トンネルの向こう側

暗いトンネルを彷徨い続けた結婚生活に終止符を打って8年。自由人兄ちゃんと天真爛漫あーちゃんとの暮らしを綴る日記

尽きぬ悩み

2010-10-24 17:54:10 | お兄ちゃん
お兄ちゃんがため息をついている。

お兄ちゃんの心の動きにいつも呑まれない様に気をつけているのだけど
どうしても、がっかりした顔や、悲しそうな顔や雰囲気に呑まれてしまう。

学校祭の時代劇の悪役に選ばれたという。

母には『悪役嫌だ』とこっそり言っていて、私とあーちゃんには
何の役かは絶対教えてくれなかった。

先週、衣装合わせをやって帰ってきて、がっくり肩を落として帰ってきた。
『かつらが嫌だ。ハゲ頭のかつらだった。あんなの元のクラスのみんなが
みたらからかわれるに違いない。
絶対やだ!先生に言ってよ。
衣装も、悪役も頑張るから、かつらはかぶらなくても良い様に言ってよ!』

『お母さんにはどんなかつらかも分からないし、かぶらなくても劇が成り立つのかも
分からないから、自分から先生に相談してみなさい』そう言って
連絡帳に【相談にのってあげて欲しい】とだけ書いた。

家に帰ってきて聞くと
『ダメだって!頑張れって!俺、このままかつらをかぶるなら当日休む!
それしかない!』

『そんな、無責任なこと出来ないでしょ。みんなで一生懸命頑張っているんでしょ』

『でも!絶対やだ!』

『逃げ出して迷惑かけるなら、当日まで先生と相談したら。』

『悪役だって、主役の次に大事とか言うじゃん。堂々と演技すれば誰も
かっこなんて馬鹿にしたりしないと思うよ』と励ましてみるが

『絶対やだ!俺にはわかんねー!』

言えば言うほどお兄ちゃんは興奮していく。

黙って『うん。うん。』と聞いているうちに
落ち着いて、がっくりとうなだれてため息ばかりをついて
何も言わなくなった。

『最悪の、学校祭だ』
『中学最後なのになんでこんな目に合うんだ』

『はあ。』
『やっぱり、ダメだ!』
『はあ。。。。』


見ているのが辛い。



言いたかったけど言えなかった

2010-10-19 18:45:07 | 
『1校しか見ないで決めちゃうの?私は3校見たよ。そんなんで良いの?
どうしてみんな1校しか見ないの?比べなきゃ分かんないでしょ。
宿舎とか考えないの?
卒業したらどうするの?
将来はグループホームとか見学してる?
見てないの?考えていないの?
だって年取ってから入ったら慣れるのに大変そうに思わないの?
みんな考えてるよ!

高校は、3年間ずっと通学にするの?宿舎とか考えないの?
良いの?入学したらすぐ聞かれるよ!
卒業したらどうしますかって。

ずっと一緒に住むの?
だって、自分が死んだらどうするの?
生活出来ないでしょ。ひとりで。

誰も守ってくれないよ。
だれがやってくれるの?

後見人は考えないの?』

最後に『へー。それなら良いんじゃないの!』と捨て台詞のように
言われ呆れたようにため息をつかれた。

心に澱のように嫌なものが溜まった。

悪気はないんだ。
分かっているし、その人の事を怒る気にもなれない。

あんた。何にも考えていないんだね。
子供の事、真剣に心配してないんだね。
って言われたような気がして、どっぷりと落ち込んだ。

何にも言い返す気にもなれなかった。

考えたさ。
お兄ちゃんの将来のこと。

宿舎も考えたさ。

だけど、お兄ちゃんは本当に気が合った人としか上手くいかない。
ちょっとでも自分に不快な印象を与えられたらあっという間に嫌いになってしまう。
人とのトラブルが絶えない。

これまでだって、些細なトラブルから、訳のわからないトラブルに沢山巻き込まれて
きた。
お兄ちゃんにはどこか誤解やトラブルを受けやすい何かがあるんだと思う。
だからお兄ちゃんには、安全な家に帰ってホッとする場所が必要なんだと思った。

『もし、私が死んだら』考えたさ。
片親だし、元夫には任せられない。
子供達に残す為にかけた保険だってきっと使われてしまうに違いない。

だから、私が死んだら、あーちゃんが大人になっていたらあーちゃんに頼るしか
ないかもしれない。

私の弟。姉。母が元気だったら母。
私の親友。
周りの人に頼るしかない。

そんな考え浅はかだって言う。

じゃあ。死ななきゃ良いんだ。
お兄ちゃんより先に死ななきゃ良いんだ。

もしかしたら。もしかしたら。お兄ちゃんの事を慕ってくれる素敵なお嫁さんが
くるかもしれない。

未来は誰にも分からないじゃないか。

お兄ちゃんの、足元の小石を全部どけても、完璧に心配ごとを排除しても
結局最後は大きな何かに任せるしかないじゃないか。

かつて元舅がアルコールを飲まなくなるように全てをやり尽くしてもダメだった様に
元夫が借金をしないように何もかもを投げ捨ててもダメだった様に。

お兄ちゃんの未来を全てコントロールする事はできない。
だって、お兄ちゃんの人生なんだから。

私が出来ることは重箱の隅をつつくように、心配事を探すことじゃなくて
お兄ちゃんが1人でも生きていけるような未来を手伝う事だと思う。

そうやって心の中で1日言い訳して、凄く落ち込んでいる。

だって、その人のお子さんとお兄ちゃんでは障碍の度合いも、
持っているリスクも違うから。

障碍は十人十色。ひとりひとりが違う。

その人は『あんたは、そこまで考えなくても良いお子さんで良かったね。うちは
違うから』そう言いたかったんだと思う。。。

分かり合えないんだよね。

私、なんでこんなに傷ついているんだろうね。。。

もう、その人に会いたくないな。




フラッシュバックの問題

2010-10-15 21:31:16 | お兄ちゃん
『僕が教えてあげるよ』

『僕が教えてあげるよ』

『僕が教えてあげるよ』

職場体験の時、そこで働く障碍を持つ男性がお兄ちゃんに興味を持ち
何か仕事を始めるたびに駆け寄って『僕が教えてあげるよ』と言い続けた。

『何度も何度も同じ事言いやがって、うぜーんだ!きもいんだ!
あいつと同じだ!あいつよりきもい!うぜー!なめんな!きえろ!うせろ!』

延々と続くお兄ちゃんの罵声。
興奮して目が真っ赤になっている。

フラッシュバックを起したんだね。

『あいつと同じだ!』

お兄ちゃんの一番の問題。
嫌な事は忘れにくく蓄積され続ける事。

同じ場面に出会うと容易に過去に引き戻され、今さっき起こったことの
ように感じてしまうこと。

それは、何度も同じ苦しみを味わい続けるのと同じ事。
地獄の釜のように何度も、何度も煮え湯に茹でられているようなもの。

お兄ちゃんのいう『あいつ』とは、普通クラスにいるときに、毎日、毎日
お兄ちゃんの後をつけて『元気?元気?元気』『あー無視した。無視した。無視した』
『いじめだ。いじめだ。いじめだ』と同じ言葉を何度も何度も言い続け、嫌がるお兄ちゃんをニヤニヤと笑いながら遊んだ同級生の事。

ある日、無視し続けるお兄ちゃんに腹をたてた同級生は、仲間を呼び
お兄ちゃんを取り囲み『無視した。無視した。』『くせー。くせー』『歌え。歌え』と
何度も言い続けた。
何人もに囲まれた事はお兄ちゃんをとても恐がらせ心の傷となった。

だから、誰かから同じ言葉を何度も言われ続けるとフラッシュバックを起すのだ。

今日も、同じクラスの自閉症の男の子が『同じTシャツだね』と言った。
お兄ちゃんは最初やさしく『うん。そうだね~』と言っていた。

それがきっと面白かったのだろう。
その子は何度も何度も『同じTシャツだね』『うんそうだね』の返事を嬉しそうに
楽しんだ。

しかし、お兄ちゃんには苦痛だった。
フラッシュバックが起こり
『テメー!好い加減にしやがれ!俺に2度と話しかけんな!きもいんだ!うざいんだ!
うせろ!消えろ!』怒り、暴れた。

その子はその同級生とは違う。

決してお兄ちゃんを嫌がらせようと思ってやった訳じゃない。
先生が『悪気はないんだ。許してやってくれよ』

『ぜってー許せねー!』そう吐き捨てて帰ってきた。

お兄ちゃんは、最近このフラッシュバックの間隔が短くなっている気がする。

フラッシュバックが何度も繰り返されれば、ストレスは蓄積され、眠れなくなったり
またストレスを紛らわす為にとっぴな行動に走ったり、違うものに依存してしまったり
するようになる。

そうやって二次障碍に苦しめられる子供達は多い。

とても心配だ。





なんだかボーっとしています。

2010-10-10 11:14:58 | 
書くことはあったんだけど、流れの速い川の中州に取り残された
ように動けず、時間だけが過ぎていました。

仕事のことであんなにすったもんだしていたんだけど、
後から、上司の人が私の希望を人事に伝えてすらいなかった事が
分かった。

ずっと『頑張ればきっと認めてもらえる。』って思っていた。
だけと、結局パートはパートなんだって思った。

いくら『あなたの仕事はあなたにしか出来ない』っておだてられても
文句があるなら辞めても良いよって事なんだって。

結局、そういうことなんだ。って。
何を夢見ていたんだか。
なんていうか自分っていつもどこか現実離れしてしまうところがあるらしい。

お兄ちゃんは1週間の『職場実習』が始まり、毎朝、6時半に1人で電車を乗り継いで、夕方まで働きに行っていた。

途中、同じ職場で働く人に馴染めず、戸惑い、イライラを募らせて帰ってくることも
あって、『あいつ、ぶちきれそうだ!』とか『今度同じ事言ったら、やってやる!』とか不満を募らせるお兄ちゃんに『あと2日なんだから』『働くって事は気の合わない人ともお付き合いする勉強なんだよ』とか言って宥め、心配で連絡帳に書くべきか、書かざるべきかと悩んでいるうちに、お兄ちゃんはしっかりと乗り越えて実習を終える事ができた。

『俺、なんか働けそうな気がする』とやり遂げた満足感でいっぱいだった。

あーちゃんも去年に続きダンスの発表会に忙しく、今年も可愛いダンスを見せてくれた。
友達に勧められて書道教室にも通い始めた。

私は離婚してから、ずっと自分の中に高いイメージをたてていて、
それを目標に『もっと。もっと』と頑張ってきた気がする。

お兄ちゃんの事も離婚して、発達障害が分かって、自閉症と判明してから、今のクラスに入り落ち着くまで、ずっと走り続けてきた。

仕事は相変わらず忙しい。
ひとつ激変したのは、ずっと一線引いていたパートの彼女と仲良くなったこと。
彼女の仕事が倍増した時に、忙しい合間を縫って手伝ったら今までギスギスしていた
対応が激変し、打ち解けて話が出来るようになった。

入社した頃、彼女との付き合いに随分悩んだけれど、今は嘘のように仲良くなれた。
そういえば入社してずっと私に仕事を教えてくれていた社員の女性も転勤してしまった。
彼女にも随分お世話になって、寂しい気持ちだ。
ここにいる限り別れは避けられないんだけど。

こんな風に周りは目まぐるしく流れ、私は中州に立ってただ眺めているような感じで
日々が過ぎていく。

3連休も友達と遊んだり、子供たちとお菓子を焼いたり。
今、お兄ちゃんは『めんどくせっ!』と言いながらも、あーちゃんの雑誌の付録を作っている。

まったりと時間が流れて。
幸せだなぁとか感じたりして。

本当はもっと収入の事も考えなきゃいけないし。
これからの生活の事も考えなきゃいけないし。

取りたかった資格はどうした?とか
色々あるんだけど。

なんか気が抜けたみたいに動けない。
気持ちも体も。

肩の力が一気にぬけて、グデーっとした日々を過ごしています。
今日は、冷蔵庫の貰ったビールでも飲んで映画でも見ようかなぁっと。。。思ったりして。

急に人間らしくなった気がする。。