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メラクセス5



なんか食べてるメラクセス。
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メラクセス4



PNSOのメラクセス発売記念ではないが、ちょうど何枚か描き直した。
堂々たる怪獣味と可愛らしい小さな手、独特の足のカギ爪が魅力である。手の指はそれほど短くないが、末節骨の形は短い(角質で延長されるが)ことは意識した方が良いのかもしれない。
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シノサウルスの頭骨



シノサウルスの歴史については過去の記事にまとめてある。あのときはXing(2012)の修士論文に基づいて書いたものである。先日、新しく発見されたシノサウルスの頭骨が記載された。研究自体はすばらしいが、例によって急いで書いた論文らしく、誤植がある。メインの頭骨写真のレジェンド(図の説明)が左右ともrightになっている。Hu (1993)がなぜか1997になっていて、雑誌名のVertebrataがCertebrataになっており、巻号がない。頭骨図のレジェンドのNLPFが図中ではNLFFになっている。

Young (1948)が命名したシノサウルス・トリアシクス Sinosaurus triassicusのホロタイプ標本IVPP V34は、3個の顎の断片と3本の歯であった。その後いくつかのディロフォサウルスに似た獣脚類化石がシノサウルスと考えられたが、(ほとんど完全な頭骨もあるにもかかわらず、)頭骨の詳細な研究はされていなかった。

Hu (1993) の記載した“ディロフォサウルス”・シネンシス ”Dilophosaurus” sinensis (KMV 8701)は、Wang et al. (2017)の提案によりシノサウルス・シネンシスSinosaurus sinensisとされた。これはシノサウルス・トリアシクスとは前上顎骨歯の数などが異なる。

Wang et al. (2017) は、雲南省の楚雄イ族自治州双柏県からの部分的な頭骨化石に基づいて、シュアンバイサウルス・アンロンバオエンシスShuangbaisaurus anlongbaoensisを記載した。これは吻の上部は失われているが、眼窩の真上にとさか(supraorbital crest)があることから、鼻骨・涙骨のとさかが後方に拡大して前頭骨にまで及んだものと考えられている。

最新の説ではシノサウルス・トリアシクス、シノサウルス・シネンシス、シュアンバイサウルス・アンロンバオエンシスの3種が有効とされている。

今回記載された新しい標本はLFKL 004で、ほとんど完全な頭骨(下顎含む)と11個の頸椎からなる。2014年に禄豊市金山镇のホロタイプ発掘地の近くから発見され、2020年に頭骨だけが禄豊市の恐竜化石研究保全センターに移された。頸椎はまだ現地にあってクリーニングされていないという。LFKL 004は、顎の外側面の歯槽縁近くに鋭い稜があるというホロタイプと同じ特徴をもつことから、シノサウルス・トリアシクスと同定された。

新しい参照標本から得られたシノサウルス・トリアシクスの特徴は、1)上顎骨の腹側部分から鼻骨のとさかまでのびる垂直の稜がある、2)前眼窩窓の腹側縁の大部分が頬骨の前方突起からなる、3)鼻骨、涙骨、前前頭骨の間に孔nasal-lacrimal-prefrontal fenestraがある、である。 

1)LFKL 004が他の獣脚類と異なる最も顕著な特徴として、鼻骨のとさかの側面から上顎骨の腹側の稜(2番目の歯槽の位置)まで走る垂直な稜がある。これをvertical nasomaxillary crest という。LDM-L10には同じ構造がある。シュアンバイサウルスではこの部分は保存されていない。シノサウルス・シネンシスでは、鼻骨のとさかの側面に稜があるが、腹側には延びていない。

2)もう一つの重要な特徴は、前眼窩窓の腹側縁の大部分(60%以上)を頰骨の前方突起が占めていることである。LDM-L10は同じ形質を示す。シノサウルス・シネンシスやシュアンバイサウルスでは、頰骨の前方突起は短く、前眼窩窓の後端近くにとどまっている。

3)鼻骨、涙骨、前前頭骨の間に孔がある。これは他の獣脚類にはみられないユニークな形質である。
 今回の研究でこれらのシノサウルス・トリアシクスの特徴が確立されたことにより、今後中国南部の近縁の獣脚類を分類・系統解析するのに役立つだろうとしている。

ディロフォサウルスとの描きわけを意識した場合に気になるのは、吻があまりくびれていないことである。ディロフォサウルスやコエロフィシスでは、前上顎骨と上顎骨の間に明確なくびれ(subnarial gap)がある。これは前上顎骨と上顎骨の歯槽縁(腹側縁)が接していないと定義されている。しかし、シノサウルス・トリアシクスでは前上顎骨と上顎骨の歯槽縁は接しており、最後の前上顎骨歯と最初の上顎骨歯の間に、特に隙間はない。このことからシノサウルスでは真のギャップはなく、ディロフォサウルスやコエロフィシスとは異なるとしている。なるほど右側を見ると、ほとんどくびれはない。左側を見るとやや「へ」の字形にも見えるが、最後の前上顎骨歯と最初の上顎骨歯は隣接していて、隙間が空いているわけではない。さらに唇をつけると、くびれているようには見えないかもしれない。このあたりは注意する必要がある。

この頭骨は普通に見ると左側の方が保存がよくて、右側はゆがんでいるように見える。右の眼窩から後頭部にかけてつぶれているように見える。しかし著者らは、左側がゆがんでいて右側の方が保存が良いと書いている。ところがカッコ内に引用しているのは左側の図(Fig.4)で、しかもrightと書いてあるので非常に混乱する。本文ではどうも右側を主に記述しているようなので、個々の骨の形状は右側の方が良いと考えているのだろうか。右側は少しつぶれていて、左側は少し引き伸ばされているということか。

とさかのピークの位置がディロフォサウルスと異なると論じているところで、どうも右側のことを言っているようにみえるが、とさかの状態は左右で異なるので、もし右側がゆがんでいる場合は成り立たないことになる。これは問題ではないだろうか。
 とさかはディロフォサウルスよりは厚く、わずかに左右に広がっているがその程度は小さい(平行に近い)といっている。シノサウルス・トリアシクスの標本の中でも変異があり、ZLJT01 では複雑な含気構造が発達しているが他の標本にはないという。



参考文献
Ze-Chuan Zhang, Tao Wang & Hai-Lu You (2023): A New Specimen of Sinosaurus triassicus (Dinosauria: Theropoda) from the Early Jurassic of Lufeng, Yunnan, China. Historical Biology, DOI: 10.1080/08912963.2023.2190760

Wang G, You H, Pan S, Wang T. (2017). A new crested theropod dinosaur from the Early Jurassic of Yunnan Province, China. Vertebrata PalAsiatica. 55 (2):177–186.
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メラクセス2



メラクセスの足の第2指には微妙なカギ爪がある。これはドロマエオサウルス類ほど発達したものではないが、一応腹側が鋭くなっているので何らかの機能があったのだろう。大型カルカロドントサウルス類の体形で、片足を持ち上げて攻撃したとは考えにくい。しかし大型カルカロドントサウルス類も最初から大きいわけではない。ごく小さい幼体の段階では、地上を走るトカゲや哺乳類などの小型の獲物を捕食したはずである。その際に前肢は小さくて地上に届かないので、足の爪ですばやく押さえつけることが非常に有効だったのかもしれない。幼体の生存率が向上することは、適応度に大きく貢献するから、そのために発達した形質ではないか。昔、ディノプレスに松村しのぶ氏が、ドロマエオサウルス類のカギ爪は前肢が翼状になり指が癒合したりして意外と不便だったために、後肢のカギ爪が発達したのではないか、という論考を書かれていた。カルカロドントサウルス類の中でも特に前肢が小さくなったメラクセスがこのような形質をもつことは、それに通じるものがあるのではないか。
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恐竜博2023 (2)



スキピオニクスの実物化石を見られたことは大変な幸運で、感謝しかない。よくミネラルショーなどで販売されているレプリカは濃い茶色で塗られていたりするが、本物はこんな色なのかと。ただし既に詳細なモノグラフが出ているので、素人としてはパネルの説明を信じるしかない。腸のヒダや爪のケラチンなどはわかりやすいですね。歯の状態もわかる。カルカロドントサウルス類の幼体かもしれない可能性についても、ちゃんと書いてある。



今回、ティラノサウルスは主役ではないのだから、スコッティだけで十分であり、タイソンは必要なかったと思うがいかがだろうか。恐竜ファンとして許せない言動だろうか。そもそもティラノサウルスを特別視し、集客力のためにはティラノサウルスが必須であるとか、ティラノサウルスの新しい標本を出せばみんなが喜ぶとか、そしてその通りになる風潮がおかしいのである。
 私はスコッティの方が安心感があるし、良いと思った。以前にもこの角度で撮影したが、飽きないですね。

休憩所につながる所の展示ではレーザー励起蛍光法の研究成果がある。私はプシッタコサウルスの「へそ」がよくわからなかった。該当部位が線で囲んであるが、どういう構造が見えればヘソと判断できるのか、のイメージがないので、これではわからない。孵化したばかりの爬虫類に「へそ」があることは知っている。卵黄嚢のなごりか管状の組織があるということだろう。



このカルノタウルスの全身骨格は後肢が長いタイプのものですね。現在は修正されている。しかしこれを見て、「こんなに脚が長いのか」と、脚の長さにいたく感心している中年男性がいた。手の新しい復元について、何を根拠にどのような解析をした結果、この指をすぼめたような形が結論されたのか、が説明されていない。おそらく未発表などの理由で詳細は書けないのかもしれない。



はっきり種名が表示してあるのに、説明をほとんど読まないお客さんが多い。メガラプトルの全身骨格の手前にマイプの実物化石が置いてあるので、メガラプトルの骨格をマイプだと思った人もいたようだ。今のところマイプの復元はできないので、メガラプトルのイメージで想像するしかないので、この展示の仕方は適切だが、それがアダになったか。



マイプの特徴はこの辺ですね。尾椎の神経棘。やはり頭骨もカギ爪も見つかっていないものを、最強の捕食者と持ち上げることにいささか無理がある。「長さ何センチの歯がズラリと並び・・」とか「カギ爪はメガラプトルの1.5倍もあり・・」と具体的に書けないのだから、限界がある。

最後の大量絶滅の考察のところで、解説パネルを熱心に読んでいる中年女性がいた。「北米での壊滅的打撃に比べると南半球の環境変化は異なっていた可能性がある。アルゼンチンで発見された植物化石は・・・グローバルな環境変化の様相を解明するため、今後もデータの蓄積が必要である。」的なやつである。研究者的には普通の文章で問題ないように思える。ところが、その女性は「もう少し一般人にもわかるような書き方はないのかしらね。」と言っていた。どこかのブログではなく、博物館の展示でもそうなんだなという感じである。言語空間というものは難しいものだと感じた。
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恐竜博2023 (1)

スキピオニクスが来てから行ったのはよかったが、3月の平日だったので平日とは思えないくらい混雑していた。次々に親子連れが入ってくる。4月の平日ならもっと心穏やかに見られただろう。



スクテロサウルス、可愛らしいですね。肋骨の上にもキレイに皮骨が並んでいるのが良い。この体型で二足歩行なら確かに尾が長いわけだ。



スケリドサウルスになると皮骨が重くなり四足歩行に。



アニマンタルクスは前半身のトゲがなかなか良いですね。



タラルルスの外鼻孔は、なぜジェットエンジンの吸気口のように前方を向いて左右が一つになっているのですかね。北米のアンキロサウルス類と近縁な重要な種類とあるが、ズールなどの外鼻孔は全然違う。タラルルスだけの形質かな。



問答無用のズールさん。これはもう素晴らしいという言葉では形容できないくらいですね。角の溝もはっきりわかります。



今回の目玉とも言えるズール対ゴルゴサウルス骨格。数カ所から撮ったがカドの位置あたりがベストアングルか。私も撮ったが後ろからスケッチしている子どもがいて、なかなか良い着眼点だ。
 また映像も、ズールの装甲に噛み付いて歯が折れるところとか、脛を骨折してびっこをひいている様子とか、よくできている。



問答無用のゴルゴサウルス頭骨。レプリカがあったら欲しいレベル。商業利用を許可して3Dプリンターで。。。頭骨の幅が狭いとともに骨が薄く、前眼窩窩も浅いような印象を持った。しかしこのくらいが普通の肉食恐竜ということで、繁栄したのもわかる。後眼窩骨と頰骨が外れているが、結合すると後眼窩骨の眼窩下突起が少しあるはずである。

続く
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