トンネルの向こう側

暗いトンネルを彷徨い続けた結婚生活に終止符を打って8年。自由人兄ちゃんと天真爛漫あーちゃんとの暮らしを綴る日記

戸惑ってしまう事

2010-07-29 19:46:49 | 
人の言葉の裏をとって戸惑ってしまう事が良くある。

『ちっこさんとこのお兄ちゃんが支援クラスにいくと決まった時、朝の会に
学年のそれぞれのクラス中で先生が○組の△君(息子の名)が3年生になったら
支援クラスに異動すると一斉に言ったの知ってた?』とママ友に聞かれた。

そうだったのかとちょっとビックリした。
2年生の最期の日息子はそれまで過ごしたクラスにお別れの挨拶をした。
先生が前日に『明日は少し遅く来るように、みんなに先に説明しておくから。
教室に着いたらみんなにお別れの挨拶をしよう』と言われていたので自分のクラスだけだと
思っていたら学年一斉だったとは。

でも息子が支援クラスに異動する時の不安で『今までの普通クラスの友達の反応が心配』
と言っていたので、担任の先生と色々相談していた。
黙っていって、何か噂されたり、言われたりするより先に伝えようという先生の配慮なのだと受け取った。

教えてくれたママ友は『それで、△君を知っている子達が家に帰って親に言ったらしくて、うちはちっこさんと仲が良いから、お母さん方から、どうなの?本当なの?また戻れるんでしょって聞かれて困っちゃった。
それに、うちの子のクラスでは△君は勉強が出来ないから支援クラスにいきますって説明したらしいよ。
ねえ。もし、他のお母さんから何か聞かれたらなんて答えたら良い?』

私は混乱した。
このママ友とはずっと仲良しで今まで息子の事も随分話を聞いてもらった。
唯一私の今までの葛藤をしっている人だ。

そのママ友の息子が『支援クラスは勉強の出来ないやつの行くところ』と言っていたと聞いて『お兄ちゃんはちょっと障害があって支援クラスにいく予定なんだと伝えてね。勉強ができないからって言われたら悲しいから。』と伝えた事があった。

その時の事を言っているのかと思った。
『先生も勉強できないから支援に行くって言ってたよ』と息子は悪くないよと言いたかったのだろうか?
その友達がその事をわざわざ私に伝えたのはなぜなのか。

私は混乱しながら『なんて言ったら良い?』と聞くママ友に
『じゃあ、勉強ができないからいったって言えば良いんじゃない。分かりやすいんでしょ』

そう言うとママ友は
『そうだよね。障害とか説明難しいもんね』と納得したように頷いた。

その後、そのママ友はちょっと黙り込んだ後『ちっこさんは、苦労してばっかりで。。』
と泣いた。
私はなんだか分からなくなった。


先日、母が『妹(叔母)が孫と一緒にあーちゃんを果実狩りに連れて行ってくれるって言ってるよ。その後実家にあーちゃんと2人で泊まりたいって言っているんだけど』と電話が来た。

『大変でしょ。』
『そんな事ないよ。二人とも小学生だしあーちゃんと遊んでくれたら叔母も助かるんでしょ』と言い最近どこも連れて行ってあげられなかったからお願いした。

次の日実家に迎えに行くと母は
『ほら!あーちゃん返したからね!もう!果実狩りの後、海もよってはしゃいではしゃいで
~~』と私の顔を見るなり、いかに大変だったかを弾丸のように訴え続けた。

私が無理にお願いしたわけじゃないのに?なぜこんな面倒を押し付けられたみたいに
言うのかと混乱する。

母は子供達にゲームとか買おうとする。
『誕生日じゃないんだからいつでも買わなくて良いよ』といつも言うのに
『大した高くない1000円位の中古なんだから良いじゃない』といって買ってしまう。

私といる時はそういうのに子供たちとだけいて強請られて買ったときは
『あれも、これも買えって言うから買わされたからね』と言う。

『ダメな時はダメって言ってよ。』
『そんな、けちな事言えないよ』

おねだりさせた私が悪いという言い方に聞こえる。
いつも子供達には『おねだりしない事』と言っても

『ばあちゃんが買ってやる、買ってやる、選べって言ったんだ!決め付けんな』と
兄ちゃんと喧嘩になる。

今週も子供達は実家に遊びに行っている。
『大変でしょ』と電話をかけると

『全然。』と答える

『わかんないけど』と鼻で笑った。

わかんないけど何だ?

人の言葉の裏を読めば見えない悪意を感じたり、傷ついたりする。
分かっているのになかなか止められないのだ。

もっと鈍感でありたいと思う。



今でも考えさせられる出来事

2010-07-27 22:26:54 | 
『どうして!ちゃんと見ていなかったの!危ないでしょ!お友達が怪我するでしょ!』

水溜りに石を投げて遊んでいたら間違って向かいに居た男の子のおでこにあたった。
小さな石だったのでちょっと泣いただけでその男の子は泣き止んだ。

瘤も血も出なかった。

石を投げた子の母親が烈火のごとく怒り出し、まだ3歳になったばかりの息子を
叱り付けていた。

引きずって、公園の外れまで連れて行き、泣き出した我が子に
『泣くな!お母さんの話を聞きなさい!』そう言って子供の頬を打った。

火がついたように泣き出した子を『泣くな!』と何度も頬を叩いた。

『わざとじゃなかったよ』堪りかねて声を掛けた。

我にかえった母親は、慌ててぶつけた子に駆け寄り『ごめんね。ごめんね』と謝った。

公園の中にいた他のお母さん達は遠くから様子を伺いジロジロ見ていた。

『みんな、ちゃんと子供も叱れないくせに、私の事虐待だとか思っているんだわ』

息子が2歳で公園に遊びに行くようになってから、そのお母さんは気軽に声を
かけてくれた。

気さくな人ですぐ仲良くなった。

子育てに信念があって、『悪い事をしたら叩いて教える。正しい事はしっかり躾ける。今の
母親達は全く子供を叱れない。その癖ちょっと叱っている母親を見たら批難する』

『ちっこさん!ほら!お子さんがあんな事してるわよ!叱らないの?良いの?』と良く
怒られた。

散々、頬を打たれたその子は気づくと石をぶつけた子供と仲良くブランコに乗っていた。

振り向いた顔にはくっきりと手の後が残り、頬は真っ赤に腫れていた。

『あらー!腫れちゃったわね。』しょうがないなぁという様にその母親は二度頬を撫でた。

その息子は無表情のままブランコに揺れていた。

昨今の虐待のニュースで『躾けのつもりだった』この言葉を聞くたびに
なぜかあの公園の風景を思い出すのだった。


ちょっと悩んでいるんです

2010-07-20 18:06:44 | お兄ちゃん
支援クラスに入って、お兄ちゃんにとても気の合うお友達ができた。

相手のお友達も軽度の発達障害で支援クラスには中学1年の時から通いだしていて
今まで、放課後遊ぶ友達がいなかった為に、お兄ちゃんと出会って本当に嬉しかったらしく
毎日、毎日、休日もずっと遊んでいる。

先週末はうちに泊まりにきた。
私の顔を見るなり『今日は、宜しくお願いします。』とペコッとお辞儀をして
挨拶してくれた。

部屋に入っても仲良くゲームをしたり、カードで遊んだり。
夜、10時を過ぎたから『ゲームの音小さくするか、窓閉めて遊んでね』と言えば
2人でマンガを読み出して10時半には寝てしまった。

そんな2人だけど、先日も外でサッカーをしていたら、高校生に絡まれて10人ぐらいに
追いかけられて二人で逃げてきたらしい。

お兄ちゃんは前にも同じような事があったけれど、ジロジロ見ちゃったり、
大きな声で笑ったりするために2人とも絡まれやすい。

そのお友達のお母さんともとても親しくしていただいて、困った時のメールの交換や
打ち合わせをしたりできて、とても心強い。

ずっと悩みの種だったお兄ちゃんの放課後の過ごし方が随分楽になった。

が。。。
先日、普通クラスに通っている友達のママ友から
『うちの子の友達がお兄ちゃんが、中古ゲームショップの体験ゲームコーナーで友達と
よく遊んでいる姿を見かけるって言ってたよ』と聞いた。

個人面談の時も先生が
『カードのやり取りやお金のおごったりのやり取りのトラブルは起きていませんか?』と聞かれた。

先生が『お金の話?』と聞くと『俺たちの問題だから』と言われたらしい。
『ジュースのおごりからだんだんエスカレートしてトラブルにならないように注意して
ください』と言われた。

そういえば最近、夕飯を残す事が多くなった。
『何か食べてきたの?』と聞けば『別に』と言う。
サッカーをしていて高校生に絡まれてからサッカーの話をしなくなった。

どこを、フラフラしているのだろうとちょっと心配になってきた。

カードもお兄ちゃんが結構レアなカードを持っているので
お友達が家でパソコンのオークションでチェックして『これ凄い!欲しい』と言って
困るとお母さんが言っていた。

中古ゲームショップの体験ゲームコーナーにいると言う情報をお友達のお母さんに
連絡した方が良いのかなぁ。

ママ友の子供の友達の話。
又聞きの又聞きのはっきりしない情報。

普通クラスから異動したお兄ちゃんは、普通クラスに顔見知りが多いから、支援クラスに
行った息子の事が気になるらしく、前も『なんか、お兄ちゃん制服のボタンも肌蹴て不良っぽくなったって息子が言っていたけど、支援クラスへ入ってどうなの?』と心配してメールをくれた事があった。

支援クラスに入って、自信を取り戻しつつあるお兄ちゃんは、態度も前よりずっと
堂々として廊下も賑やかに笑って歩いているらしい。(前は笑うだけで『きもい』と女子に
言われたり、ちょっかいを出す男子から逃げ回っていた)そんな姿が目立ったのかもしれない。

その時は『頑張ってます。真面目にやってます。』の細かい情報が毎日連絡帳に
書かれているので、着替えも頻繁なのでボタンを閉める暇がなかったんだろうと思われた。

たまたま1回見ただけで『よく見かける』とか言っているのかも。。。
今回の情報も同じ子だし。。

もう少し、様子を見るか。。。

たった一人で

2010-07-15 20:06:29 | お兄ちゃん
『お母さん、彼はたったひとりで生きてきたんですよ。

誰にも、自閉症だと知られず、言葉の分からない世界に放り出されて
たったひとりで自分の力だけで情報を収集するしかなかったんです。

あちこちに散らばった、時にはテレビから、時にはマンガから
ありったけの知恵を絞って情報を集め言葉を使うためにひとり奔走していたんです。

どんなに混乱して生きてきた事でしょう。

そうやって、頑張って集めた言葉でトラブルが起こったりするとき、
彼はどれほど寂しかったでしょうか。

彼が、今、言葉の使い方の間違いを指摘されたり、
何かを注意された時にパニックになって爆発してしまうのは
それしか自分を守る方法がなかったからです。

そうやって、生きるしかなかったからです。

お母さん、その事を解してあげるにはとても時間がかかります。
ゆっくりと、爆発する前に方法があるよとひとつひとつ教え、伝えていく
しかありません。』

ずっと、小さい時から育てにくい、自分ばっかり子育てに苦労してるって
思ってきた。

何も知らず。

何も知りたくなくて。

何も認めたくなくて。

都合の良い子供を得るために。

君を遠い異国の地で育ててしまった。

お母さんの声は聞こえましたか。

これからはお母さんが遠い異国の言葉で話しましょう。

お母さんは、間違ってました。

本当にごめんなさい。



始まったばかり

2010-07-02 19:49:45 | 
『あの、先生!何様なんだ!いきなり怒鳴りやがって!』と突然お兄ちゃんが怒り出した。

お兄ちゃんは、支援クラスの学級研修行事で班長になったらしい。
3年生がそれぞれのグループの班長になって、1、2年を纏めて、その日一日の仕事を仕切るのだという。

『俺、何、やるのかわかんない。なんか先生が言っていて『はい!はじめ!』って言われて
も全然わかんない』憂鬱そうの呟いた。

「そしたら、いきなり『言葉を戻せ!後輩に命令するな!』って怒鳴りやがって!
俺、命令なんかしてないのに!あの先生嫌い!何様なんだ!』

大きなため息をつきながら吐き捨てるように言った。

支援クラスに入って、初めてお兄ちゃんは戸惑い、動揺して、パニックになっていた。
『先生も、今までのお客さん状態からそろそろクラスの一員として、がんばろうって
事じゃないの?』

『先生と!同じ事言うんだな!』とイライラが納まらない。

『俺は命令なんかしてないのに決め付けやがって!』

『お兄ちゃん、やって。とか持ってきて。とかも命令になるんだよ。
やってください。持ってきてください。て『です』と『ます』をつけるのが敬語なんだよ。
『お願いします』とかね。』

『年下なのに『です』とかつけるのかよ。』

『当たり前だよ。だって一緒に仕事をするんだから』

『・・・・』そうだったのかというようにビックリした顔をして無言になった。


知らなかったんだなって思った。

『お兄ちゃんは、強い口調で叱責されると『嫌われているから悪くないのに怒られたんだ』とマイナスに受け取って困惑してしまう傾向があるので高等養護学校の受験の時には
先生に、やわらかく指示して欲しいと伝えた方が良いです』と言われたのを思い出した。

連絡帳に
『班長になったこと不安に思っているようです。具体的にする事を伝えてもらえると安心
すると思います。あと医師から強い口調の支持はマイナスに受け取る傾向があると言われています』と書いた。

次の日、『先生が場面、場面で一つずつすること教えてくれた』と嬉しそうに帰ってきた。
安心したのだろう。。。

連絡帳に『今。友達3人と友達付き合いについて個別に指導しています』と書いてあった。

最近、やっと仲良くなった友達とお兄ちゃんのコミニュケーション不足から
ギクシャクし始めていた。

先生方はすばやくその様子を察知して、指導をしてくれたらしい。

先日、またあーちゃんのお財布から千円がなくなった。
『ない!ない!』と騒ぐあーちゃんに

『俺!絶対!しらねー。絶対俺じゃねー!』と必死の形相でお兄ちゃんが叫んだ。


前々から欲しがっていたゲームソフトに500円足りないと言っていたのに
数日前に『安いところ見つけた』と買って来ていた。

最近、あーちゃんの友達も色々出入りするようになって、中には
勝手にあーちゃんの机を全部開けて見ている子もいる。

私自身は、誰が盗ったとかじゃなくて、家の中でお金がなくなる事事態が、過去の元夫の家庭泥棒を思い出して、辛さに吐きそうになる。

私が凹んでしょんぼりしていると『俺のこと疑いやがって!』と部屋で暴れていた。

『お兄ちゃんの事、疑っているわけじゃないよ。お兄ちゃんは支援クラスに入って、
友達も出来て、毎日頑張って立派になったんだから、そんな恥ずかしいことするはず
ないもんね。ただお母さんは家の中でお金がなくなることが辛いんだよ。』
涙がポロポロとこぼれた。

『俺は、今の仲間ができて、もうくだらない嘘や盗みはしないと決めたんだ』そう言った。

自閉症と分かって、行動にもこだわりが強いと言うことを知った。

今までどうしてもやりたい事はやってしまうのはわがままや幼さからくるんだと
思っていた。

しかし、医師から『行動のこだわりは、治らないです。無理に止めると事態は悪くなります。壊れた自転車でも支障がなければ乗せてあげれば良いし、持って行きたかったら
持たせてあげられる範囲で持たせてあげてください』と言われた。

今回の事は、半分くらいお兄ちゃんかもって思っている。(過去の事も何度もあるし)

でも『やりたい』というこだわりがあるのなら
『絶対にやらない』というこだわりもあるだろう。

お兄ちゃんの『欲しくても、おうちのお金は盗らない』というこだわりを持ってくれたなら
良いなって思う。

友達のことも、先生のことも、そして生活のさまざまなことも

お兄ちゃんの支援は始まったばかりなのだと思った。
これから、学んでいくんだよね。