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二子玉川で系統樹



二子玉川の某書店では小さい動物フェアみたいなものをやっていて、系統樹マンダラ、動物のぬいぐるみ、関連書籍を売っていました。系統樹マンダラは、折り目のない円筒タイプが人気のようで、鳥・恐竜はほぼ売り切れでした。チーターのぬいぐるみ(中)は後肢が正座しているのは何故?



広場では夏らしく氷の彫刻を展示していて、実演もありました。旭山動物園の協力でペンギンの行進ということです。この獣脚類たち、どの個体も体の正中線上に謎の白い界面がある。左半身と右半身を鋳型で作って、正中面で接着した時に空気が入った?クチバシには達していないがクチバシは後付けなのか。
 氷で人体模型とか、クリスタル・ボーイとか作って欲しいですね。
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鋸歯のないトロオドン類ビロノサウルス




トロオドン類の顔つきを比較しているが、ここで急に時代が飛んで、顔つきも細長くなってしまう。ビロノサウルスはトロオドン類の中でも特に吻が長く、歯の数も最も多いものである。
 ビロノサウルスは、白亜紀後期おそらくカンパニアン(Djadokhta Formation)にモンゴルのウハートルゴドに生息した小型のトロオドン類で、2000年に簡単に記載され、2003年のモノグラフで詳細に記載された。鋸歯のないトロオドン類としては最初に発見されたものである。ホロタイプは保存のよい吻部と脳函、いくつかの断片的な体の骨(頸椎、膝関節、趾骨など)からなる。参照標本としていくつかの頭骨の断片(特徴からビロノサウルスと同定)が知られている。
 昔はサウロルニトイデスやトロオドンのような派生的なトロオドン類しか知られていなかったため、鉤状の大きな鋸歯のある特徴的な歯の形状がトロオドン類の特徴とされていた。しかしビロノサウルスに続いて、メイ、ウルバコドン、アンキオルニスなど次々に鋸歯のないトロオドン類が発見されたため、大きな鋸歯のある歯は派生的な一部のトロオドン類の共有派生形質と考えられるようになった。


他のトロオドン類と区別されるビロノサウルスの特徴は簡単で、1)歯に鋸歯がないこと、2)interfenestral barが上顎骨の側面から凹んでいないこと(上顎骨の側面と同一平面上にある)、3)上顎骨の側面に歯列と平行な浅い溝があること、である。
 Maxillary fenestra と前眼窩窓の間の板状の部分をinterfenestral barという。この用語は、このビロノサウルスの論文(2003)で初めて名付けられたようである。interfenestral barは前眼窩窩の一部なので、通常は上顎骨の表面から凹んだ位置にあるが、ビロノサウルスではこれが上顎骨の表面と同じ平面上にあるのが特徴である。ザナバザル、サウロルニトイデス、シノルニトイデスではinterfenestral barは凹んでいる。

ビロノサウルスにみられるトロオドン類の共有派生形質は、多数の歯、下顎の前端で歯骨歯が密集していること、歯骨の側面に神経血管孔を収める顕著な溝があること、背腹に扁平なinternarial bar、である。
 またシノヴェナトル以外のトロオドン類が共有する形質として、脳函に‘‘lateral depression’’という含気性の窪みがある;涙骨の前方突起が長く、前眼窩窓の背側縁をなす;外鼻孔の後縁に上顎骨が面している;を示すという。


歯の数が多いことはトロオドン類の特徴の一つである。ビロノサウルスでは保存されていない部分があるため正確な歯の数はわからないが、前上顎骨歯が4, 上顎骨歯が30, 歯骨歯が30 と推定されている。(他のトロオドン類についてはシシアサウルスの記事参照。)ドロマエオサウルス類では歯の数はもっと少なく、ドロマエオサウルスで上顎骨歯9、歯骨歯11、デイノニクスで上顎骨歯15、歯骨歯16となっている。原始的なオルニトミムス類ペレカニミムス、アルヴァレスサウルス類シュヴウイアやテリジノサウルス類も多数の歯をもつが、これらはトロオドン類とは独立に獲得したと考えられている。

internarial barとは、左右の前上顎骨の鼻骨突起からなる細い部分で、ほとんどの獣脚類では丸い棒状の構造である。トロオドン類ではこれが背腹に扁平になっている。前上顎骨の鼻骨突起は高さよりも幅が広く、背側表面が平坦になっている。これはドロマエオサウルス類やとさかのないオヴィラプトロサウルス類の丸いinternarial barとは対照的である。扁平なinternarial barはオルニトミモサウリアとアルヴァレスサウルス類にもみられ、独立して進化したと考えられている。

細かいことであるが、ビロノサウルスではinterfenestral barの後縁、つまり前眼窩窓の前縁に2つの穴がある。X線CTなどにより内部構造を観察した結果、背側の穴は鼻腔に、腹側の穴はmaxillary fenestraに通じていることがわかった。サウロルニトイデスやザナバザルでも前眼窩窓からmaxillary fenestraに通じる穴があるようだ。するとシヌソナススの論文に「前眼窩窓とmaxillary fenestraをつなぐ通路がない」とあるのは、これらとの違いを意識したものかもしれない。


参考文献
Norell, M.A., Makovicky, P.J., and Clark, J.M. (2000) A new troodontid theropod from Ukhaa Tolgod, Mongolia. Journal of Vertebrate Paleontology 20: 7-11.

Makovicky, P.J., Norell, M.A., Clark, J.M., and Rowe, T. (2003) Osteology and relationships of Byronosaurus jaffei (Theropoda: Troodontidae). American Museum Novitates 3402: 1-32.
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シヌソナススの鼻が気になる



シヌソナススは、白亜紀前期オーテリヴィアン(Yixian Formation)に中国遼寧省に生息した小型のトロオドン類で、2004年に記載された。ホロタイプは仙前椎、肩帯、前肢を除く全身骨格、つまり頭骨と後半身からなる。なかなか見事な化石である。

トロオドン類の顔つきの変遷を確認する上で重要な種類であるが、ちょっと気になる点がある。
 シヌソナススの第一の特徴は、鼻骨が側面から見て波状にカーブしていることであるという。しかしまず、記載論文の写真と比べて、線画では鼻骨のカーブがかなり強調されているように見える。また写真では、鼻骨の輪郭はごくゆるやかなS字状にみえる。S字状というなら理解できるが、著者らが本文中で言っていることはそうではない。Xu and Wang (2004) は、「鼻骨は外鼻孔の上で凹んでおり、maxillary fenestraの上で再び凹んでいるので、正弦波状sinusoidの輪郭をなす」と言っているのである。外鼻孔の後半の上で凹んでいるのはわかる。しかしその後方では、鼻骨は額にかけて盛り上がっているだけのように見える。つまりmaxillary fenestraの上では、むしろ盛り上がっているように見える。著者らのいう通りとすればS字状ではなく、W字状ということになるが、そうは見えない。シヌソナススの鼻骨に詳しい方は教えていただきたい。前頭骨あたりの感じから少し斜めにつぶれているように見えるので、鼻骨も斜めになっており、曲面形状としてW字状という意味かもしれない。

それ以外のシヌソナススの特徴は、前眼窩窓とmaxillary fenestraをつなぐ通路がない(詳しい説明はない)、比較的大きな歯、尾の大部分に沿ってプレート状の血道弓が帯状の構造をなす、大腿骨頭と骨幹の間に長い頸状部がある、であるという。

涙骨はT字形で、長い前方突起と、下行突起の上に張り出した顕著な側方の突起(図のlateral flange)がある。他のトロオドン類と同様に、三角形に近い歯骨の側面に、神経血管孔の入る溝がある。ただし溝は比較的浅いという。
 図では名称は示していないが、上顎骨には比較的小さい前眼窩窓、大きなmaxillary fenestra、スリット状のpromaxillary fenestraがあるという。maxillary fenestraが大きいので、確かにinterfenestral bar は細くなっている。

上顎骨には約19本の歯がある。上顎骨歯も歯骨歯も、前方では小さく密集しており、後方では大きく間隔が空いているというトロオドン類の特徴を示す。中央の上顎骨歯は最も大きく、他のトロオドン類と比べて比較的大きい。前方の歯には鋸歯がなく、後方の歯の後縁だけに鋸歯がある。それらは比較的小さく、鉤状の先端はない。つまり後の進化したトロオドン類の鋸歯とは異なる。

約30個の尾椎が保存されている。後方の尾椎は、背側の溝sulcusなどのトロオドン類の特徴を示す。シヌソナススの特徴として、中央と後方の血道弓はプレート状で、互いに接して尾椎の腹側に帯状構造を形成している。恥骨は関節していないが、関節面の形状などから前腹方を向いていたと考えられている。坐骨はサウロルニトイデスのような派生的なトロオドン類とよく似ており、大きな三角形の閉鎖突起が中程に位置している。

中足骨は典型的なアルクトメタターサル状態を示す。また他のトロオドン類と同様に、第 II 中足骨は短く細く、第 IV 中足骨は太い。派生的なトロオドン類やドロマエオサウルス類と同様に、第 II 指は高度に特殊化している。


感想としては、植物の実や昆虫をついばむ小鳥のようなメイの顔に比べれば、シヌソナススはやや顎が大きく、小型ながらドロマエオ的な肉食恐竜の顔つきになっている。トカゲくらい捕食してやるという気持ちが感じられる。
 早くもアルクトメタターサルとなり、鋸歯があるなど、地上性のハンターとして進化し始めた先駆け的な種類なのだろうか。


参考文献
Xu X, Wang X (2004) A new troodontid (Theropoda: Troodontidae) from the Lower Cretaceous Yixian Formation of Western Liaoning, China. Acta Geol Sin-Engl 78: 22-26. 

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眠り竜は二度寝する


うっかりして1億年の眠りについてしまった寝姿。Copyright 2012 Gao et al.

面白いタイトルを付けたかっただけで、内容はトロオドン類の特徴がメイではどうなっているのか、メイの特徴との関連はどうかということである。

詳しい人はご存知と思うが、中国でメイの第2標本が発見され、この個体もやはりホロタイプと同様に、体を丸めて眠る姿勢で保存されていた。二度寝ではないとしても、非常に稀有なことであり、この動物の生活様式の中で典型的な姿勢であったことは確かである。
 この第2標本の発見によってメイの特徴が若干追加された。また後肢の骨の断面を組織学的に観察した結果、体は小さいけれども2才以上の成体と考えられた。新しいデータを追加して系統解析した結果は、従来の解析とあまり変わらず、メイはトロオドン類の中で基盤的な位置にきた。ビロノサウルスやタロスとの関係が多少変わっている。



改訂されたメイの特徴は、外鼻孔が非常に大きく、上顎骨の歯列の1/2 を越えて後方にのびる;中央部の上顎骨歯が密集している;上顎骨の歯列がpreorbital barの位置まで後方にのびている;仙骨の後方部が非常に幅広く、長く延びた第4・第5仙肋骨をもつ;背面からみて腸骨が強くS字状で、側面へのカーブはヴェロキラプトルとアンキオルニスよりも強い;などである。
 さらに他の種類にもある形質の組み合わせとして、前頭骨の後方部分が丸く膨らんでいる、短くとがった吻、小さく丈の低いmaxillary fenestraと丈の低い前方突起をもつ上顎骨、後縁がまっすぐな鋸歯のない歯、U字型に近い叉骨、上腕骨の90%以上の長い橈骨と尺骨、中手骨III がIIより長い、などを示す。

Gao et al. (2012) は、この第2標本にみられるトロオドン類の特徴として、歯骨の側面に神経血管孔を収める溝がある、方形骨の後方面に含気孔がある、多数の歯、歯骨と上顎骨の前方の歯が密集している、後方の尾椎には神経棘がなく、代わりに背側正中の溝sulcusがある、をあげている。写真を見る限り、この第2標本では歯列の保存状態はあまりよくないようで、多数の歯とか前方で密集しているというのは難しいようにもみえる。例えばメイの特徴とされる中央の上顎骨歯は線画には描かれていない。確認が難しいということではないだろうか。
 一方ホロタイプの方は、上顎骨の歯列がよく保存されている。Xu and Norell (2004)によると、他のトロオドン類と同様に、多数の上顎骨歯(24)があり前方で密集している。さらにメイの特徴として中央の上顎骨歯さえも密集している。後方の歯は太く後方にカーブしている。また歯骨の側面に溝があり、その中に神経血管孔が並んでいる。Internarial barはひも状とある。メイでは多くのトロオドン類と異なりmaxillary fenestraは小さく、interfenestral barという言葉も出てこない。吻が短くとがっているので、maxillary fenestraが大きくなる余地はない感じである。

メイの足はシノヴェナトルと同様に、アルクトメタターサルではない。これらの中足骨は第3中足骨が細くなりアルクトメタターサルに近づいているが(サブアルクトメタターサル)、まだアルクトメタターサルにはなっていない。

メイの第2標本では恥骨は関節してはいないが、保存状態から恥骨は前腹方を向いていたと考えられている。これは後方を向いているシノヴェナトルとは大きく異なる。

9番目より後方の尾椎(10-18)は同じ形をしていて、椎体は長く、側面が平坦またはわずかに凹んでいる。この部分の尾椎には神経棘と横突起がなく、前後に走る背側の溝sulcus がある。この溝は、"サウロルニトイデス"、ビロノサウルス、シノルニトイデス、シヌソナスス、トロオドンにもみられる。



参考文献
Gao C, Morschhauser EM, Varricchio DJ, Liu J, Zhao B (2012) A Second Soundly Sleeping Dragon: New Anatomical Details of the Chinese Troodontid Mei long with Implications for Phylogeny and Taphonomy. PLoS ONE 7(9): e45203. doi:10.1371/journal.pone.0045203

Xu X, Norell MA (2004) A new troodontid dinosaur from China with avian-like sleeping posture. Nature 431: 838-841.
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アンキオルニスはどの辺がトロオドン類?



アンキオルニスといえば、今は圧倒的に「羽毛の色」であり、羽毛の構造や進化も話題になるが、骨に注目した紹介は少ない。私は獣脚類の「顔つき」に興味があるので、トロオドン類の特徴がどのように進化してきたのか、簡単に確認したい。
 アンキオルニスの段階では、始祖鳥やミクロラプトルなどと大差ない、基盤的なパラヴェス類の顔である。眼窩が大きめの単純な顔つきで、後のトロオドン類のような特徴的な鋸歯もなく、吻が長くもない。これのどの辺がトロオドン類なのだろうか。

アンキオルニスがトロオドン類と共有する形質は、1)大きなmaxillary fenestra と前眼窩窓が狭いinterfenestral barで隔てられている、つまりmaxillary fenestraが拡大しているので、前眼窩窓との間の骨がinterfenestral barとよばれる細い板状の部分だけになっている、2)左右の鼻孔の間のinternarial bar が背腹に扁平である、3)歯骨の側面に後方で広がる顕著な溝があり、その中に神経血管孔が収まっている、4)歯列の前方の前上顎骨歯と歯骨歯が密集している、5)胴椎と前方の尾椎の横突起が細長い、である。

またアンキオルニスは、メイといくつかの形質を共有しており、これもアンキオルニスがトロオドン類に位置づけられる要因となっている。それらは、1)外鼻孔が大きく前眼窩窩の前縁より後方にのびている、2)頬骨の眼窩下突起の背内側縁にそって溝がある、3)鋸歯がない、4)上顎骨の歯列が後方にのびている、などである。

後方の歯列についてHu et al. (2009) は、まばらに分布している点はアヴィアラエに似ているといっている。多数の歯が並んでいるわけではないので、トロオドン類の状態とは異なるということだろう。しかし前方と後方で分布が異なる(前方では密集し、後方では間隔があいている)という意味では、すでに前兆がみられるといってもいいのではないだろうか。つまり歯列の分布と歯骨の溝は、由緒正しいトロオドン類の特徴といえるだろう。また大きなmaxillary fenestraに狭いinterfenestral barというのも、後のビロノサウルスなど吻の長い種類では顕著だが、意外と由緒正しい形質なのだなというのが感想である。

注)Hu et al. (2009) には頭骨復元図も載っているが、ここではそれを用いず実物のスラブ・カウンタースラブの線画を用いた。その理由は、以下である。Hu et al. (2009)はmaxillary fenestraの前方にpromaxillary fenestraがあると考えて描き込んでいるが、写真と線画ではpromaxillary fenestraの形が保存されているようにはみえない。そしてpromaxillary fenestraを描き込んだために、maxillary fenestraが後方にずれてinterfenestral barが実際よりも細くなってしまっている。また実物ではmaxillary fenestraの位置に大きい上顎骨歯が3本あるが、頭骨復元図ではその位置関係がずれている。歯骨の前方と後方の歯の大きさも少し変わっている。

ちなみに、メイと同様に「外鼻孔が大きく前眼窩窩の前縁より後方にのびている」とあるが、「前眼窩窩の前縁」は破損した部分にあるようにみえる。明確に見えているのではなく推定ということだろう。


参考文献
Hu, D. Y., Hou, L. H., Zhang, L. J. & Xu, X. (2009) A pre-Archaeopteryx troodontid from China with long feathers on the metatarsus. Nature 461, 640-643.
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