アヴェ・マリア!
愛する兄弟姉妹の皆様、
今回は、ファティマの聖母が要求した「聖母の汚れなき御心へのロシアの奉献」について、答えることをお許しください。
【質問】
ロシアの奉献については賛否両論あります。ただし一部の方はこの「ロシアの奉献」が1952年7月7日の『最も親愛なるロシア国民に宛てた 使徒的書簡(Apostolic Letter Carissimis Russiae Populis on the Immaculate Heart and the People of Russia)』により、ピオ十二世のこの言葉「そして今、私たちはロシア全国民をこの同じ汚れなき御心に献呈しかつ奉献致します(so now We dedicate and consecrate all the peoples of Russia to that same Immaculate Heart)」を以って果たされたと主張しています:
教皇ピオ十二世の本名は、ウジェニオ・マリア・ジュゼッペ(ヨゼフ)・ジョヴァンニ・パチェリ(Eugenio Marìa Giuseppe Giovanni Pacelli)。「ヨゼフ」という名の教皇がロシアを奉献するという私的啓示の内容が取り沙汰された事がかつてありましたね。「世界中の司教と共にロシアを聖母の汚れなき御心に奉献する」という条件についてはいろいろ説がありますが、本来の聖母のメッセージには「世界中の司教と共に」という句はなかったと彼らは主張しています。もしこの奉献が為されていたのだとすれば、先日小野田神父様が説明されていた、ピオ十二世による汚れなき御心への世界の奉献後の世界情勢に好転のみならず、ソ連崩壊や、現在のロシアに於けるプーチン登場などは、ある意味聖母に約束された「一時的な平和の時期」と考える事も出来ます。つまり「ロシアの回心」は実現していたという事です。
【回答】
ファティマの聖母マリアの教皇様への要求は、明らかです。それは次の通りです。
つまり、(1)教皇様が、(2)ロシアを、その名前を特別に言及して、(3)世界中の全司教たちと一致して、(4)聖母の汚れなき御心に奉献(聖別)する、ということです。
何故なら、聖母マリアご自身が、シスタールシアに1929年に次のように伝えたからです。
"The moment has come when God asks the Holy Father to make, in union with all the bishops of the world, the consecration of Russia to My Immaculate Heart, promising to save it by this means."
1917年7月13日、ファティマで、聖母マリアは、「私は、汚れ無き御心へのロシアの奉献(聖別)をお願いに来ます」と、預言(約束)しました。
その12年後、1929年6月13日、スペインのトゥイというところで、シスタールシアに現れて、「天主が、この方法によってロシアを救うことを約束しながら、教皇様に、世界中の全ての司教たちと一致して、ロシアを私の汚れなき御心に奉献(聖別)することを要求する時が来ました」と伝えました。
É chegado o momento em que Deus pede para o Santo Padre fazer, em união com todos os bispos do mundo, a consagração da Rússia a meu Imaculado Coração, prometendo salvá-la por este meio. São tantas as almas que a Justiça de Deus condena pelos pecados contra mim cometidos, que venho pedir reparação: sacrifica-te por esta intenção e ora.
(聖母はポルトガル語でお話になったはずですので、ここではポルトガル語を載せます。)
1931年、私たちの主イエズス・キリストは、スペインのリアンホ(Rianjo)というところでシスタールシアに現れて、「フランスの王に倣って私の命令を執行するのを遅らせると、フランスの王と同じような不幸に陥るだろう」と警告しました。(聖マルガレタ・マリア・アラコックを通して、フランスの王がフランス王国をイエズス・キリストの御心に奉献することを要求したがその実施はなされなかった。要求の後、ちょうど100年後、フランスには革命が起こり、王座は廃止させられてしまったことを指している。フランス王は、革命軍に拘束され、獄中でフランスをイエズスの御心に奉献した。しかしその時には既に王位は奪われていた。)
さらにイエズス・キリストはシスタールシアに次のようにも言います。「フランスの王のように、彼らはそれを後悔し、奉献をするだろう。しかし、それは遅れるだろう。ロシアは既に世界中に誤謬をまき散らし、戦争と教会に対する迫害を挑発してしまっているだろう。教皇は大変多く苦しまなければならないだろう。」
1940年12月2日、シスタールシアは、当時の教皇であったピオ十二世に手紙を書き、次のように伝えています。英語訳を掲載します。
"I take this opportunity, Most Holy Father, to ask you to bless and extend this devotion to the whole world. In 1929, through another apparition, our Lady asked for the consecration of Russia to Her Immaculate Heart, promising its conversion through this means and the hindering of the propagation of its errors.
Sometime afterwards I told my confessor of the request of our Lady. He tried to fulfill it by making it known to Pius XI.
In several intimate communications our Lord has not stopped insisting on this request, promising lately, to shorten the days of tribulation which He has determined to punish the nations for their crimes, through war, famine and several persecutions of the Holy Church and Your Holiness, if you will consecrate the world to the Immaculate Heart of Mary, with a special mention for Russia, and order that all the Bishops of the world do the same in union with Your Holiness.”
ここでも、シスタールシアは、教皇様に、ロシアという名前を特別に言及し、世界中の全ての司教たちに教皇と一致して同じことをするように命じて、ロシアを聖母の汚れなき御心に奉献(聖別)することをお願いしています。
もしも、私たちの主イエズス・キリストがフランス王に対して100年の猶予を与え給うたとしたら、1929年から100年後、つまり2029年までは、あと17年しかありません。聖母の汚れなき御心よ、我らを憐れみ給え!
+ + +
ところで「ヨゼフ」という名の教皇がロシアを奉献するという私的啓示については、知りません。
しかし、聖ピオ十世が、自分と同じ名前を持つ後継者の教皇が崩壊した大都市ローマを屍の上を逃げる、という私的啓示を受けたことは、話題にしたことがあります。
「私が見たものはおそろしいことだ! これは私に起こるのだろうか、それとも私の後継者のことだろうか。確かなことは、教皇はローマを離れるだろうということ、バチカンを去りながらその教皇は自分の司祭たちの死体の上を踏んで歩かなければならないだろうということだ。」
「私は、私と同じ名前を持った私の後継者の一人が自分の兄弟たちの体の上を踏み越えて逃げる様子を見た。彼はある隠れ場所に逃げるだろう。しかししばらく後に残酷な死を遂げるだろう。天主に対する敬意が人々の心から消え去った。これこそは、この世の終わりの始まり以外の何ものでもない。」
+ + +
今回はここまでにします。読んで下さってありがとうございます。
天主様の祝福が豊かにありますように!
トマス小野田圭志神父(聖ピオ十世会司祭)
【参考資料】
●Fatima Consecration - Chronology
●The Consecration of Russia:The Request of Our Lord and Analysis of this Request
●Essentials: The Facts: The Consecration of Russia
愛する兄弟姉妹の皆様、
今回は、ファティマの聖母が要求した「聖母の汚れなき御心へのロシアの奉献」について、答えることをお許しください。
【質問】
ロシアの奉献については賛否両論あります。ただし一部の方はこの「ロシアの奉献」が1952年7月7日の『最も親愛なるロシア国民に宛てた 使徒的書簡(Apostolic Letter Carissimis Russiae Populis on the Immaculate Heart and the People of Russia)』により、ピオ十二世のこの言葉「そして今、私たちはロシア全国民をこの同じ汚れなき御心に献呈しかつ奉献致します(so now We dedicate and consecrate all the peoples of Russia to that same Immaculate Heart)」を以って果たされたと主張しています:
教皇ピオ十二世の本名は、ウジェニオ・マリア・ジュゼッペ(ヨゼフ)・ジョヴァンニ・パチェリ(Eugenio Marìa Giuseppe Giovanni Pacelli)。「ヨゼフ」という名の教皇がロシアを奉献するという私的啓示の内容が取り沙汰された事がかつてありましたね。「世界中の司教と共にロシアを聖母の汚れなき御心に奉献する」という条件についてはいろいろ説がありますが、本来の聖母のメッセージには「世界中の司教と共に」という句はなかったと彼らは主張しています。もしこの奉献が為されていたのだとすれば、先日小野田神父様が説明されていた、ピオ十二世による汚れなき御心への世界の奉献後の世界情勢に好転のみならず、ソ連崩壊や、現在のロシアに於けるプーチン登場などは、ある意味聖母に約束された「一時的な平和の時期」と考える事も出来ます。つまり「ロシアの回心」は実現していたという事です。
【回答】
ファティマの聖母マリアの教皇様への要求は、明らかです。それは次の通りです。
つまり、(1)教皇様が、(2)ロシアを、その名前を特別に言及して、(3)世界中の全司教たちと一致して、(4)聖母の汚れなき御心に奉献(聖別)する、ということです。
何故なら、聖母マリアご自身が、シスタールシアに1929年に次のように伝えたからです。
"The moment has come when God asks the Holy Father to make, in union with all the bishops of the world, the consecration of Russia to My Immaculate Heart, promising to save it by this means."
1917年7月13日、ファティマで、聖母マリアは、「私は、汚れ無き御心へのロシアの奉献(聖別)をお願いに来ます」と、預言(約束)しました。
その12年後、1929年6月13日、スペインのトゥイというところで、シスタールシアに現れて、「天主が、この方法によってロシアを救うことを約束しながら、教皇様に、世界中の全ての司教たちと一致して、ロシアを私の汚れなき御心に奉献(聖別)することを要求する時が来ました」と伝えました。
É chegado o momento em que Deus pede para o Santo Padre fazer, em união com todos os bispos do mundo, a consagração da Rússia a meu Imaculado Coração, prometendo salvá-la por este meio. São tantas as almas que a Justiça de Deus condena pelos pecados contra mim cometidos, que venho pedir reparação: sacrifica-te por esta intenção e ora.
(聖母はポルトガル語でお話になったはずですので、ここではポルトガル語を載せます。)
1931年、私たちの主イエズス・キリストは、スペインのリアンホ(Rianjo)というところでシスタールシアに現れて、「フランスの王に倣って私の命令を執行するのを遅らせると、フランスの王と同じような不幸に陥るだろう」と警告しました。(聖マルガレタ・マリア・アラコックを通して、フランスの王がフランス王国をイエズス・キリストの御心に奉献することを要求したがその実施はなされなかった。要求の後、ちょうど100年後、フランスには革命が起こり、王座は廃止させられてしまったことを指している。フランス王は、革命軍に拘束され、獄中でフランスをイエズスの御心に奉献した。しかしその時には既に王位は奪われていた。)
さらにイエズス・キリストはシスタールシアに次のようにも言います。「フランスの王のように、彼らはそれを後悔し、奉献をするだろう。しかし、それは遅れるだろう。ロシアは既に世界中に誤謬をまき散らし、戦争と教会に対する迫害を挑発してしまっているだろう。教皇は大変多く苦しまなければならないだろう。」
1940年12月2日、シスタールシアは、当時の教皇であったピオ十二世に手紙を書き、次のように伝えています。英語訳を掲載します。
"I take this opportunity, Most Holy Father, to ask you to bless and extend this devotion to the whole world. In 1929, through another apparition, our Lady asked for the consecration of Russia to Her Immaculate Heart, promising its conversion through this means and the hindering of the propagation of its errors.
Sometime afterwards I told my confessor of the request of our Lady. He tried to fulfill it by making it known to Pius XI.
In several intimate communications our Lord has not stopped insisting on this request, promising lately, to shorten the days of tribulation which He has determined to punish the nations for their crimes, through war, famine and several persecutions of the Holy Church and Your Holiness, if you will consecrate the world to the Immaculate Heart of Mary, with a special mention for Russia, and order that all the Bishops of the world do the same in union with Your Holiness.”
ここでも、シスタールシアは、教皇様に、ロシアという名前を特別に言及し、世界中の全ての司教たちに教皇と一致して同じことをするように命じて、ロシアを聖母の汚れなき御心に奉献(聖別)することをお願いしています。
もしも、私たちの主イエズス・キリストがフランス王に対して100年の猶予を与え給うたとしたら、1929年から100年後、つまり2029年までは、あと17年しかありません。聖母の汚れなき御心よ、我らを憐れみ給え!
ところで「ヨゼフ」という名の教皇がロシアを奉献するという私的啓示については、知りません。
しかし、聖ピオ十世が、自分と同じ名前を持つ後継者の教皇が崩壊した大都市ローマを屍の上を逃げる、という私的啓示を受けたことは、話題にしたことがあります。
「私が見たものはおそろしいことだ! これは私に起こるのだろうか、それとも私の後継者のことだろうか。確かなことは、教皇はローマを離れるだろうということ、バチカンを去りながらその教皇は自分の司祭たちの死体の上を踏んで歩かなければならないだろうということだ。」
「私は、私と同じ名前を持った私の後継者の一人が自分の兄弟たちの体の上を踏み越えて逃げる様子を見た。彼はある隠れ場所に逃げるだろう。しかししばらく後に残酷な死を遂げるだろう。天主に対する敬意が人々の心から消え去った。これこそは、この世の終わりの始まり以外の何ものでもない。」
今回はここまでにします。読んで下さってありがとうございます。
天主様の祝福が豊かにありますように!
トマス小野田圭志神父(聖ピオ十世会司祭)
【参考資料】
●Fatima Consecration - Chronology
●The Consecration of Russia:The Request of Our Lord and Analysis of this Request
●Essentials: The Facts: The Consecration of Russia