彦四郎の中国生活

中国滞在記

講演会「私の目に映った中国社会の実像」―中国人、中国社会、そして「中国」という国

2018-02-20 12:22:34 | 滞在記

 2月16日(金)、午後7時から9時半:「京都府京田辺市中部住民センター(せせらぎ)」に於いて、講演会が開かれた。講座(講演会)の講師を昨年の8月下旬に依頼され、日本に一時帰国中の2月中旬開催という日程がほぼ決まった。この日に向けてこの半年間、講演に向けて多くの中国関連の書籍を読むことなど、ずっと心の中で準備をしてきた。私が話す時間は約2時間、質疑応答で30分という内容だった。主催は「山城社会科研究会」という組織で、もう30年間近くこの研究会は続いている伝統と実績のある研究団体であった。今回私が担当する講座は第262回目となった。主に京都府の大学・高校・中学校の社会科学や社会科教員、及び一般人が参加する。京都府近辺の大阪や奈良や滋賀からの参加者もある。

 ―講演会(講座)案内パンフより―【内容】現代中国の実際の姿を正しく知り、互いに学び合える関係に―2月例会では、中国の大学で教えておられる日本人教員の方から「中国の今!」をお話しいただきます。正しく知り合うことが問題の正しい認識につながり、それが友好の第一歩になります。         

 <<講師の先生より>>中国福建省福州市にある福建師範大学と閩江大学に赴任して5年目に入っています。この間、「中国人という民族のこと、中国社会のこと、そして中国共産党一党支配下の中国という国のこと」などを、日本などとも比較しながら、その共通性や強烈な違いなどについてずっと考え続けた4年半でした。中国の2つの大学で、日本語教育だけでなく、「日本概況・日本文化論・日本近現代文学・日本古典文法」などの講義を担当してきた経過もあり、中日の様々な比較に関する調査・研究をしながら講義に臨むという日々の連続でもありました。

 私の目に映った「中国人と中国社会は今後どうなっていくのだろうか、中日関係はどうなっていくのだろうか」ということについて、私なりの私見を伝えられればと思っています。また、中国での生活は、終始大変な苦労がつきまとってきましたが、そのことについても話したいと思っています。乞うご期待!ご参加のほど、どうかよろしくお願いいたします。

 中国から日本への1か月間あまりの一時帰国の2月。最初の1週間は、病院で胃潰瘍の診察に行ったり、孫と遊んだりという日々であっという間に過ぎた。そして次の1週間は講演に向けたPP(パワーポイント)作りにそのほとんどを費やした。およそ1万枚あまりの中国関連の写真から、約200枚あまりを選びPPを作った。完成したのは講演開始の4時間ほど前だった。

 講演前日の15日(木)の「朝日新聞(京都府版)」の朝刊には、小さいが講演の案内が掲載されていた。この日の朝刊の一面は「小平 銀、高木美 銅―スケート1000」「渡部暁 銀―スキー複合」「平野 銀―スノボ・ハーフパイプ」の平昌オリンピック関連。前日、彼等の決勝競技場面を見ながらPPを作り続けた。

 16日当日、この日の講演会(講座)に集まってくれた参加者は40名を少し超えていた。この会の運営の中心者である事務局長:片桐さん、会長の広瀬さん、そして幅広く参加を呼び掛けてくれた鈴木さんたちの姿があった。京都府内外からの20代や30代の若い教員たちの参加者がけっこう多くみられた。

 講演の主な内容は、次のような順序で話をすすめた。❶初めに―1:中国の春節時期のこと、2:中国の大学と学生(閩江大学及び福建師範大学)の様子について、3:中国の教育と全国統一大学入学試験(高考)について 4:福建省及び福州について ❷中国人という民族について―1:日本人と中国人の共通性と強烈な違いとは何か、2:中国の歴史とそこで生きてきた中国民族について(日中の歴史比較) 、そこから生まれる人間関係のあり方や民族の特徴について 3:中国人と日本人の自然観の共通性と違いについて ❸中国社会と人々の暮らしを見る―その背景には中国特有の歴史の歩みがある―おそろしいスピードで変化する中国社会 

 ❹中国共産党一党支配化の中国―習近平政権の目指しているものとは  1:中国共産党支配下の歴史―その歴史的特徴 2:習近平政権2期の特徴―光と影「貧困への取り組み・一帯一路」 3:人権問題や情報管理のすざましい実態とは―『1984年』・ジョージ・ウォーエル以上の世界となる 4:2020年を境に「台湾統一の武力侵攻」の可能性も―尖閣諸島問題 ❺日本政府の取るべき今後の方向性とはどうあるべきか―日本の高校・大学の教育の現場で求められること

 2時間という時間では時間がたりなかったので、❺については十分な時間がとれなかったのは悔やまれる。日本の大学で「中国論」をテーマとして15回ぐらいの講義をするだけの内容はこの5年間近くで蓄えたが、2時間くらいの2回連続「講座」などの形式で話をするのが望ましいかもしれないとも思った。

 質疑応答は若い参加者を中心に行われたが、いろいろな質問が行われ、それに応答した。時間が足りなく、講座(講演)終了後にも、若い参加者から質問をいろいろ受けたので、片付けも含めて午後10時頃にようやく会場を去ることができた。おおむね、今回の講演は好評だったようだ。若い参加者の多くからは、「とてもとても面白かった!」との感想を聞くことができた。

 この私の冬休み日本滞在中の最も大きな行事が終わった。私の妻も参加してくれていたが、「私でもとてもわかりやすい説明だったよ」と言ってもらえたので、まあまあのできだったのだろう。今回の講演に関する自己採点としては80点ぎりぎりくらいだろうか。参加者のある方から3月〜4月期の「講演」の依頼をされたが、もうすでに中国に戻っている時期なので受ける事ができない旨を伝えた。講演のまたの機会があれば改善をしてぜひ行いたいと思う。