トンネルの向こう側

暗いトンネルを彷徨い続けた結婚生活に終止符を打って8年。自由人兄ちゃんと天真爛漫あーちゃんとの暮らしを綴る日記

部活を辞める

2016-05-09 22:23:03 | あーちゃん
時々、自分の意思に反して物事が流れていくことがあります。

自分はそっちに行くつもりはないのに、どうしてもその流れに逆らえず終わりに向かっていく。

いつか読んだ小説で、全ての出来事は空から降ってくる。

雨のように降ってくるのだから避けることはできない。

良いことも、悪いことも、何が降ってくるのか分からない。

ただ、雨が体を濡らすように、出来事を受け止めていくだけなのだと。


避けられたと思った出来事も、結局回り巡って、どうしようもない決められた答えに辿り着いていく。

いつも思うけど。
どうしようもなかったんだ。

そうならないように、努力を尽くしたけれど、やっぱりそうなってしまった。

部活を辞めない。
もう一度頑張る。
そう言ったけど、学校の帰り道に偶然、嫌がらせをする先輩男子と遭遇し、トラブルになってしまった。

あーちゃんは追いかけられて腰をひねって傷めてしまった。

その腰を痛めて部活を休むことになってしまった事で、先生から電話がきた。

「娘さんから事情を聞きましたが、娘さんは話を大げさにしたり、嘘を混ぜたりして、何が本当で、何が嘘か分かりません。
追いかけられた事も一概に相手の男子生徒が悪いわけではなくて、娘さんが挑発してやったと思われて、お互いに呼んで
事実を確認し合いましたが、どっちもどっちでやはり、相手の男子生徒だけを処罰できません。
娘さんは、部活を続けるにあたって、話を大げさにしない。自分の非を認める事。などの態度が改まっていなかったので
今日は両成敗で家に帰しました」と怒りを露わにしていた。

私はまだあーちゃんから話を聞いていないので、聞いて話し合ってみますから。と言った

帰ってきたあーちゃんは、顔が肩に埋まっちゃうんじゃないのっていうくらい、うなだれて帰ってきた。

「先生は私の話を全く信じてくれない。相手が追いかけてきたのに。相手が友達にちょっかい出してべたべた友達を触るから
辞めさせたくて私が砂をかけて怒らせてこっちに向かせたのは挑発だっていう。
私が悪いから突き飛ばされたって。
誰も信じられない。」

無視して通り過ぎることはできなかったの?
遊ぼうって寄って来たときに、走って家に逃げる事はできなかったの?

できなかった。
できなかったの!

家を知られるのも嫌だったし、逃げても追いかけてきたし。
追い払ってやりたかったの。

あたしが全部悪いんでしょ!

涙と汗で顔はぐしゃぐしゃになって。
目は色を失って。

やっぱり限界なんだなっておもった。

「あーちゃん。これからも部活にいる限り、その男子生徒から離れることはできないし、パートのお友達との関係も悪化して
もうあーちゃんが何をやっても気に入らなくて、毎晩電話をかけてきて、やる気がない、練習が足りない。って叱られて。
何かすれば、下手なくせに余計なことするなと馬鹿にされて。
もう友達でもなければ部活仲間でもないよね。
一生懸命教えてくれたけど、どんなに要求されてもそのお友達のいうレベルまで上がることはできないし、
どんなにやっても満足させることは無理なんじゃないの?

あーちゃんの気持ちももうとっくに折れてしまっているんじゃないの?」

じっと俯いていたあーちゃんは
「もう、あそこには行きたくない。吹奏楽好きだったけれど。。。もうあそこへはいけない」
涙も枯れ果てたのか放心したようにポツリと言った。


先生から、あーちゃんから退部したいとの事を聞いたと電話をもらった。
たくさん言いたいことがあったけれど、丁寧にお詫びをして辞めさせてもらった。

なんでこんなにこんがらがってしまったのか。

やる気もあったはずなんだけれど、空回りして、お友達の要求通りにできなくて、
「出来ないんだから、やらなかったのと同じ!」とお友達が言いだしてから力関係が出来上がってしまった。

できないあーちゃんが悪い。
できないあーちゃんは努力が足りない。
できないあーちゃんは言いわけはできない。
できないあーちゃんは私たちの言うとおりにしていればいい。
できないんだから。

迷惑なんだから。

追い詰められたあーちゃんは、大げさに言わないと誰も私の話を聞いてくれないと思うようになり、
嘘を使わないと休むことも早退することもできない
早退しても次の日に何十分も説教される。
自分を守る嘘がエスカレートして、周りを混乱させるようになってしまった。

先生も、その話に振り回され、先生すらも、できないあーちゃんが悪い。
みんなが一生懸命教えてくれているのに努力しないあーちゃんが悪い。
出来ないことを嘘で言いわけすることが反省が足りない。

全てが悪循環になってしまった。

雨は降ってくる。
人生の出来事も降ってくる。

もう無理だよ。
限界だよって雨が降ってきたのかな。


とても痛くて冷たい雨だったね。。。
あーちゃん。


あーちゃんの目

2009-08-23 09:30:12 | あーちゃん
お兄ちゃんの目は吸い込まれそうな位大きいがあーちゃんの目はとてもちっちゃい。

朝、起こすとき『あーちゃん。朝だよ。おめめあけて』って言うと

『もう。あいてるよ。ほら!』と一生懸命開いて見せる。

その姿が可愛くて
『えーー?。あいてないでしょ。ほら。ぱっちりあけて』

『あいてるでしょ!ほら!』とますます大きく開こうとする。

『ほんとだ。可愛い目がぱっちりあいたね』と笑うのが朝の日課だ。


友達が実家で採れたブルーベリーの実を持ってきてくれた。

『これ、なあに?』とあーちゃんが不思議そうにかごを覗き込んだ。

『ブルーベリーだよ。目に良いんだよ』と言うと

『ほんとーーー!?』と叫び一粒食べて、洗面所に走って行った。

『どうなった?どんな目になった?』と鏡を覗いている。

『ん?』と首をかしげ、ダダダッ!と走ってきてまた一粒食べて、一目散に鏡の前に行く。

『今度は。どうだ?どんな目になった』真剣に鏡を覗き込む。

・・・・・・

『あはは。あーちゃん。目に良いって言うのは良く見えるようになるっていう意味だよ。』

『なんだ。そうか。。素敵な目になるのかと思った』


お兄ちゃんが部屋から
『お母さん。ちょっと見てーー』と叫んでいる。

『なに?』

『俺のTシャツ知らない?』

『ないの?またベットで脱いで下に落ちてんじゃないの?』とベットの下を除くと
壁とベットの隙間にTシャツらしきものが見える。

『ほら。そっちの奥に落ちてるみたいだよ。見てごらん』と言うと

壁とベットに顔をつけて『せまっ!隙間ちっちゃくて見えねー!』と叫んだ。

側に立ってみていたあーちゃんがベットに飛び乗って
『まかして!!あーちゃん、目ちっちゃいから見えるから!」と隙間を覗き込んだ。

『あはは。目が小さいから見えるって問題じゃないだろ!』と兄ちゃんが笑った。

『えへへ。そうなの?』と複雑そうにあーちゃんが笑った。


『お母さん、あーちゃんの目が小さいって言ってごめんね。あーちゃんのお目目、キラキラしてとっても可愛いよ。』

『ほんと?』

『うん。ほんと』

気にしてたんだなぁ。ごめんね。
もう、朝の儀式は終わりにしようっと。