大きく膨らんだ風船がパンとはじけて割れてしまったかのように、お兄ちゃんは小さくしぼんでしまった。
私の心もしぼんでしまった。
いつも、問題が起こると「これは障害なのか。それとも性格なのか」という部分で悩んできた。
出会い系サイトで騙されるというのは普通の人でも起こりえる事である。
友達に騙されてしまう事もあるだろう。
私も、OLになったばかりの頃に、街頭でたっているアンケート調査に騙されて、高価な化粧品を買ってしまって後悔したことがある。
だけど、一度だけだ。
普通なら一度失敗したなら、気をつけるものだろう。
学習するだろう。と思う。
でも、お兄ちゃんにはその学習ができないのだ。
これが悪か善かを見分ける事ができないのだ。
自分の欲望をコントロールすることができず、世の中には悪い人や騙そうとしている人がいると知っている。
学校でも出会い系サイトの注意は、何度も何度もやって頭では理解しているのだ。
でも、自分の目の前にあるものが、良いものか、悪いものなのかは判断できないのだ。
だから、やりたいか、やりたくないか。欲しいか欲しくないかで判断して、やりたい時はすべて良く見えてしまうのだ。
お兄ちゃんから目を離してはいけないんだ。
いつも注意深く見ていなければいけないんだ。
楽になる事は一生ないんだ。
そう悟った私は、お兄ちゃんを連れて、精神科へ行った。
そこで診断書を書いてもらい、特別児童扶養手当を受け取る事にした。
困っている状態を説明して、診察してもらった結果、お兄ちゃんの障害は「知的には軽度であるけれど、思考、行動に著しい偏りがあり、著しく生活に支障をきたしているため障害は中程度とする」となっていた。
行為障害、思考障害にも、○がつけられていた。
卒業後の進路も、一般就職は、メンタル面で弱すぎて薦められないとの判断で、就労継続支援施設に行くこととなった。
そこで、しばらく働いて技術や仕事能力が向上すればA型として、雇用が認められ、保険もつくようになるという事だった。
道は長いけれど、お兄ちゃんは「頑張ってA型になる」と張り切っている。
卒業式も終わり、支援施設の説明会のために「もう、制服は着れないから、背広を作ろう」と言って紳士服売り場で
背広を作った。
孫にも衣装で背が高く、足も手も長いお兄ちゃんはとっても良く似合ってカッコよかった。
どんな形でもこれからは社会人だね~としみじみお兄ちゃんと話した。
施設ではどれくらい工賃をもらえるかわからないけれど、自分で払えるようになったら、スマホを買うんだそうだ。
卒業式の日、
「今まで、困った時は一緒に考えてくれてありがとう。 お弁当もありがとう。 働いたら、お金を貯めて家族でデズニーランドに行きましょう。」
クラスの皆の前で、母への手紙を読んでくれて渡された。
色々あったね。3年間あっという間だったね。
君は辛いばっかりだったって言うけれど、お母さんも辛い事いっぱいあったけれど、
でもやっぱり、とても良い経験だったし、良い先生やお母さん方に出会えてお母さんは幸せだったよ。
これからは、自立に向けて、少しでも前に進んでいこう。
一緒に考えて頑張っていこうね。
卒業、おめでとう。お兄ちゃん。
こちらこそありがとう。
私の心もしぼんでしまった。
いつも、問題が起こると「これは障害なのか。それとも性格なのか」という部分で悩んできた。
出会い系サイトで騙されるというのは普通の人でも起こりえる事である。
友達に騙されてしまう事もあるだろう。
私も、OLになったばかりの頃に、街頭でたっているアンケート調査に騙されて、高価な化粧品を買ってしまって後悔したことがある。
だけど、一度だけだ。
普通なら一度失敗したなら、気をつけるものだろう。
学習するだろう。と思う。
でも、お兄ちゃんにはその学習ができないのだ。
これが悪か善かを見分ける事ができないのだ。
自分の欲望をコントロールすることができず、世の中には悪い人や騙そうとしている人がいると知っている。
学校でも出会い系サイトの注意は、何度も何度もやって頭では理解しているのだ。
でも、自分の目の前にあるものが、良いものか、悪いものなのかは判断できないのだ。
だから、やりたいか、やりたくないか。欲しいか欲しくないかで判断して、やりたい時はすべて良く見えてしまうのだ。
お兄ちゃんから目を離してはいけないんだ。
いつも注意深く見ていなければいけないんだ。
楽になる事は一生ないんだ。
そう悟った私は、お兄ちゃんを連れて、精神科へ行った。
そこで診断書を書いてもらい、特別児童扶養手当を受け取る事にした。
困っている状態を説明して、診察してもらった結果、お兄ちゃんの障害は「知的には軽度であるけれど、思考、行動に著しい偏りがあり、著しく生活に支障をきたしているため障害は中程度とする」となっていた。
行為障害、思考障害にも、○がつけられていた。
卒業後の進路も、一般就職は、メンタル面で弱すぎて薦められないとの判断で、就労継続支援施設に行くこととなった。
そこで、しばらく働いて技術や仕事能力が向上すればA型として、雇用が認められ、保険もつくようになるという事だった。
道は長いけれど、お兄ちゃんは「頑張ってA型になる」と張り切っている。
卒業式も終わり、支援施設の説明会のために「もう、制服は着れないから、背広を作ろう」と言って紳士服売り場で
背広を作った。
孫にも衣装で背が高く、足も手も長いお兄ちゃんはとっても良く似合ってカッコよかった。
どんな形でもこれからは社会人だね~としみじみお兄ちゃんと話した。
施設ではどれくらい工賃をもらえるかわからないけれど、自分で払えるようになったら、スマホを買うんだそうだ。
卒業式の日、
「今まで、困った時は一緒に考えてくれてありがとう。 お弁当もありがとう。 働いたら、お金を貯めて家族でデズニーランドに行きましょう。」
クラスの皆の前で、母への手紙を読んでくれて渡された。
色々あったね。3年間あっという間だったね。
君は辛いばっかりだったって言うけれど、お母さんも辛い事いっぱいあったけれど、
でもやっぱり、とても良い経験だったし、良い先生やお母さん方に出会えてお母さんは幸せだったよ。
これからは、自立に向けて、少しでも前に進んでいこう。
一緒に考えて頑張っていこうね。
卒業、おめでとう。お兄ちゃん。
こちらこそありがとう。