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アウロルニス

アウロルニスは、ジュラ紀中期から後期(Tiaojishan Formation)に中国遼寧省に生息した原始的なアヴィアラエ鳥類で、最近Godefroit et al. (2013)によって記載された。Natureの論文の共著者の一人、Francois Escuillie とは、ミネラルフェアで化石を販売している陽気なフランス人、Eldoniaのフランソワさんである。すごいですね。こないだ「This is our work.」といって宣伝していたので読んだのであるが、予習していたらもっと詳しい話が聞けたのに残念である。

最近のジュラ紀中期から後期の遼寧省からの、鳥類に近縁な小型獣脚類の発見は、鳥類の祖先としての始祖鳥アルカエオプテリクスの地位を脅かしつつある。もしアルカエオプテリクスが鳥類の祖先ではなく、デイノニコサウリアに属するとすれば、前肢だけで羽ばたくという典型的な鳥類の飛翔が、独立に2回生じたか、あるいは後にデイノニコサウリアで失われたことになる。
 今回Godefroit et al. (2013) は遼寧省で発見されたアウロルニスの全身骨格を記載し、これを包括的な系統解析に含めることにより、次のことを示唆した。1)系統解析の結果、アウロルニスは最も基盤的なアヴィアラエとされた。2)アルカエオプテリクスはアヴィアラエに属することが確認された。3)この解析ではトロオドン類がアヴィアラエの姉妹群として位置付けられた。4)パラヴェスParavesの中で、飛翔powered flight は一回だけ生じたことが支持された。5)ジュラ紀中期から後期の頃には、アヴィアラエとパラヴェスの初期の多様化が既に起こっていた。

アウロルニスに特徴的な形質は、手の第1指の第1指骨が撓骨よりも顕著に太い、腸骨の後寛骨臼突起postacetabular processが腹側にはっきり屈曲しておらず、背縁が水平である、座骨の遠位端が背腹に拡張し、カギ状の腹側突起とより長い背側遠位突起からなる、第1中足骨が華奢で細長い(第3中足骨の約30%)、であるという。

この系統解析の結果からみると、基盤的なアヴィアラエ(アウロルニス、アンキオルニス、シャオティンギア)は、ジュラ紀中期から後期の中国北部では既に多様化していたことがわかる。ドイツのアルカエオプテリクスを含めるとジュラ紀末には、アヴィアラエ鳥類はユーラシアに広く分布していたことになる。一方、ドロマエオサウルス類とトロオドン類はジュラ紀のアジアからは見つかっておらず、ジュラ紀後期のヨーロッパからの分離した歯が暫定的にドロマエオサウルス類とされているに過ぎない。熱河生物群の化石から、ドロマエオサウルス類とトロオドン類は、白亜紀に入って急速に発展・多様化したことになる。

参考文献
Pascal Godefroit, Andrea Cau, Hu Dong-Yu, Francois Escuillie, Wu Wenhao & Gareth Dyke (2013) A Jurassic avialan dinosaur from China resolves the early phylogenetic history of birds. Nature 498, 359-362.
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