数年前のこと
ある日、玄関のチャイムがなった。
「お宅のご主人様にご融資をさせていただいたのですが、返済が滞ってまして
連絡もつかず、こちらに伺わせていただきました。」
全く心当たりがなかった私は動揺しすぐに夫に連絡をとった。
夫は「免許証を盗まれて悪用された。いますぐ警察に行って手続きをしてもらうから。支払いは借りた時の俺のアリバイが証明されたから、保険適用になって
支払わなくても大丈夫だから。安心して」と言った。
そして夫はその足で警察へ行き、本当に免許証を再発行してもらってきた。
免許証の裏に『再発行』の文字を見て私は心のそこから
「良かったねー」と安堵したのだった。
でもそれは全て夫の自作自演だった。
数年後その会社からの100万もの督促によって、元夫の借金の発覚のきっかけとなった。
ある時は朝、夫の携帯に電話がなった。
夫は電話にでるなり「なにーー!!そうか。はい。はい。すぐ向かいます」と言った。
ただならぬ雰囲気に「なにかあったの?」と聞くと
「前から取引して支払いが滞っていた店が倒産したらしい。すぐ行って
お金をもらうか、差し押さえられる前に商品を撤収しなきゃ行けないから
今日は帰れないかもしれない」そう言って飛び出して行った。
その日の夜遅くメールが何度も届いた。
『今。家の前で見張ってます。もう差し押さえられて商品は取れませんでした。』
『今日は車の中で寝ます』
その時も夜中に見張らなくちゃいけないなんて、可哀想にと心のそこから
同情した。
次の日目の落ち窪んだ夫が帰ってきて
「駄目だった。。。上司に責任取れって言われた。15万くらい用意できるかな」とどす黒い顔で言った。
一晩中車の中で見張って、結局無駄足でその上、上司に怒られて可哀想。
そう思った私は家の通帳からこつこつ貯めた15万をなんの疑いもなく渡したのだった。
でもそれからそんな事が何度となく起こる様になった。
その度に夫は車で野宿をし、次の日に始末書と共に自腹を切った。
結局嘘だった。
全てが自作自演だった。
倒産という真実に自腹と言う嘘をつけて要求したら
私がすんなりお金を出した事に味をしめたのだろう。
野宿と言う真実。
自腹と言う嘘。
借金と言う真実。
免許を落としたという嘘。
再発行と言う真実。
真実と嘘を上手く絡ませているうちに夫自身も
嘘が真のように思えていたのではないだろうか。
舅の車を借金のかたに売り払った時。
飲酒運転をする舅をやめさせると言う真実。
その為に車を売り払うという嘘。
嘘がばれる度に体が震えるほどの屈辱を感じた。
「私を馬鹿にしてんのか?」と詰め寄ると
「全部が嘘じゃない」と夫は言い張った。
「じゃあ!何が本当だって言うんだ!騙してお金を持っていった事に変わりないじゃないか!」と怒鳴ると
「どうせ何を言っても信じてもらえないから、どう思っても良いよ」と最後は投げやりになる。
後は貝のように黙りこくり絶対に真実を言おうとはしなかった。
夫の中に「嘘ばっかりじゃない」という自信があったのだ。
野宿だって本当だし、倒産だって本当さ。
俺は一晩中おきていた。
俺だって大変だったんだ。
「どうせ信じてくれない。俺の全てを否定している」
全てが嘘だという私が悪いかのように責めた。
夫にとって真実を嘘に絡める事は自分を誤魔化す為にも必要だったのだと思う。
夕方、ニュースで車上荒らしにあって、警察官が「署に戻って、カードを止めましょう」と言った。
その言葉にあの時の出来事が蘇り言いようのない怒りに包まれた。
信じていた者に嘘をつかれる事は本当に悲しい。
「嘘は嫌いだ。どんなむごい真実でも良いから、嘘は止めて」と何度も訴えた。
でも夫は嘘などついているつもりはなかったのだ。
だって真実の中に嘘を隠していたのだから。
私の叫びは元夫に届く事は最後までなかった。
今日も私の話を聞いてくれてありがとう
ある日、玄関のチャイムがなった。
「お宅のご主人様にご融資をさせていただいたのですが、返済が滞ってまして
連絡もつかず、こちらに伺わせていただきました。」
全く心当たりがなかった私は動揺しすぐに夫に連絡をとった。
夫は「免許証を盗まれて悪用された。いますぐ警察に行って手続きをしてもらうから。支払いは借りた時の俺のアリバイが証明されたから、保険適用になって
支払わなくても大丈夫だから。安心して」と言った。
そして夫はその足で警察へ行き、本当に免許証を再発行してもらってきた。
免許証の裏に『再発行』の文字を見て私は心のそこから
「良かったねー」と安堵したのだった。
でもそれは全て夫の自作自演だった。
数年後その会社からの100万もの督促によって、元夫の借金の発覚のきっかけとなった。
ある時は朝、夫の携帯に電話がなった。
夫は電話にでるなり「なにーー!!そうか。はい。はい。すぐ向かいます」と言った。
ただならぬ雰囲気に「なにかあったの?」と聞くと
「前から取引して支払いが滞っていた店が倒産したらしい。すぐ行って
お金をもらうか、差し押さえられる前に商品を撤収しなきゃ行けないから
今日は帰れないかもしれない」そう言って飛び出して行った。
その日の夜遅くメールが何度も届いた。
『今。家の前で見張ってます。もう差し押さえられて商品は取れませんでした。』
『今日は車の中で寝ます』
その時も夜中に見張らなくちゃいけないなんて、可哀想にと心のそこから
同情した。
次の日目の落ち窪んだ夫が帰ってきて
「駄目だった。。。上司に責任取れって言われた。15万くらい用意できるかな」とどす黒い顔で言った。
一晩中車の中で見張って、結局無駄足でその上、上司に怒られて可哀想。
そう思った私は家の通帳からこつこつ貯めた15万をなんの疑いもなく渡したのだった。
でもそれからそんな事が何度となく起こる様になった。
その度に夫は車で野宿をし、次の日に始末書と共に自腹を切った。
結局嘘だった。
全てが自作自演だった。
倒産という真実に自腹と言う嘘をつけて要求したら
私がすんなりお金を出した事に味をしめたのだろう。
野宿と言う真実。
自腹と言う嘘。
借金と言う真実。
免許を落としたという嘘。
再発行と言う真実。
真実と嘘を上手く絡ませているうちに夫自身も
嘘が真のように思えていたのではないだろうか。
舅の車を借金のかたに売り払った時。
飲酒運転をする舅をやめさせると言う真実。
その為に車を売り払うという嘘。
嘘がばれる度に体が震えるほどの屈辱を感じた。
「私を馬鹿にしてんのか?」と詰め寄ると
「全部が嘘じゃない」と夫は言い張った。
「じゃあ!何が本当だって言うんだ!騙してお金を持っていった事に変わりないじゃないか!」と怒鳴ると
「どうせ何を言っても信じてもらえないから、どう思っても良いよ」と最後は投げやりになる。
後は貝のように黙りこくり絶対に真実を言おうとはしなかった。
夫の中に「嘘ばっかりじゃない」という自信があったのだ。
野宿だって本当だし、倒産だって本当さ。
俺は一晩中おきていた。
俺だって大変だったんだ。
「どうせ信じてくれない。俺の全てを否定している」
全てが嘘だという私が悪いかのように責めた。
夫にとって真実を嘘に絡める事は自分を誤魔化す為にも必要だったのだと思う。
夕方、ニュースで車上荒らしにあって、警察官が「署に戻って、カードを止めましょう」と言った。
その言葉にあの時の出来事が蘇り言いようのない怒りに包まれた。
信じていた者に嘘をつかれる事は本当に悲しい。
「嘘は嫌いだ。どんなむごい真実でも良いから、嘘は止めて」と何度も訴えた。
でも夫は嘘などついているつもりはなかったのだ。
だって真実の中に嘘を隠していたのだから。
私の叫びは元夫に届く事は最後までなかった。
今日も私の話を聞いてくれてありがとう