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「大恐竜展」記念シンポジウム

 科博の新宿分館で開催された「大恐竜展」記念シンポジウムに行ってきました。講演の詳しい内容については、演者の許可が要るので(面倒くさいので)他の情報サイトなどにお任せしますが、シンポジウム・懇親会とも大変充実した時を過ごせました。ポール・セレノ、アレクサンダー・ケルナー、パトリック・オコーナー、ロドルフォ・コリア等、そうそうたる恐竜研究者の発表を聞くだけでなく、個人的に質問することができました。
 セレノ博士はアルゼンチンで発見された、エオラプトルに似ているが明らかに異なる、新しい初期の恐竜について、ケルナー博士はブラジル産の新種のスピノサウルス類と翼竜についての包括的なお話、オコーナー博士はマダガスカル白亜紀後期の動物相とくにマジュンガサウルスの新しい標本について、講演されました。ブラジルの白亜紀のワニ類(ノトスクス類など非常に多様な進化をとげた)も大変興味深いものでした。

 懇親会でパトリック・オコーナー博士に個人的にきいたところ、マジュンガサウルスの新しい標本では前肢がほぼ完全に保存されており、やはり他のアベリサウルス類と同様に、撓骨・尺骨が極端に短いということです。手も保存されているが中手骨と指骨が癒合していたりして、まだ構造がはっきりしないが研究中で、わかりしだい発表予定とのことでした。指の退化の程度が知りたいところです。

せっかく東京にいるので、大恐竜展は2回くらい行きたいと思います。
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クリオロフォサウルス1



クリオロフォサウルスは、ジュラ紀前期に現在の南極大陸に生息した獣脚類で、南極横断山脈カークパトリック山の標高4200 mの地点でハンソン層から発見された。部分的な頭骨、腰帯、後肢などを含む部分骨格が見つかっている。

クリオロフォサウルスは、1994年の最初の記載以来、最も初期のテタヌラ類という位置付けであったが、2007年になって、テタヌラ類ではなくディロフォサウルスの仲間に属するという解析結果が報告された(Smith et al, 2007)。それによるとクリオロフォサウルスは、米国のディロフォサウルス・ウェテリリ、中国のディロフォサウルス・シネンシス、南アフリカのドラコヴェナトルと共にまとまったグループ(単系群)をなすという。これらの獣脚類では、原始的なコエロフィシス類の形質と進化したテタヌラ類にみられる形質が入り混じっており、全長6m前後と中型で、頭部になんらかのとさかを持っている。ジュラ紀前期にはこれらの恐竜が古竜脚類とともに世界各地に分布していたらしい。

 これにより、従来のコエロフィソイドからディロフォサウルスの仲間が独立した形になっている。まずコエロフィシス類が分岐し、次いでディロフォサウルスの仲間が分岐し、その後ネオケラトサウリアとテタヌラ類が分かれた形である。(この分岐図ではズパイサウルスは、ディロフォサウルスの仲間の根元付近から分かれている。)

 というわけで、丸ビルで先行展示されている骨格を見てきたが。この復元骨格は、原始的なテタヌラ類という想定で作られているようである。手が完全に3本指で、かなり進化したカルノサウルス類のようにもみえる。全体にアロサウルスっぽくないだろうか。ポーズは良い。




 独特のとさかの他に、下側頭窓が完全にくびれて頬骨と鱗状骨が結合している(下側頭窓が上下に分断されている)ことも固有の特徴であるらしい。

参考文献
Smith, N. D., P. J. Makovicky, D. Pol, W. R. Hammer, and P. J. Currie (2007), The dinosaurs of the Early Jurassic Hanson Formation of the Central Transantarctic Mountains: Phylogenetic review and synthesis, in Antarctica: A Keystone in a Changing World-Online Proceedings of the 10th ISAES, edited by A. K. Cooper and C. R. Raymond et al., USGS Open-File Report 2007-1047, Short Research Paper 003, 5 p.; doi:10.3133/of2007-1047.srp003.
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