tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

歴史の街 修善寺散策(10)

2008-08-03 22:58:23 | 日記

     

【撮影地】伊豆市修善寺(2008.6月撮影)
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雨脚はさらに強まる。山を降りた先にある「筥湯(はこゆ)」で入浴。デイパックのポケットには雨が侵入して、中に入れていた「夏草の賦(司馬遼太郎)」がびしょぬれに。そして、同じくポケットの中の携帯電話が水没していた。乾燥させれば、携帯は復活できるのやら・・・・・・。

もう少し上流に向かえば、川向こうに桂川に突き出すように湧く独鈷の湯がある。この温泉は、その昔、この地を訪れた弘法大師が川の水で病気の父の身体を洗う親孝行な少年の姿に心に打たれ、「川の水では冷たかろう」と手に持っていた独鈷(仏具)で岩を砕いて霊泉を湧かせたといういわれがある。大師が父子に温泉治療を教えたところ、父の十数年来の固疾はたちまち平癒したと伝えられ、その後この地には温泉治療が広まったという。

筥湯を出て、向かった先のバス停で、今朝のバスで一緒だった中年の女性に再会する。目が合ったとき、どちらともなく微笑んだような気がした。桂川に注ぐ雨脚は、わずかに弱まったようだ。明るくなり始めた道の向こうで、せせらぎがわずかに聞こえてくるような気がした。バス停の軒下には、先に待っていたアメリカ人のカップルが、購入したジャパニスクなみやげ物について笑いながら話をしている。
バスが来るまで、もう少し、このゆったりした時間の中に浸っていよう。
了