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肉食の系譜
東急ハンズで恐竜カフェ
東急ハンズ渋谷店では、夏休み期間に福井県立恐竜博物館とのコラボによる「恐竜カフェ」を開催中。
フクイラプトル全身骨格は、地下のエントランスに展示されているので、その前をひっきりなしにお客さんが通る。大体皆、実物のハドロサウルス類大腿骨に触ることだけに興味があるようだ。福井県立恐竜博物館のチラシやポスターを見ている人は少ない。立ち止まってゆっくり見るには落ち着かない場所かもしれない。しかし街中にこういうものが出現すると、やはり楽しいですよね。
フクイラプトルの復元頭骨は昔、ある程度はシンラプトルを参考にしたと思われる。ネオヴェナトル類の頭骨は乏しいので、今だとコンカヴェナトルが参考になるだろう。
7階のハンズカフェが「恐竜カフェ」になっていて、フクイサウルスの小さめの骨格もあり、全身骨格の写真などが内装として飾られている。福井県立恐竜博物館の関連グッズが置いてある。
恐竜アイスココアは、フクイティタンとフクイラプトルが選べる。これは実際にどうやって作るのか?マスキング用の型紙のようなものを使うのかな。
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キレスクス
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スクスはどうせワニだろう、などと思ってはいけない。「キレスクス」全体が、現地のハカス語Khakasで「トカゲ」という意味である。種小名のアリストトクスはギリシャ語で「高貴な血筋」ということである(獣脚類の中でもコエルロサウルス類だから)。
キレスクスは、ジュラ紀中期Bathonianにロシア・西シベリアのクラスノヤルスク地方に生息した基盤的なティラノサウロイドで、2010年に記載された。
近年、Berezovsk quarry にあるジュラ紀中期のItat Formationからは、魚類、有尾類、カメ、コリストデラ、トカゲ、ワニ形類、翼竜、恐竜、トリティロドン類、哺乳類など多様な脊椎動物化石が発見されている。その中に新種のコエルロサウルス類があり、Averianov et al. によって記載されたものである。
ホロタイプは不完全な右の上顎骨で、その他に左の前上顎骨、左の上角骨の断片、左第2中手骨、指骨、左第1中足骨、第3中足骨、趾骨、足の末節骨が見つかっている。
著者らは、獣脚類を包括的に扱ったSmith et al. (2007, 2008) の形質データを元に若干修正し、プロケラトサウルスとグァンロンのデータを加えて、キレスクスの系統解析を行った。その結果、キレスクスはティラノサウルス上科の中で、プロケラトサウルスとグァンロンと共にプロケラトサウルス科に含まれた。プロケラトサウルス科の中では基盤的な位置にきたことから、プロケラトサウルス科はアジアに起源をもつ可能性を示唆するとしている。
Rauhut et al. (2010) は、プロケラトサウルスとグァンロンを含むプロケラトサウルス科を樹立したが、形質による定義はしていなかった。そこでAverianov et al.はこの論文でプロケラトサウルス科を定義し、キレスクスはそこに含まれるとしている。
他の獣脚類と異なるプロケラトサウルス科の特徴は、次の形質の組み合わせであるという。1)鼻骨により形成され、前上顎骨と鼻骨の境界から始まる正中のとさかをもつ、2)外鼻孔が非常に長く、頭骨の長さの20%以上ある、3)前上顎骨の腹側縁が短い、4)前眼窩窓の下の前眼窩窩の高さが、前眼窩窩の下の上顎骨の高さよりもずっと大きい。
キレスクスでは正中のとさかは見つかっていないが、系統上の位置からあったと推定されている。イラストではもちろん想像で派手な形にしている。
プロケラトサウルスやグァンロンと異なるキレスクスに固有の形質は、上顎骨の上方突起が上顎骨の前縁となめらかにつながっており、ゆるやかに後背方に傾いていることである。またプロケラトサウルスとは、上顎骨の歯の数がより少ない(プロケラトサウルス22に対してキレスクス17)、前眼窩窩がpromaxillary fenestraの前方および腹側に延びていない、などの点で異なっている。さらにキレスクスは、前上顎骨の前背方突起がわずかに前背方に傾いている、外鼻孔が後背方に傾いているという点ではプロケラトサウルスと似ており、グァンロンとは異なる。
全体としてやはり断片的なことは否めない。前上顎骨には4つの歯槽があり、2番目の歯槽には成長中の歯冠が保存されていて、断面がD字形で前縁と後縁に細かい鋸歯がある。上顎骨では5番目の歯が完全に保存されている。これは側扁していて前縁と後縁に細かい鋸歯がある。その他、6カ所の歯槽に成長中の歯がある。しかし歯の形態について、プロケラトサウルスやグァンロンと似ているとか異なるとか、比較した議論はしていない。
中手骨や指骨、中足骨は保存が良いが、系統と結びつけた考察はないようで、やはり難しいのだろう。
参考文献
Averianov, A. O., Krasnolutskii, S. A. and Ivantsov, S. V. (2010) A new basal coelurosaur (Dinosauria: Theropoda) from the Middle Jurassic of Siberia. Proceedings of the Zoological Institute RAS, 314, 42-57.
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