休日前の夜。
ビール片手にゴロンと横になった。
眠い目を擦りながらぼんやりとテレビを見る。
お兄ちゃんの部屋から笑い声が聞こえてくる。
週末前、仕事帰りに用事があってあーちゃんのお迎えをお兄ちゃんに頼んだ。
用事が終わって電話をするとまだ保育園に迎に来ていないと言われた。
とっくに学校は終わっているのに忘れちゃったのかな?
訝しがりながら家に帰ると丁度あーちゃんを連れてお兄ちゃんが帰ってきた。
『遅かったね』と言うと『学校が遅かったから』と言った。
その夜先生から電話がきた。
お兄ちゃんが養護学級のお友達とトラブルを起こしたということだった。
養護学級のお友達に、学校帰りに度々酷い事を言って傷つけたと言うのだ。
養護学級の子供たちが先生に訴えて発覚し、養護の先生を交えて
お兄ちゃんに注意したらしい。
お兄ちゃんはパニックになって泣いてばかりだったという。
電話を切ってお兄ちゃんに『言って良い事と悪い事があること』
『ハンデのあるお友達にそれを指摘して笑うことはいけないこと』
など話して聞かせたけれどお兄ちゃんは
『どうせ俺は空気の読めないバカヤロウなんだ。あいつらも俺が先生に怒られて
いい気味だと思っているに違いない。何をやってもダメなんだ。
俺みたいな人間は誰にも近づかなければ良いんだ。』
とパニックになって泣きだしてしまった。
どうしてそんな事ばかり言うのだろう。
どう言ったら分かってくれるのだろう。
泣いてばかりいる息子をみて途方にくれた。
きっと、この子は人の気持ちも理解し難いのだろう。
幼い子が足の悪い人を指差して『あのひとどうしたの?』というように
悪気があるわけじゃなく、分からないだけなのだ。
普通なら体の不自由な人にそんな事言わないと暗黙で理解する事も
お兄ちゃんには分からないに違いない。
『俺ってどうして人と上手くいかないんだろう』机に向いながらそう言った。
『誰だって上手くいかないさ。お母さんなんて未だにお友達に言わなきゃよかったなぁって思うことあるよ。後悔しながら言ってはいけないことを学んでいくんだよ。
テレビの話とか『昨日のしんちゃん面白かったね』とか『小島よしおって面白いよね』とか『こんなゲーム買ったら面白かった』とかは話しても良い事だよ。
『お前、太ってるとか痩せてる、足が遅いとか顔が醜いとか』そういう相手の
事を話すことはトラブルの元なんだよ。
『そうか。ナルト面白いよねとかは良いんだね。なんか分かってきた』と嬉しそうに笑った。
素直なお兄ちゃん。君はすごいよ。
傷ついても傷ついても立ち上がって生きようとする。
その目はいつもくもりなく澄み切っている。
ぼんやりテレビを見ながらウトウトしているといつの間にか
部屋が静かになっていた。
お兄ちゃんがフラッと居間に来て
『勉強、終わったよ。明日はお父さんちだから2日分やった。』そう言って嬉しそうにテストを見せた。
この前の技術のテストだった。
一夜漬けでやったテスト。『48点』だった。
『すごーい!良かったね』というと照れくさそうに笑い
『ここはねこうやって考えて書いたんだよ』と得意そうに話してくれた。
この前、古典の暗記のテストがあると言って二人で頑張ったけれど
なかなか覚えられず、ふざけてお兄ちゃんの好きなアニメの曲に
古典の詩をあてはめて歌って覚えたらすぐに覚えられた。
2人で大きな声で歌ってあーちゃんが踊って、ゲラゲラ笑いながら覚えた。
学習障害と向き合って生きる。
ちょっとだけ光が見え始めた気がする。
ビール片手にゴロンと横になった。
眠い目を擦りながらぼんやりとテレビを見る。
お兄ちゃんの部屋から笑い声が聞こえてくる。
週末前、仕事帰りに用事があってあーちゃんのお迎えをお兄ちゃんに頼んだ。
用事が終わって電話をするとまだ保育園に迎に来ていないと言われた。
とっくに学校は終わっているのに忘れちゃったのかな?
訝しがりながら家に帰ると丁度あーちゃんを連れてお兄ちゃんが帰ってきた。
『遅かったね』と言うと『学校が遅かったから』と言った。
その夜先生から電話がきた。
お兄ちゃんが養護学級のお友達とトラブルを起こしたということだった。
養護学級のお友達に、学校帰りに度々酷い事を言って傷つけたと言うのだ。
養護学級の子供たちが先生に訴えて発覚し、養護の先生を交えて
お兄ちゃんに注意したらしい。
お兄ちゃんはパニックになって泣いてばかりだったという。
電話を切ってお兄ちゃんに『言って良い事と悪い事があること』
『ハンデのあるお友達にそれを指摘して笑うことはいけないこと』
など話して聞かせたけれどお兄ちゃんは
『どうせ俺は空気の読めないバカヤロウなんだ。あいつらも俺が先生に怒られて
いい気味だと思っているに違いない。何をやってもダメなんだ。
俺みたいな人間は誰にも近づかなければ良いんだ。』
とパニックになって泣きだしてしまった。
どうしてそんな事ばかり言うのだろう。
どう言ったら分かってくれるのだろう。
泣いてばかりいる息子をみて途方にくれた。
きっと、この子は人の気持ちも理解し難いのだろう。
幼い子が足の悪い人を指差して『あのひとどうしたの?』というように
悪気があるわけじゃなく、分からないだけなのだ。
普通なら体の不自由な人にそんな事言わないと暗黙で理解する事も
お兄ちゃんには分からないに違いない。
『俺ってどうして人と上手くいかないんだろう』机に向いながらそう言った。
『誰だって上手くいかないさ。お母さんなんて未だにお友達に言わなきゃよかったなぁって思うことあるよ。後悔しながら言ってはいけないことを学んでいくんだよ。
テレビの話とか『昨日のしんちゃん面白かったね』とか『小島よしおって面白いよね』とか『こんなゲーム買ったら面白かった』とかは話しても良い事だよ。
『お前、太ってるとか痩せてる、足が遅いとか顔が醜いとか』そういう相手の
事を話すことはトラブルの元なんだよ。
『そうか。ナルト面白いよねとかは良いんだね。なんか分かってきた』と嬉しそうに笑った。
素直なお兄ちゃん。君はすごいよ。
傷ついても傷ついても立ち上がって生きようとする。
その目はいつもくもりなく澄み切っている。
ぼんやりテレビを見ながらウトウトしているといつの間にか
部屋が静かになっていた。
お兄ちゃんがフラッと居間に来て
『勉強、終わったよ。明日はお父さんちだから2日分やった。』そう言って嬉しそうにテストを見せた。
この前の技術のテストだった。
一夜漬けでやったテスト。『48点』だった。
『すごーい!良かったね』というと照れくさそうに笑い
『ここはねこうやって考えて書いたんだよ』と得意そうに話してくれた。
この前、古典の暗記のテストがあると言って二人で頑張ったけれど
なかなか覚えられず、ふざけてお兄ちゃんの好きなアニメの曲に
古典の詩をあてはめて歌って覚えたらすぐに覚えられた。
2人で大きな声で歌ってあーちゃんが踊って、ゲラゲラ笑いながら覚えた。
学習障害と向き合って生きる。
ちょっとだけ光が見え始めた気がする。