだご飯食べないのか」と夫がご飯を食べないことばかり気にして
借金の事は全く話題にも上らなかった
散々怒鳴りつけたんだからいいだろうって感じだった

何一つ解決しない
そんなイライラが溜まっていった
その頃息子は3歳だった
息子と昼間公園に行って遊ばせた
息子に「お母さんと2人で暮らそうか」と声を掛けた

ブランコに乗っていた息子は「お父さんと帰ろうよ」と言った
「お父さんとはもう帰れないかもしれない」と言うと
「お父さん、泣いちゃうよ。帰ろうよ」と言った

暑い夏の事だった
陽炎の中でブランコに乗った息子がゆらゆらと揺れていた
涙で息子が霞んだ

私は心の中で寂しそうにブランコに乗る息子の姿を胸に刻んだ
もう2度と息子にこんな思いはさせないと心に誓ったのだ

義理実家に戻ると姑が足を引きずりながら階段をよじ登っているところだった
「兄ちゃん。ご飯食べなさい。もう良いから。ご飯食べなさい」と大きな声で
呼びかけていた

その姿を見たとき此処にいる理由はないんだなと思った
姑は息子の借金の現実よりご飯を食べずに反省している息子をいとも簡単に許してしまったのだ

私は夫に「帰ろう。此処にいても問題は解決しないから」と言った
家に帰って夫に「義理お父さんに自分から借金がある事を言って、お義理父さんの前でもう借金はしないと約束して」と要求した

義理父さんを心底恐れていた夫は震え上がって泣いた
「それだけは許してくれ。もうしないから」と・・

本当に、本当に、反省しているように見えたのだ
もう懲りたように見えたのだ

だから私は離婚届を書くことを条件に借金を貯金で返済して新しくやり直したのだ
でも借金はまだ残っていた

なぜあの時残りの分も教えてくれなかったのだろう
夫と私との間には信頼関係がきっとなかったのだと思う
残りを言えば離婚されて義理父にばらされるその恐怖が夫の口に
硬い硬い鍵を掛けたのかもしれない

私ももうあの時に残りの借金を聞く余裕はなかったかもしれない
まだ現実を見る力が私にはなかったような気がする

あれから8年間、私は離婚届けも書かせたのに
仕事を探して自立するわけでもなくただ夫を管理することと
舅の酷くなっていくアル症を世話し続けただけだった

もっとこの8年にする事があった筈なのに
随分遠回りをしてしまった

私はただ「離婚。離婚」って騒いでいる離婚夢子ちゃんだったんだなって思った
現実をみなくちゃいけないのはきっと私も同じなんだ
今度はもう逃げないぞ。

現実を見る日々は続く


2006-04-11 09:51:43 | 子供
私は娘がお腹にやどった時すぐ分かった
性別も分かった

体には何の兆候もでない状態から分かっていた
次の生理は来ないだろう
女の子を授かっただろうと・・・

思ったとおり生理予定日を1週間過ぎても生理は来なかった

夫に「もしかしたら出来たかもしれない」と告げた
夫は「え?まじ?」と言ったまましばらく無言だった

嬉しそうだったけれどどこか複雑な顔をしていた

それから3日程して
「実はカードでお金借りてるんだ。今月請求来るから、それを見てショックで流産したら困るから今のうちに告白しようと思って・・・」

その時も夫は仕事で大失敗を犯して夫が担当していた大手の会社から取引停止をされてしまった
夫は会社を辞める、辞めないと大騒ぎしていた
その穴埋めに20万借りたと告白された

他に借金があるとは夢にも思っていなかった私は
「もう勝手に借りないでね。請求書が来る前に言ってくれてありがとう」とまで言っていた(大馬鹿!)

今思えばそれも穴埋めじゃなくて借金の返済だったのかもしれない
その時にはきっと200万位に膨らんでいたはずだから・・・
その20万を一括返済して私は安心したのだった。

その1週間後病院で妊娠を確認した
長男も不妊治療の末に5年かかってようやく授かった
だから子供は長男だけだろうと諦めていた

それが7年ぶりに彗星のごとくやってきた赤ちゃんだった
その頃舅のアル症も転げるように悪くなって、トラブルが相次ぎ起こっていた
息子も私の子育てのツケがまわってトラブルばかり起こし
絶えず家の中に嵐が吹き荒れていた

そんな中での妊娠はまさに一縷の望み、希望の光のように輝いた
「この子は我が家の救世主かもね」と言って久々に家族で笑った

もうすでに私も30代後半産むには自分的には体力も限界かなと思っていた
息子の時とは比べ物にならないほど妊娠期間は辛かった

妊娠の結果が分かってすぐに出血をした
それからは絶えず子宮が痛くて絶えずお腹は張り続けていた
とにかくお腹が痛くて眠れない

ウトウトと眠れば突然お腹がきゅーんと痛くなる
1時間と眠れないために寝不足で頭痛との戦いだった
お腹の痛みも止むことがなかった。歩けば赤ちゃんが出てきそうなくらい下がって足の付け根がずきずきと病んだ

それでも病院へ行けば順調ですと言われ仕方なく生まれるまで我慢するしかなかった
予定日の2週間前に私はお腹に「もう限界。お母さんを楽にして」と呟いた
その夜に陣痛がきて娘は産まれた

娘が産まれて4ヵ月くらいは私も産後欝になって辛かったけれど、それからは
順調に育ってくれた
とにかく女の子は柔らかいという事にまず驚いた
焼きたてのパンの様にお尻もほっぺも柔らかかった
娘は生まれてすぐ体重が減り続けて2千を切ってしまった

小さくて小さくて布団に寝かせるとどこにいるのか分からないほどだった
それがミルクに切り替えた途端めちゃくちゃ太ってしまった
4ヵ月で8キロにもなってしまったのだ

顔が肉に埋まって見えなくなってしまった
そのお尻の肉が厚くて5ヵ月にはもうバランスがとれて
お座りができる程だった

それでも可愛かった
1日見ていても飽きなかった

娘が1才の頃姑を連れて逃げてた
家に舅が押しかけて来て玄関をドンドンと叩いたり蹴ったりして暴れた
大声で呼ぶ声は本当に恐かった

玄関の立ち尽くしていると娘が走ってきて玄関がドンドンとなる度に
「すごーい。」と手を叩いて喜んだ
鍵を開けようとする娘を何度も息子が「こらーーー。殺されちゃうんだぞ」と慌てて抱いてドアから離そうとしていた

それが娘には面白かったらしくまたキャーキャーと言って玄関の鍵を開けようとする。息子の血相を変えた姿が可笑しくてちょっと笑ってしまった
それで少し落ち着いて警察を呼ぶことが出来た

こんな事が何度もあった
娘の無邪気な姿が私の混乱して取り乱す私を落ち着かせてくれた

パソコンで声を殺して泣いた時、じっと私の顔を覗き込んでいた娘は「チュ」っとキスをしてきた
「なーに?」と聞くと
「めんこいねーーー」と言ってまた「チュ」っとした
(めんこいねは可愛いねという方言)

私も娘のほっぺに「チュ」として
「めんこいね」と言って笑った

これだけでまるで心の中がぽっと灯りがともった様になる
娘が生まれてから息つく暇もないくらい次々とトラブルの連続だった
そのトラブルを冷静に何かを気づけながら進めたのは娘のこのあどけなさがあったからかもしれない

息子も妹のおかげで沢山の事を学んだ
盗み癖で悩んだ事もあったけれどこの前本屋で
「あーちゃんこの本欲しい。」と言って本屋から出て行こうとして
息子に「あーちゃん。それは万引きなんだぞーーーー」とでかい声で追いかけて行った。
顔から火が出そうな程恥かしかった

「お兄ちゃん、そんな大きな声で万引きとか叫ばないでよ」と言うと
「だってお金払わないと警察に捕まっちゃうんだ。妹が刑務所に入ったら困る
お兄ちゃんが守らなくちゃ」と真剣に言っていて可笑しかったけどとても嬉しかった

晴天の霹靂のようにやってきた娘は神様がこれから起こる沢山のトラブルを
私が乗り越えられるようにくれた贈り物なのかもしれない

息子と娘に感謝しながら毎日が過ぎていく






先人達の道

2006-04-09 15:07:08 | 元夫婦
この何日かとにかくサイトを検索してみた
私のように夫の借金や嘘で苦しんでいる人がいるんじゃないかと思って・・・

いた。沢山。ビックリするぐらい沢山いた
8年前夫と最後の約束をして以来全くの無防備だった

テレビで借金の夫に苦しむ人達の事も他人事のように見ていた
それ程、私は無防備だった

そこにいた人々は全く同じ夫に苦しんでいた
DV夫にはDV夫のパターンがあるように
アルコール依存症の夫にはアルコール依存症の夫のパターンがあるように
借金夫にもそれぞれ共通のパターンがあった

まず借金を隠すためにいろんな嘘をつく
物事を隠す。結婚前に親に借金を返済して貰ったことがある
結婚後すぐに発覚している。

妻たちは1度ならと全額返済してあげる
そして2度目、3度目と発覚するたびに金額が多くなっていく

全く夫と同じだった

ある1人の家族のサイトにたどり着いた
その主婦もまた結婚してすぐに発覚して自分の貯金を返済に充て続ける

遂に貯金も底をついた時に再度発覚。彼女の借金の勉強や夫との葛藤が綴られていた
手探りで進んでいく彼女がだんだん強くなっていく様子が手に取るように分かる

時にユーモアを交えて暗くならないように、明るく語りかける
その彼女の葛藤が今の私と重なった
借金夫とのやり取りがとても可笑しかった

膝に娘を乗せてパソコンに向かっていた私
「ぷっ。」と思わず噴出した
「クックック」お腹の底から笑いがこみ上げ次第にゲラゲラと笑い出してしまった

気がつくと膝にボタボタと涙が落ちていた
娘が「お母さん、泣いてるの?」と聞いた
「ううん。笑ってるの」と言ったらこみ上げるものが遂に止まらなくなってしまった

声を殺して「ヒーヒー」と泣いた
娘が膝で不思議そうに覗き込んでいた
5分もそうやってしているとなぜかすっきりした

舅のアル症で悩んだ時も私は先行く人、同じ悩みを持つ人を探した
見つかった時のあの安堵感をまた味わうとは夢にも思わなかった

そして今までの夫の嘘に振り回された日々が全て説明されたような気がした
今までだって夫の嘘を検索したことがあった
でも借金と繋げていなかったためにヒットする事はなかった

もっと掘り下げて考えれば夫の嘘はお金の問題と繋がっている事に気がつくべきだった。でも私はきっと見て見ぬ振りを無意識にしていたのだろう

過去の相談者の人達の話を読むだけでも本当に救われた
過去の人達がどのように行動をしていったかが凄く分かりやすく説明されていた

先人達の道は私の崩れた足元を少しだけ固めてくれた
私はその見えない細い糸をたどっていったら出口にたどり着けるのかもしれない

いよいよ夫の有休が始まる
夫の借金のために受ける筈だった大手会社は駄目になりそうだ
面接説明に「自己開示の必要あり」と記載されていたためだ

これをしたら夫が多額の借金を抱えていることがばれてしまう
夫は「駄目だな」と言ったので
「これが現実だよ」と言ってやった

夫はがっくりと肩を落とした。
彼女の言葉を借りれば
「ザマーミロ。借り夫君。ケケケ」となる

これからも次々と夫は今までの目を瞑っていた現実が襲ってくるだろう
夫がこの突きつけられる現実をどれだけ心に刻み込めるかにこれからの夫の人生が掛かっているのだと思う

私もまたその現実を受け止めどう夫が乗り超えるかで私の気持ちも決まるような
気がする

まだまだ時間が掛かりそうだ。



決断 1

2006-04-06 08:10:51 | 元夫婦
なぜ思い切って家を出て行かないのか
何度も考える
なぜ別れられないのか
なぜ此処まで来ても夫を理解しよう。分かってあげようと相手の事ばかり考えてしまうのか

私の中の問題と向き合ってみた
私は夫からの評価が下がりたくないのだ
私にとって夫は唯一尊敬される存在なのだ

夫が私に負い目を増やしていくたびに私は夫に対して優越感を持て
自分らしく振舞える
気を使わずに時に相手の弱味に漬け込んで好きなように出来る

私は親にも甘えられない。
友達にも言いたいことも言えない
どこにいても自分らしく振舞えない

夫にだけは時に悪態をつき利用できると思っていたからだ
その居心地のよさは借金の問題と引き換えにしても余りあったのだ

夫が借金が発覚するたびに無言と仮病で私の同情を引こうと必死になり
私はあえてその行動に乗り夫を許してきた
それが夫を甘やかし現実から目を背けさせてきた1番の原因
依存症と共依存症。
回転木馬は2人で廻し続けてきたのだ。
夫1人が廻してきたわけじゃない。私も一緒に原動力となり廻してきたのだ

私はその現実を受け止めなければいけないのだ。
そしてもう妥協しないと決めた
現実を見る
もう夫の評価を気にしない
私は1人で自分の足で立たなければ行けない

借金問題は表面上はとても穏やかだ
気が弱いため頼まれ事は殆ど断らない
自分も子供のままなので子煩悩でユーモアがあって欲望もむき出しなので
一緒にいてホッとできるのだ

だから夫婦としては借金の問題さえなければ正に百点満点の夫となる
借金さえなければ・・・・・

「舅のアルコールさえ飲まなければいい人なのに」とそっくりである

でも借金は重大な欠如だと思う
どんなに夫が子供を可愛がっても、どんなに私に優しい言葉を掛けてくれても
夫の借金で子供の服すら買えない。食べるものすらない。

夫は自分のちょっとの欲望とちょっとの見栄のために嘘と借金を繰り返し
結局家族を苦境に追い込んでいる
それを見てみぬ振りをする事は虐待と変わりないじゃないか。

それを支える私はアル症の舅を息子を犠牲にして支えた姑と同じだ
私も子供を犠牲にすることとなってしまうのだ
私は子供をもう犠牲にしないと決めたのだ

いろいろ調べてみると個人情報開示という事が出来ることがわかった
本人の紹介で自分が今までどこからどのように借り返済してきたかが分かるところがあるらしい

夫は話し合いの次の日からいきなり「タバコを止める」と宣言した
タバコを止めて見せて私に何かを証明したいのだろう
体のため本人の為には良いかもしれないけれど今の私には何の関係もない事だ

でも「そう。それはいい事だね。頑張って」と言っといた。
会社から「今1日過ぎたよ」「記録更新だ」「あめ食べて我慢してます」
等の近況報告が入る

私は無視していた
家に帰ってきても「あー吸いたい。絶対我慢するぞ」と言っていた
次の日もメールで「遂に六十時間達成」と元気なメールが来た

私は混乱を整理するために自分の思い付いたことを必死にメモった
夫のタバコは問題のすり替えだ
惑わされちゃいけない。
まずは現実を見よう

きっと100万は嘘だ。もっとある筈だ。
妥協するなの文字が次々と並んでいく

私はメールをした
「それは凄いですね。
今日は免許証をコピーしてきてください。あれから私も少し落ち着きました
2人で考えて結論にたどり着きましょう
とにかく1つずつ進みましょう。まず貴方も現実を把握しましょう
私も現実を見ようと思います」と送った

帰ってきた夫に
「これを取り寄せると今ある全ての借金が分かるんだって。まだあるなら今言って
どっちにしても取り寄せる意思は変わらない。でも貴方も自分の口で言って
自分の耳で聞いたほうがこれからの貴方のためになると思う
なぜこうなったのか。自分の声で自分で聞いたほうがいいと思う
貴方の子供や私たちへしてくれた事は嘘じゃないと思う
でもお金に関しては全く信用していないしもう信用もしない

子供を金銭的苦境に追い込んでる事は虐待と変わらない
私はそれにもう加担はしない。
事実を見て判断する」

夫は泣きそうな顔をした
「泣いてる場合じゃない。私も泣かない。責めるとかそういう段階でもない
なぜこうなったのかを徹底的に見つめてみよう。そして解決がどこにあるのかを
探そう。一緒にいるにしても、それぞれに暮らして行くことになったとしても」

長い長い沈黙の後夫は
「全部で370万ある」
もう驚かなかった。
現実を見るんだ。
妥協はしないんだそう決めたから

時々胸が詰まって涙があふれそうになる
でも泣かない。泣いたら気持ちが揺らぐから
自分をいつも誤魔化してきた涙はもう流さない

もう悲劇のヒロインなんかやらない
そう決めたから
現実を見つめる日々は続く
どこへたどり着くのかはまだ分からない

でもやるだけやろう。そう思っている