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第6回古生物創作合同展示会

予想通り出費がかさんだ。楽しい空間である。
このフィクション池袋という会場は駅から近くて、道順もわかりやすいですね。



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トルボサウルス23



なんとなく。
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アシナシイモリの起源



Copyright 2023 Kligman et al.

現生両生類(カエル、サンショウウオ、アシナシイモリ)は平滑両生類Lissamphibia としてまとめられている。そのうちカエル(無尾類)とサンショウウオ(有尾類)は合わせてバトラキアBatrachiaと呼ばれ、分椎類Temnospondyli のDissorophoidというグループのアンフィバムス科Amphibamidae に近い動物に由来するということがほぼ定説となっている。しかしアシナシイモリ(無足類)の起源については議論があり、分椎類ではない空椎類Lepospondyliに由来するという意見や、分椎類の中でもDissorophoid以外のグループに由来するという意見があり、研究者の間で一致していなかった。

無足類は四肢動物の中でも化石記録が乏しいグループであり、これまではジュラ紀のエオカエシリアEocaecilia が最古の記録であった。エオカエシリアは体が細長いがまだ四肢があり、目も大きかった。しかし歯列や顎の筋肉系など、無足類の特徴を示していた。今回、アリゾナ州の三畳紀後期のChinle formationから、最古の無足類フンクスヴェルミスFuncusvermis が記載された。化石は断片的だが、下顎の骨などが決め手となったらしい。

無足類は二重の歯列をもっている。上顎では上顎骨歯と口蓋歯があり、上顎骨と口蓋骨が癒合して上顎口蓋骨maxillopalatine という骨になっている。下顎では歯骨の代わりに偽歯骨pseudodentary という骨があるが、歯骨とadsymphyseal という骨が癒合しているようだ。歯骨歯とadsymphyseal toothが二重に並んでいる。このadsymphysealという骨は初めて見たので興味深い。
 ペルム紀前期の原始的なDissorophoidであるカコプスでは、下顎の歯骨の前端の下顎結合のところに小さな骨がある。これがadsymphysealで、一本の大きな歯が生えている。ペルム紀後期のアンフィバムス類ドレセルペトンDoleserpeton では歯骨歯の内側にいくつかのadsymphyseal toothがある。そしてフンクスヴェルミスでは歯骨歯の内側に多数のadsymphyseal toothが並んでいる。これはジュラ紀のエオカエシリアや後の無足類と同様である。adsymphyseal toothは、カエルやサンショウウオの系統では失われている。

無足類のもう一つの重要な特徴は、顎の筋肉系にある。それはDual Jaw Closure Mechanism(DJCM、二重の顎を閉じる機構)と呼ばれる。他の分椎類では下顎の顎関節の前方に、顎を閉じる筋肉として下顎内転筋musculus adductor mandibulae が付着し、下顎を上に引き上げる。顎関節より後方はあまり突出していない。一方無足類では顎関節より後方に後関節突起retroarticular processという突起が発達しており、これの腹側に舌骨の筋肉が付着している。この舌骨の筋肉が後関節突起を腹側に引くことで、下顎の前方部分が上に回転し、顎を閉じる仕組みである。この二重の筋肉系があることにより、無足類は下顎内転筋を減らすことができ、それは頭骨をコンパクトにするのに役立つとされている。頭を先頭に地中を進む際に、頭骨がコンパクトであることは有利というわけである。エオカエシリアでは後関節突起が発達していたが、フンクスヴェルミスにはなかった。このことからDJCMの獲得は、フンクスヴェルミスとエオカエシリアの間で生じたと考えられる。

現生の無足類では目が退化し眼窩が小さく、眼窩の前方に小さな孔がある。これは化学受容器官である触手tentacle を容れる部分である。ジュラ紀のエオカエシリアでは、眼窩の前方の涙骨のあたりにtentacular fossa という窪みがある。フンクスヴェルミスでは上顎口蓋骨の断片しか見つかっていないが、眼窩の縁が保存されており、眼窩は比較的大きかったことと、tentacular fossaはなかったことがわかった。このことから触手の発達も、フンクスヴェルミスよりは後に起こったと考えられた。

フンクスヴェルミスはいくつかの無足類の形質を示すが、いくつかの形質は欠いていた。また原始的なアンフィバムス類と共有する形質をもっていた。そういうわけで系統解析の結果、フンクスヴェルミスは進化した無足類とアンフィバムス類の中間の位置にきた。またこのことから、現生両生類(平滑両生類)はすべて、分椎類のDissorophoidに由来する可能性が高いと考えられた。


今回は系統学的結論よりも、二重の歯列に感動した。カエルにもサンショウウオにもない歯がアシナシイモリには残っていて、それは古生代の分椎類から受け継いだものである、というところにロマンを感じる。ちなみにシン・ウルトラマンのネロンガだったか、も下顎の歯列が二重になっていたと思うが、アシナシイモリとの収斂でもないだろう。

参考文献
Ben T. Kligman, Bryan M. Gee, Adam D. Marsh, Sterling J. Nesbitt, Matthew E. Smith, William G. Parker & Michelle R. Stocker (2023) Triassic stem caecilian supports dissorophoid origin of living amphibians. Nature Vol 614, 2 February 2023, 102-110.
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ルース:元気な頃



脳腫瘍にかかる前の元気な姿。Two medicine formation ということは、ダスプレトサウルス・ホルネリと共存したのだろうか。ルースは割とがっしりした体形だし、ダスプレトサウルスとの住み分けがよくわからない。生息環境の違いだろうか。
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