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Walking with Dinosaurs Ultimate Gorgon



日本国内では販売されていないが、輸入代理店のようなところから購入することはできると、恐竜倶楽部の諸先輩から情報をいただきました。現地価格は知らないが、結構高い。裕福な家庭の子どもでないと、買ってもらえなそう。それとも大人のマニア層狙いなのか。

本当は鑑賞用のフィギュアが欲しかったが、これは関節が動くおもちゃである。おもちゃにしては十分リアルである。顎、後頭部、首、前肢、ひざ、かかと、尾のつけねなどが確かに動く。顎の可動範囲はいまいち小さい。首も、もう少し左右に動くと良いのであるが。
 しっぽが曲がっているのは、しっぽをつけて3点立ちするためかと思われる。透明な支持台を作れば、水平姿勢も可能。
 顔は、確かにゴルゴサウルスになっている。頭骨の形が正確なので良しとする。

まあ、私はゴルゴサウルスが好きなので満足したが、そうでもない人はコスパを考えてためらうかもしれない。




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映画「ウォーキングwithダイナソー」



「ストーリーは子ども向けだけど、CG映像がすごい」と恐竜仲間から聞いて、しっかり3Dで見てきたら、本当にその通りだった。さすがBBCのCG映像、良いです。
 ネット上の映画評論サイトではいまいち評価が高くないようで、やはり一般的な子ども向け娯楽映画としての評価と、恐竜ファンの見方は分かれるということでしょう。この作品の恐竜の姿、行動、生態などがどれだけリアルであるか、わかる人にしかわからない面があると思われる。恐竜ファンは学術的に正確な恐竜像が出てくるほど喜ぶという人種ですから。

公式グッズでもあれば買おうと思ったのですが、「写真投稿キャンペーン」の賞品としてはTシャツ、メモ帳などがあるものの、販売はしていないようですね。3Dパズルとは何だろう。海外サイトでは買えたりするのだろうか。

Ankylosaurは「アンキロサウルス類」で、この場合はよろい竜全般を指している。登場するのはどうみてもエドモントニアにみえるが、種類は特定していない。公式サイトでは「アンキロサウルス類」と正しく表現されていて、解説も適切であるが、紙のパンフレットでは「アンキロサウルス」になっていて、しかも「こん棒のような尾」とアンキロサウルスの説明が書いてある。エドモントニア風の先細りの尾が図示してある傍に‥‥よろい竜の好きな人なら憤るだろう。

青みがかったゴルゴサウルス、いいですね。これのフィギュアはないのかしら。滅多にないゴルゴサウルスの商品化のチャンスなのであるが。公式サイトの「恐竜図鑑」などには、かなりきれいなCG画像があって親切である。

パッチがジュニファーに「ボクたちの未来の話をしよう」と言ったときに「未来って新生代のこと?」とか、細かいジョークも私は気に入りました。
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オーストラリアのネオヴェナトル類


英国のBensonとオーストラリアのRich, Vickers-Richらの共同研究で、オーストラリア南部の獣脚類化石についてレビューした論文が出ている。オーストラリア南部ヴィクトリア州のOtwayおよび Strzelecki層群(白亜紀前期アプト期からオーブ期)からは、少なくとも37の分離した骨と、多数の歯が発見されている。その中にはアロサウロイド、ティラノサウロイド、スピノサウルス類の亜成体、ケラトサウルス類、オルニトミモサウルス類、基盤的コエルロサウルス類、3種類のマニラプトル類が含まれ、全部で9種類もの獣脚類がいたと考えられるという。

論文の主旨としては、およそ以下のようである。オーストラリアはゴンドワナ地域なので、これまで白亜紀の恐竜相は南アメリカや南極などと関連があると考えられてきたが、最近の研究ではむしろローラシアの恐竜相と似ていることがわかってきた。今回の獣脚類の構成をみると、アロサウロイドと基盤的コエルロサウルス類(ティラノサウロイドやオルニトミモサウルス類を含む)が多いこと、アベリサウルス類のようなケラトサウルス類が少ないことなど、同時代のアフリカや南アメリカ(高緯度で乾燥した環境)とは大きく異なっており、むしろ温帯のローラシア地域と共通点が多い。多くの恐竜のグループ(高次分類群)は、パンゲアの分裂以前のジュラ紀には汎世界的に分布しており、従来「ゴンドワナ的」とされた恐竜相の特徴の一部は、大陸の分裂によりもたらされたものではなく、気候の違いによる地域性を反映しているのかもしれない、と考察している。

ここでは論文で記載された中から、ネオヴェナトル類の化石だけをピックアップして、このような断片的な骨がどうしてネオヴェナトル類と同定されたのか、参考のためにメモしておきたい。


Copyright: 2012 Benson et al.

NMV P221187は、胴椎の椎体で、長さが高さよりも少し大きい(長さ60mm, 高さ48mm)。椎体の関節面は高さが幅の約1.25倍で、弱く凹んでいる。神経弓との結合面の形状から、神経弓と椎体は癒合しておらず、幼体と思われる。椎体の外側面は腹側で合して、低く角張った縦方向の腹側稜ventral ridgeをなしている。含気孔は椎体側面の前背方にあり、前後に長い楕円形をしている。また含気孔の腹側縁は背側縁よりも突出しているので、孔は側方というよりも背側方を向いて開いている。
 椎体を切断して断面をみると、腹側や背側に多数の小室camellaeがある。このようなcamellate内部構造は、ケラトサウルス類、カルカロドントサウリア、ティラノサウルス科、オヴィラプトロサウルス類、テリジノサウルス類にみられる。しかしケラトサウルス類では椎体の側面に2個の含気孔があるが、この椎体では1個である。前後に長い、背側方に開いた含気孔が椎体側面の前方にあるという点で、この椎体はカルカロドントサウリアとティラノサウルス科のものに最もよく似ている。
 また、低く角張った縦の腹側稜は、ネオヴェナトル類であるネオヴェナトルの第6、7胴椎とアエロステオンの第6~8胴椎にもみられる。このことと含気孔の形態、camellate内部構造から、NMV P221187 はNeovenatoridae indet.とされた。


Copyright: 2012 Benson et al.

NMV P208096は椎体で、比較的前後に長い形状から、中央部の尾椎と同定された。神経弓と椎体は癒合しておらず幼体と考えられる。横方向につぶれているので正確にはわからないが、関節面は高さが幅より少し大きいと思われる。椎体の腹側面は一様に丸く、稜や溝などはない。大きく前後に長い楕円形の含気孔が、椎体側面の中央より前方に位置している。
 獣脚類の中央の尾椎にはもともと含気孔はなく、メガラプトル類、オヴィラプトロサウルス類、テリジノサウルス類で独立に獲得されている。しかしオヴィラプトロサウルス類の尾椎は短く、この尾椎とはプロポーションが異なる。   テリジノサウルス類では含気孔が小さく、最も近位の尾椎以外では神経弓にある。これらの違いと、メガラプトル類アエロステオンの中央の尾椎と似ていることから、NMV P208096 はNeovenatoridae indet.とされた。


Copyright: 2012 Benson et al.

NMV P186076は左の尺骨で、Rich & Vickers-Rich (2003)により報告され、Smith et al. (2008) によってcf. Megaraptorとして記載された。最近のほとんどの研究は、NMV P186076はメガラプトルに近縁のアロサウロイドとしている。NMV P186076は、アウストラロヴェナトルやメガラプトルのような他のメガラプトル類の尺骨と多くの類似点を示している。基盤的なネオヴェナトル類の尺骨は知られていないので、いまのところNMV P186076はメガラプトル類と特定することはできず、ここではNeovenatoridae indet.とされる、という。


Copyright: 2012 Benson et al.

NMV 186153は、大きな前肢の末節骨で、遠位端と近位背側が欠けている。保存された部分の大きさはバリオニクスやアロサウルスの第1指の末節骨に匹敵するもので、全長8~9mの大型獣脚類であることが示唆される。NMV 186153の近位端は、保存された最も遠位の部分(折れる前の末節骨の中央あたりに相当)と比べてわずかしか幅広くない。これは比較的幅の狭い(うすい)爪をもつチランタイサウルスのようなネオヴェナトル類の状態に似ている。また、近位部の幅が広く遠位に向かってかなり細まっている、アロサウルスのようなより基盤的なアロサウロイドやスピノサウルス類を含むメガロサウロイドのものとは異なっている。しかし、NMV 186153はメガラプトル類の末節骨ほど幅が狭くはないようであり、ここではネオヴェナトル類とされる(メガラプトル類ではないかもしれない)。

オーストラリアのネオヴェナトル類としては既にアウストラロヴェナトルの部分骨格が知られているが、当然他の種類もいただろう。これらの断片的な骨も別種であってほしいものである。

参考文献
Benson RBJ, Rich TH, Vickers-Rich P, Hall M (2012) Theropod Fauna from Southern Australia Indicates High Polar Diversity and Climate-Driven Dinosaur Provinciality. PLoS ONE 7(5): e37122. doi:10.1371/journal.pone.0037122

Copyright: 2012 Benson et al.
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福井県立恐竜博物館監修 3Dペーパーパズル




新年おめでとうございます。
写真は福井県立恐竜博物館の監修で、(株)ウラノペガサスデザインギャラリーで製作された紙製の全身骨格で、フクイラプトルとフクイサウルスの2種類あるようです。
 最近はレーザーカッティング技術により、カブトムシ、ミジンコ、リーフィーシードラゴン(タツノオトシゴ)など、非常に精密なペーパーモデルが販売されています。その中で恐竜は、ティラノサウルスなどやや古い型のものだったのですが、この福井県立の恐竜はさすがに良いです。

 このフクイラプトルは一本一本の歯並び、三本指のカギ爪にいたるまで本当に精密に作られている。部品が細かいのでピンセットを使うと効率がアップした。肩甲骨の取り付けもしっかりしているし、後肢は2枚の板を張り合わせて強化するなどの工夫がされている。台座に差し込んでしっかり立つところがよい。完成度の高い製品といえる。

 カギ爪の発達した、軽快なカルノサウルス類というイメージで作られたフクイラプトルの復元骨格は、ネオヴェナトル類の姿をあらわす先駆的なものだったのかもしれない。シアッツなども全身の骨格が発見されたら、実はフクイラプトルのイメージとそっくりだったりすると楽しい。

他の種類もぜひ開発してほしいですね。
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