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スコミムス1

 白亜紀前期アプト期に北アフリカのニジェールに生息したスピノサウルス科の魚食性恐竜。バリオニクスと共にバリオニクス亜科に含まれる。
 スピノサウルス科の恐竜は、前腕が短く非常にがっしりした前肢をもち、第1指のカギ爪が特に強大であるが、これはスピノサウルス上科(メガロサウルス科とスピノサウルス科)に共通している。スピノサウルス科の特徴は、ワニ顔といわれるように頭骨が非常に長く、丈が低く、幅が狭いこと、上顎と下顎の先端の歯がロゼット状(放射状に拡がっている)になること、円錐形に近い歯をもつこと、外鼻孔が後方に移動していること、などである。このうちバリオニクス亜科(バリオニクスとスコミムス)では外鼻孔が前上顎歯のすぐ後方にあり、歯の形は円錐形に近いがわずかにカーブしていて鋸歯がある。また下顎の歯が小さく数が多い。スピノサウルス亜科(イリタトールとスピノサウルス)はいっそう魚食に対する特殊化が進んでいるらしく、外鼻孔が眼の前方まで後退しており、歯はまっすぐな円錐形で鋸歯がなく、上顎と下顎の歯の間隔がより広がっている。
 スコミムスがバリオニクスと異なる点は、背中から尾の付け根にかけて脊椎骨の神経棘が伸長して低い帆をなしていることで、最も神経棘が長いのは仙椎(腰の部分)である。またバリオニクスでは目の前方の正中線上に目立つとさかがあるが、スコミムスの復元頭骨では吻の長さに比べれば目立たない、かなり低いとさかになっている。ここで疑問なのは、スコミムスでは吻部は前上顎骨、上顎骨、歯骨だけで鼻骨は見つかっておらず、バリオニクスを参考にして頭骨が復元されたはずなのに、なぜバリオニクスと同様のとさかと考えなかったのかということである。バリオニクスの方がとさかが発達しているという印象は本当に正しいのだろうか。
 ジュラシックパーク3以後、スピノサウルスの人気は高いようであるが、私はスコミムスの方が好きである。鼻孔がある程度前方にあった方が、ワニ顔らしくてよい。スピノサウルスのように鼻孔がさらに後退すると、鳥のくちばしのようでよくない。
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