彦四郎の中国生活

中国滞在記

コロナ防疫:日本の失敗の本質はどこにあるのか❸—コロナワクチン確保の遅れには、あのコンビの復権が‥

2021-04-30 21:31:44 | 滞在記

 人間社会の権力中枢の最高権力者の周りには佞臣(ねいしん)とか奸臣(かんしん)と呼ばれる人たちの群れが生まれやすい。歴史上のいつの時代にも登場する。とりわけ皇帝という絶対権力者が長く長く君臨し続けた中国の歴史にはいつも登場する。佞臣や奸臣とは、「常に主君の側近に位置し、主君と他の家臣、庶民との間に介在して情報を操作する事によって己の権力を作り出している者。主君の公な支持によって、集団におけるその地位と権力を保持されている者」とされる。己の権力維持のために情報を操作するため、君主の判断を誤らせ国を滅亡に陥らせることが多い。口巧みに主君にへつらう・心よこしまな側近臣下をも意味する。

 日本におけるコロナ禍下、有効なコロナ対策が打てないまま浮遊する菅政権(菅首相)のこの佞臣や奸臣にあたる人とは‥。和泉洋人首相補佐官(67)などもその一人ではないかと思われる。そして、その和泉氏と愛人関係にあるとされるのが政府内で「コロナの女帝」「ツボ子姐さん」「ツボ子」とも言われている大坪寛子氏(53)だ。「ツボ」は"お局(つぼ)ねさん" を皮肉った命名。しかもこの二人のコンビ、新型コロナウイルス対策の基本5本柱の中でも非常に重要なコロナワクチン対策分野を担当し采配する官邸側の中心的存在なのだ。また、PCR検査拡充にも反対してきたようだ。

 ―『サンデー毎日』(2020年3月8日号)の「日本の医学研究を"和泉・大坪の不倫コンビ"が仕切っている」との見出し記事、『週刊文春』(2020年5月7・14日号)の「"コネクト不倫"大坪審議官に話を聞くと‥‥丸の内デートは"だいたい業務です"」の見出し記事、『週刊ポスト』(2021年2月19日号)の「菅相も河野大臣も制御不可能 厚労省"コロナの女帝"の復権」の見出し記事(※『菅義偉の正体』などの著者でノンフィクション作家の森功氏の記事)、『高野孟のTHE  JOURNAL』(2021年3月2日)の「あの不倫カップルがやらかしたコロナワクチン調達の失敗」の見出し記事などを読むと、「なぜ、日本のコロナワクチン調達が遅れに遅れていたのか」ということの一面が分かってもくる。4つの記事をまとめていくと以下のようになる。

 昨年2月~3月、横浜に停泊していた「ダイヤモンド・プリンセス号」船内での新型コロナ感染拡大の陣頭指揮をとっていた大坪審議官(当時)。大坪氏はマスクもせずにのんきにふるまって船内を視察する姿やその対策のあまりの杜撰(ずさん)さに、アメリカの『ニューヨーク・タイムズ』紙は、「日本政府は、公衆衛生の危機対策として『これをやってはいけない』見本として教科書に載るようなことをやっている」と痛烈に批判された。

 和泉補佐官は国土交通省の元技官で医学は素人。大坪審議官は内科医ではあるが、研究実績はゼロに近い。この二人がトップに座り、菅首相—和泉—大坪の親密ラインで、コロナワクチン確保と接種の実施に関して取り仕切っていたとの報道がされている。ワクチン確保作戦の官邸側のトップが菅首相の最側近の和泉氏、厚生労働省側の担当責任者が大坪氏(厚生労働省審議官➡内閣官房審議官)。刑事ドラマなどでもよく耳にする"審議官"という地位は、〇〇部長や〇〇局長などより政権に近い「内閣官房審議官」の場合は実質的に上位・上司に位置する権限をもっている。

 写真左より、①②③大坪氏と和泉氏、④杉田氏、⑤坂井氏

 厚生労働省大臣官房審議官としてダイヤモンド・プリンセス号での対応で世界的な顰蹙(ひんしゅく) をかい、さらに和泉氏とのミャンマー・フィリピン・インド・中国の海外出張の折りの五つ星ホテルのコネクティングルームでの2人の宿泊、京都出張時の「かき氷ア~ン」デート。2019年には、2人が京都大学iPS細胞研究所を訪ねて所長の山中伸弥教授を恫喝(※製薬会社などの意向をうけて、医学的な立場から治験に慎重な立場をとる山中氏に対して、「iPS細胞を備蓄する"ストック事業の予算" をゼロにする」と脅す。その後 この恫喝は世間の批判もあり、政府・健康医療戦略室から、「支援が打ち切られる可能性があると思わせたことを深く反省している」との文面が一通送られた。

 "最強の官邸官僚"とも揶揄(やゆ)される和泉氏の威光を借り、強権をふるってきた大坪氏。さまざまな批判が表ざたになり、大坪氏は兼務していた内閣官房健康・医療室次長(室長は和泉氏) を昨年の4月に解任されていた。このころ安倍首相と菅官房長官との間にすきま風が吹き始めていたことも解任の背景にはあるようだ。その後、厚生労働省の子供家庭局の審議官となり、大坪氏にとってはコロナ対策の官邸側責任者の地位NO2を失っていたこともあり、不満も多かったようだ。この不満を和泉氏に常に訴えていたと伝わる。

 昨年8月、安倍首相の突然の辞任発表。そして、彼女(大坪氏)にとって菅政権という好機が訪れる。9月に菅政権が発足すると、子ども家庭局の審議官である彼女は、首相肝いりの赴任治療政策を担う。しかし、やはり厚生労働省内での彼女の評判は悪く、実質的にその政策を取り仕切ったのは別の幹部たちだった。それがまた、彼女にとってはおもしろくない。和泉氏だけでなく、官邸事務方トップの杉田官房副長官(80)や坂井官房副長官にも親密な関係をつくり取り入り、厚労省内での境遇の不満を伝えたようだ。ちなみに、杉田氏はあの学術会議の6人任命拒否問題を主導した張本人だ。

 菅首相—(和泉補佐官・大坪氏)―杉田・坂井副官房長の親密ラインにより、大坪氏は子ども家庭局審議官の職のまま、再びコロナ対策の厚労省と官邸の中枢に入ることとなる。ワクチン確保の事業は主に災害対策担当審議官が実務を扱ってきていたが、その審議官が外され、大坪氏がその災害対策審議官のポストに入ることとなり、コロナの女帝として振る舞い始めた。大坪氏の完全復権である。そのコンビの下で、昨年7月以来、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ各社との"口約束"まがいの合意はできたが書面における正式契約までには至っておらず素人的仕事になっていたことが判明。

 それがわかってきた昨年末から、ワクチン供給が遅れに遅れる失態となって、自分(和泉)と大坪氏が責められる事態を回避するため、「ワクチン確保には厚労省だけではなく、国際交渉面では外務省、自治体との連携では総務省、予算面では財務省など省庁横断的に動く新大臣が必要で、それは国民的にも人気のある行革担当相の河野が適任」などと言って菅首相に進言し、ワクチン確保・接種の全責任を河野氏に押し付けられるようにしたと言われる。(河野氏のコロナ相就任後まもなくして、河野氏と坂井氏の主導権を巡るバトルも起きた。)

 職務上から言えば、田村厚労相と西村経済再生相(=コロナ担当も)がいるのに、屋上屋を重ねる必要はなく、田村厚生相にワクチン担当を仕切らせればいいのに、菅首相の覚えめでたい河野氏に出番を与えて菅首相の歓心を買い、国民に対しては一種の目眩し(めくらまし)の効果を期待し、自らは責任を軽くして保身を図るという、まあいかにも和泉氏らしい菅首相操縦術とも言えるだろう。

 まとめは以上のような内容になるかと思うが、なんとも言葉に詰まってしまう、コロナワクチン確保を巡る舞台裏だ。前号ブログで記した京都大学医学部の西浦教授の「立ちはだかる分厚い何枚もの壁」とは、コロナ対策基本戦略を立てられない「①政府コロナ対策分科会(尾身会長)」の実態であったり、この「②菅首相を取り巻く官邸官僚たち」の壁なのではないかと思われる。

◆大坪氏は東京慈恵会医科大学(私立) を1992年卒業後、医学部で助教を務め、厚生労働省傘下の国立感染症研究所に出向し、2008年に医系技官として厚生労働省に入省した。2013年に第二次安倍内閣が誕生し、菅官房長官が就任すると、和泉氏が内閣官房の健康・医療戦略室の室長に就くと、大坪氏は課長級の参事官として起用され、ほどなく次長に昇格。内閣官房審議官となる。異例づくめの大坪氏の10段飛び人事だったと言われる。

 大坪氏は2013年のこのころ離婚しているので、その後は独身。彼女の子供のことについては情報がなくベールに包まれている。おそらく男女の関係によるこの大坪氏の昇格人事だったことが多分に推測もされるが‥。和泉氏の方は妻や家族がある。まあ、二人の男女関係に関しては、男と女のことだからよくある話の一つにすぎないが、いままでのコロナ対応政策の失敗をしつ続けてきている二人のコンビに、国民の命にかかわる最重要国政課題のキーマンを任せているこの菅政権にはじくじくしたものを思う。悲しくもなる‥。

 さすがにこの二人のコンビをコロナワクチン対策のその中心においてはまずいと思ったのか、最近ではコロナ担当相の河野氏と厚生労働相の田村氏が、官邸でのコロナワクチン担当の中心になりつつあるのかも知れない。昨日4月29日、医療崩壊を起こしている大阪府の1日のコロナ感染による死者が44人にものぼってしまった。第4次感染拡大の事態は新幹線並みのスピードで日々、迫ってきている。 

 

 

 

 

 

 

 

 


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