トンネルの向こう側

暗いトンネルを彷徨い続けた結婚生活に終止符を打って8年。自由人兄ちゃんと天真爛漫あーちゃんとの暮らしを綴る日記

身がもたない。。。

2009-05-29 21:51:31 | 
お兄ちゃんが宿泊研修の前の日に『実は学校でトイレにいけない』と告白された。

成長期真っ盛りのお兄ちゃん達。
どの子も自分のからだの変化が気になって仕方がないらしい。

ある日、トイレでお兄ちゃんの隣に立った子が『見せて』と言った。
『やだ』って言ったらその子は黙って去っていった。

しかしお兄ちゃんはそれからまた誰かが見せてと言って
ふざける子達だったら仲間を呼んでくるかもしれないと不安になり
トイレにいけなくなったのだと言った。

どおりで最近慌てて帰ってきてトイレに駆け込んでいると思ったら。。。

だから宿泊研修のお風呂に入りたくないと憂鬱そうに言った。

そんな、前日に告白されても。。。。
一度不安に駆られるとなかなかそこから抜け出せないらしく
大きなため息を何度もつく。

『先生にはお兄ちゃんのことちゃんと伝えてあるから見ていてくれると言ってたよ。脱衣所にも当番で立つ先生の名前が書いてあるから大丈夫だよ。
お風呂に入っている時間も短いし、お兄ちゃんにかまっている暇なんてないと思うよ』

『そうか。先生がいるなら大丈夫か』とちょっとホッとしたようだったが
時々思いつめたようにため息をついた。

お兄ちゃんが宿泊研修に出かけている間に、相談員さんに電話をした。
今の学級のことや最近の勉強のことなどをはなし、
『去年の検査から1年経ったので、周りの対応など上手くいっている部分も見受けられるのでまた検査をしてみたい』と言われた。

もう少し詳しい情緒面の検査にするか、またウイスクにするかはその時にの面談でと予約した。

実際にそういう目に合ったわけではないけれど、ある事がきっかけで廊下に出たりトイレに入っているときに嫌がる事を強制されて、それを断ったらきっと仲間を呼んできて囲まれて無理やり嫌な事をやらされそうな気がして、恐くてトイレに行けないと言っている事を相談した。

相談員さんは、深刻そうに
『それで、お母さんはどう対処されたんですか?』

『だから、囲まれたわけでもないし、無理やり嫌がる事をされたわけでもないんだから心配しなくても良いんだよ。』と宥めたんですが。。。

『お母さんがそんなことないよと言って本当に起こってしまった時の方が恐いんですよ。そういう時はこうするんだよという対処法を伝えて安心させてあげる方が良いんですよ。』

そうなのか。。
起こってしまってからでは遅い。
確かにそんな恐ろしい目にお兄ちゃんがあったら。。。
考えただけでぞっとする。

そんな事は起こらないに違いない。
そう思っていたい。

でもそれではお兄ちゃんの不安は消えないし、対処法を聞けば安心して
トイレにいけるようになるのかもしれない。

電話を切るときに相談員さんが『心配ですねぇ。。。大丈夫でしょうか。。。』ともの凄く暗く深刻そうな声で呟て電話が切れた。

なにが?
何が心配なの?

宿泊研修のお風呂でお兄ちゃんが想像しているような恐ろしい事が起こるかもしれないって事?

突然、私の中に妄想の映像が浮かびぞっとした。

それから、心配の種が噴出して夜も殆ど眠れなかった。

次の日の仕事もなかなか集中できず『きっと楽しんでいるに違いない。元気に帰ってくるはずだ』何度も自分に言い聞かせた。

相談員さんはきっと何度もこういう事例を見てきたのだろう。

前に『支援が行き届かず何人も不登校や引き篭もりになっていく子を見て
本当に残念でなりません。ぜひお兄ちゃんに武器(支援のこと)を持たせてあげてください。』と言っていた。

だからお兄ちゃんの不安も空想だけだとは思えなかったに違いない。

そんな風に思えば思うほど私の不安は膨らみ、お兄ちゃんの家に着く時間に
電話をかけてみたが誰も出ない。

もしや、酷く傷ついて帰ってきたのではないか。
焦る気持ちを抑えて家に着けば、
ニコニコの満面の笑顔で『ただいまー!めっちゃ楽しかったーーー』と迎えてくれた。

聞けばお風呂はみんなサウナに行っちゃって誰もいず、自分も友達と入ってはしゃいだとか、部屋が少人数に分かれていて、時間がくると外出禁止で誰も尋ねてこなくて、一緒に部屋になった子は話したことがない子だったけど本好きで寝るまで
しりとりをして遊んだとか。。。

とにかくすごーく楽しくていい想い出ができたらしい。。。

良かったよ。
本当に良かった。

相談員さんの言う事はもっともだと思う。
起こってからで遅い事もあるだろう。

だけど心配性の私には精魂尽き果てる一日だったよ。

クラスに馴染めてなくてお弁当も1人で食べているんじゃないかって心配したけど
全然大丈夫だったらしい。

お兄ちゃんって逞しいんだか、弱いんだか分からない。

こんな事が何度もあったら、あたしゃ身が持たないよ。。。

こういう日は

2009-05-19 20:50:51 | 
お兄ちゃんの新しい担任の先生との面談。

お兄ちゃんは今のクラスに馴染めていないこと。

いじめまがいのからかいを受けていること。

このままでは学校生活が辛くなることは目に見えていること。

本人にもっと詳しく自分の状況を説明した方が良いのではないか。

養護学級へは移る気はないのか。

普通学級で頑張るならクラスに理解を求める方法はダメだろうか。

進学はどうするのか。

普通高校を目指すならやはり何らかの支援が必要なのではないか。

親身に真剣に相談にのってくださった。

養護学級の先生とも相談の機会をもうけて下さると言った。

前にお兄ちゃんにお兄ちゃんの苦手な部分の話と養護学級などの支援の話をすごく慎重に話したつもりだったけど
『自分はどうせダメ人間なんだ』と興奮してその後ひどく落ち込んでしまって
それ以来話していない。

進路のことも改めて先生に『楽観できる検査結果ではない』と言われたことも
少なからずショックを受けた。

お兄ちゃんらしく進める道を進んだら良いと最近は前向きになれていたのに
現実から逃げていただけなのかと揺れる。

からかい半分のいじめを受けているといわれた事は1番辛い。

お兄ちゃんは家では本当に明るくて、優しくてそんなそぶりは微塵も見られない。

時々『誰も俺なんか相手にしない』とぽつんと呟いていて気になっていたけれど。。

最近、唯一仲の良かったお友達も『お前はしつこい』と言って
離れていった。

先生が『これは第一回目の面談ですね』と第二回も第三回もやりましょうと言う事を言ってくださった。


お兄ちゃんが私の知らないところでの必死に生きていることを思い知らされる日は本当に辛い。


ありのままを生きる

2009-05-16 22:08:21 | 子供
去年の夏、私は混乱していた。
もしかしたらお兄ちゃんはLDなのではないか。
発達障害なのではないかと。

意を決して受けた相談センターの検査でハッキリした事はいえない。
お兄ちゃんには武器が必要なのだといわれた。

『できない事を訓練するのではなく、出来る事を伸ばすのです』

言葉では分かるけれど何ができて何ができないのか分からなかった。

学校の勉強でできる事は何もなかった。
スポーツも美術や音楽も取り立ててこれがお兄ちゃんの伸ばすべき物だとはおもえなかった。
何を目標にたてて良いのか分からなかった。

テストが近くなれば必死で2人で勉強し、惨憺たる結果に落胆する日々だった。

お兄ちゃんのやる気は失せ、イライラとし、気分の浮き沈みが激しい日々が続いた。
私はお兄ちゃんと進む道を見失いつつあった。

私は動けなくなった。
無理に勉強をさせる事の意味も見出せなくなった。

お兄ちゃんはマンガが好きだ。
アニメも大好きだ。

動けなくなった私はお兄ちゃんとマンガやアニメを見続けた。
アニメにはお兄ちゃんにとって大切な思いやる気持ちや生きていくうえで大切な
事が詰まっていた。

アニメを見ながらお兄ちゃんと色々話した。
ただ説教するだけじゃ伝わらない事もアニメの話に結びつけると理解しやすいようだった。

そのうちお兄ちゃんはアニメの小説版を図書館で借りてきた。
『何度も読んで何度も借りるの面倒だからノートに写すことにした』と言い出した。

何ページもノートにびっしりと書き続けた。
『お母さん、手が痛くなってきた。パソコンに打って残す事はできないの?』

『ワードが入っているからできるよ』

夢中になって本をパソコンに打ち始めた。
見る見るうちにパソコンを打つのが早くなった

欲しいものがあると言った。
我家はお小遣いの他にお手伝い1回10円となっている。

お兄ちゃんはお小遣いのほかに1日何回お手伝いをすれば
欲しいものが買えるかを計算し計画を立ててお金を貯め続けた。

貯まったお金で欲しいものを買えたとき
『自分で働いたお金で買うと買ってもらうよりずっと達成感があるね』と言った。


『できない事を訓練するのではなく、出来る事を伸ばしてあげる』

私が動けなくなって、お兄ちゃんはありのままに生きられるように
なった。

今、私にできる事はお兄ちゃんの後ろをゆっくりと付いて行く事なのだと思う。




あなたは悪くない

2009-05-12 21:53:32 | ポエム
『どうやら私は真面目だったらしい。そして頑張りやさんだったらしい。先生にそれが1番いけないんですよって言われた。
もっと好い加減に頑張らない方が良いんだって。
大分、調子も良くなってきたから来月を目標に復帰しようと考えているんだ』

頑張らない方が良いって言われて、のんびりした方が良いと言われて
それで目標立てて頑張っちゃうところがあなたらしいよ。

頑張るなって言われたって、真面目をやめなさいって言われたって
そうやって頑張って、真面目に生きることであなたは自分を支えつづけ
此処まで生きてこられたんだよね。

友人はある朝、布団から起き上がることができなくなった。

どんなに起きようとしても布団から出られない。

食べる事も話すこともできない。

病院のベットで半年間過ごした。

先生は『もう、頑張らないで』と言ったらしい。

『私は頑張っているつもりはなかったんだけどね。結婚もせず、いまだに実家住まい。怠け者でぐうたらな性格だと思っていたんだけど。
どうやら私は真面目だったらしい』

『そうだよ。あなたは真面目だった。私がテスト勉強をさぼっていて『なんとかなるさぁ』って言ったら『ちっこちゃん、毎日の積み重ねだよ。何とかなんてならないんだよ』って叱ってくれたじゃん。

私が借りた10円をいつまでも返さなかったら
『ちっこちゃん。わずかなお金でも借りたら返すんだよ』って教えてくれたじゃん。

あなたは真面目だったよ。いまでもあなたの言葉を思いだして自分を律する事が
沢山あるよ。


あなたが悪かったから病気になったわけじゃない。

あなたのせいじゃないんだよ。

本当によく頑張ったね。
これからだって真面目に頑張ったら良いんだよ。

そうやって自分を生きてきたんだから。

あなたのままで良いんだと思う。

元気になったらまた会いましょう。
待ってるからね。

ゆっくり大きくなる。

2009-05-07 19:32:02 | 
毎日青空に恵まれ、桜満開のあっちの公園。こっちの公園と公園三昧の連休だった。

去年って何してたっけと考えたら、去年は引越しの真っ最中だった。

もう、1年も経ったんだなぁと思った。

お兄ちゃんがおばあちゃんの家まで自転車で行くと言い出した。
実家は町外れの山の上にある。

うちからバスで乗り継いで1時間。

今までもひとりでバスで行くと言って途中で間違えて降りて行方不明になったり。

遠出すると出かけたっきり約束の時間になっても帰ってこず探し回ったら途中で家の鍵を落として探し回っていたり。
とにかくお兄ちゃんの冒険はいつもハラハラして寿命が縮まる事ばかりだった。

今回は色々な状況を想定して、パンクがした時のお金や連絡の有無をしっかり確認して見送った。

結果はトラブルもなく無事にたどり着いた。


ある日、お兄ちゃんの部屋に掃除に入ると壁一面に学校のプリントが
貼り付けてあった。

連絡簿。学級通信。今月の予定。年間予定。その他行事に関するプリント。
一目で学校の行事が分かるようになっていた。

小学校から去年位まで学校へ提出するプリントがいつも鞄の中にくしゃくしゃに
潰れた状態で入ったままでいつも学校から連絡がきて、慌てて提出する生活だった。

何度言っても直らず、コソコソとお兄ちゃんの鞄を漁る毎日だった。

今年に入ってから貰ったその日には渡してくれて、忘れる事はなくなった。
尿検査も自分でちゃんと採って持って行ったらしい。

ジャージ登校も給食なしの日も忘れることなく伝えてくれるようになった。

あーちゃんも学校へ1人で行って、学童から1人で帰ってくるようになった。

ドアの鍵が古くて開けるときにコツがいるので、なるべくあーちゃんが帰るまでには家に帰るようにしていた。

今日は週一回のスーパーの特売日だった。

お兄ちゃんも学校から帰ったら床屋に行くと行っていた。

もう帰る頃だ。鍵が開かなくて困ってないだろうか。
早く。早くと気持ちは焦るのに行列のできたレジはなかなか進まない。

携帯で電話しても誰もでない。

どうしよう。。。
ようやくレジが済んだ頃にはあーちゃんがいつも帰る時間を過ぎていた。

慌てて荷物を入れながら電話すると
『はいはーい』とお兄ちゃんが電話にでた。

『良かった。帰ったの?あーちゃんは?』

『いるよ。一緒に帰ってきたもん』

『床屋は?あーちゃん迎えに行ってくれたの?お母さん、今買い物終わって
あーちゃんの帰りに間に合わないと思って焦ってたよ』

『買い物行くって行ってから、床屋の帰りに迎えに行ったんだ』

ホッとして電話を切った。

なんだか嬉しくて周りの買い物客に

『うちのお兄ちゃんは頼りになるんだから!』って言って歩きたい気分だった。

他にもささいな事なんだけど成長を感じる事が多くなった。

相談員さんが『この子はこの子のペースでゆっくり大きくなるんですよ』と言った
意味がようやく分った。

ゆっくり。のんびり。大きくなーれ。