お花のような人でした

突然のお別れでした。

この仕事に就いて３年。
最初の頃の辛さは忘れられません。

緊張と焦りの連続。
失敗と落胆。
針のムシロのようだと感じた日々。

そんな時、時々交わす言葉に心が温かくなり
その人の周りはいつもお花が咲いたようにほんわりと明るかった。

励まされ、癒され。
こんな人がまだ私の知らない世界にいるのだ。

狭い家族という空間に閉じ込められていた私は、その小さな光を
目指して。
今、こうしていられるのだと実感します。

ありがとう。
ありがとう。

そしてさようなら。
お元気で。

荷物

沢山の荷物を持っていて潰れそうになる。

だけど、荷物の中に自分の荷物がない事に気がつかない。

本当は自分の荷物を持ちたくないから

他人の荷物を持っている。

小骨

甥っ子が両親と話さなくなって３年が経った。

もう、大学の進路を決めなくちゃいけないのに、全く話さないため
進路が決まらない。

受験はしたけど、合否すら教えてくれないので、進路が決まらない。

去年もそうこうしているうちに浪人する事になってしまった。
今年も同じような状況になっている。

小さい時は可愛かった。
初めての甥っ子だったので、私も１年に数回合えるのを指折り数えて
楽しみにしていた。


学校に上がる頃からだんだん無口になって、それでも時々笑ってくれる
姿に癒された。

可愛い。可愛い。甥っ子だった。
今だって、可愛い。
だからこそ、心が痛む。

何を想い、どんな心の重荷を背負ってこうなってしまったのか。

私には分からない。

姉からも時々話を聞いていたけれど、私にも口を効かない甥っ子の心の中を知る術はない。

もう、甥っ子にとっては私は知らない叔母さん。
口出しなどして欲しくないだろうし。。

それでも、時々思い出しては『どうしたもんだろうか』
『こうしたら、どうだろうか』などと心の中で考えてみる。

もう今年の受験も後期のみ。
母にそれとなく聞いてみると
『あんたが人の事心配する事ない！自分の子供のこと心配しなさい！』と叱られた。

確かにね。
甥っ子には姉も義理兄もいるんだからね。

それでも、心に引っかかった小骨のようにチクチクと痛く、思い出しては考え込む。

中学１年の時に会って以来、もう何年会っていないだろう。
一緒に卓球をして笑ったあの頃が懐かしい。

親の資格

先を争うように『いってきまーす』と大きな声で出て行った。

結局、『来月○日支払い予定です』とか言いながら養育費は支払われる事は
なかった。
未入金の通帳を見て『払う気がないのならなぜ日にちを指定するのか？』って腹がたつ。
通帳の記入も止めてしまった。
馬鹿馬鹿しいから。

それでも、子供達は面会を心待ちにしている。
『来週は？連絡は？どうだった？』朝と夜と毎日聞かれ、ようやく連絡が取れ日にちが
決まると狂喜乱舞の喜びよう。

そんなに、会いたいのかねって思う。

親の資格ってなんだろうって思う。

あの人は離婚して、３ヶ月で音信普通になり養育費も滞納しつづけた。
半年して『養育を放棄したわけじゃない。面会をさせてください』と言った。

気まぐれに面会して、気まぐれにプレゼントを買う。
私にしてみればそれは養育なのか？って思う。

しかし、子供達はその一時に『最高に幸せだった。天国だった』と言う。

そんなに楽しいひとときを与えられ、自分には父親がいるのだという気持ちになれる事が
子供達の支えとなっているのだということは間違いない。

いつも一緒にいる母親など生活の一部。
楽しい事もあるけど、口うるさくて面倒な存在。

学校の事や、勉強、生活の現実に常に向き合っていかなければいけない存在。

顔を見るだけでやる事や言われる事が想像できてうざい存在。

私といる生活は『天国や極楽』とは程遠い事だろう。

実は、今日は私の誕生日。

私が生まれた日。

子供の頃も誰からも祝ってもらった事もない。
友達が誕生日にプレゼントを貰った話を聞くたびに自分の誕生日に期待を
してまっていたっけ。

でも生活はいつもと同じ
仕事で遅く帰ってきて、必死で夕飯を作る母に『今日は何の日？』って聞くと
『さあ。何の日だっけ』って必ず言われたっけ。

何の期待もしなくなった。
いつしか自分でも忘れるようになった。

過ぎてから『あら。誕生日だった』なんて事はいつもの事。

今年もあーちゃんに言われなきゃ忘れていたのにな。
覚えていてくれただけでも嬉しいかな。

まあ。私の誕生日に子供達が天国のような１日を過ごせるならそれも良いか。

４５歳。
若いときから遊びで占ってもらうたびに『あなたは、大気晩成型です』って言われてた。

晩成って何歳から言うのかしら。
今日からだと良いな。