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スピノサウルスについての議論

スピノサウルスについての議論は本当に尽きなくて、当分の間楽しめますね。

ナショジオの記事ではイブラヒム側とホルツ側の双方に取材しているが、確かにイブラヒム側のいうように、ホルツ側は水中捕食者の定義を狭くしすぎているというのはわかる。

私は東京港野鳥公園で、たまたまウが潜水して水面下で魚を追いかけるのを見たが、後肢で強力に推進しながら、水中で頭を魚に向かって突き出していた。長いS字状の首で。。。それで害鳥にされるほど繁栄している。アビやカイツブリも水中で捕食するのに何も困っていないようだし。
 獣脚類のS字状の首は、主竜類以来の進化史の遺産(レガシー)だから、そう簡単に変更しにくいというのもあるだろう。そもそもスピノサウルスの祖先の原始的なスピノサウルス類の段階では、水辺で水面上から吻を突っ込んで捕食していたに違いないわけで、その時点でS字状の首は大変重宝していた形質のはずである。それを捨て去るにはよほどのメリットがないといけないのではないか。スピノサウルス類が獲得した長めのS字状の首を保持しているからといって、常に水面上から狩りをしたとも限らないのではないか。そういえば原クジラでも「サギのように首が長い」種類がいたような気がする。

スピノサウルスの尾が扁平でも、ワニほどの推進力はないともいっている。
原始爬虫類の基本形から進化したなら、ワニやモササウルスのように全身をくねらせるのが最適かもしれないが(ワニ類は地上性の2足・4足を経ているとしても)、獣脚類は胴を固定して2足歩行するのを基本として進化してきた。その条件下での水生適応の話だから、例えば後肢と尾を併用して泳いだのではないか。
生物の形態が、常に最適化された状態を表しているという概念も、100%ではないかもしれない。キノボリカンガルーは木登りが苦手なことで有名である。まだ木登りに十分適応していない状態ともいわれている。骨格の化石だけを機能形態学的に解析したら(そういう研究がされているかどうか知らないが)、この動物は木登りに最適化されていない。よって木には登らないはずだ、と結論されることはないだろうか。
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