彦四郎の中国生活

中国滞在記

最近の、気になる報道記事より❻―テレサテン、そして今誕生の「TPE48」の行方は---?

2018-02-07 09:52:14 | 滞在記

 台湾出身の歌手といえば、アジアの歌姫とも言われたテレサテン(鄧麗君)やアグネス・チャンやジュディ・オングを思い出す。アグネスやジュディは、現在でも日本のテレビ番組などでも時々、元気な姿を見ることができる。ジュディ・オングなどは現在68才だが、いまだに美しい美貌の人だ。アグネス・チャンも今もって若々しい。

 残念ながら、テレサ・テンは若くして自ら命を絶ち亡くなった。1980年代、彼女の「何日君再来(君またいつ帰る)」などは日本や台湾だけでなく、中国本土でも多くの中国人に受け入れ大ヒットとなった歌であった。1989年の夏先、北京であの「〇〇〇〇件」が起きた。(この事件名は中国では即検閲削除の対象となる。事件の月日も。)   テレサは、これに抗議する香港での集会に参加して鉢巻姿でマイクを持って訴えた。その後は、中国では「彼女の歌」は中国では発禁となった。それから、数年後の1990年代、彼女は台湾軍の慰問などにも参加していたようだった。彼女永遠の歌姫として、アジアの人々の多くの心に今も残っているだろう。

 最近、台湾で「TPE48」のオーディション合格発表会があった。「AKB48」の生みの親・秋元康さんのプロデュースのこの「TPE48」には、約3000人の応募があったが、審査や面接の結果、日本人3人を含む45人が合格したと報じられていた。台湾の台北を拠点に今後活動を展開するようだ。

 2020年の台湾総統選挙の結果を受けて、台湾問題は中国政府側の動きがより活発になり、武力侵攻の事態も考えられる状況下なのだが、はたしてこの「TPE48」グループは5年後にも活動ができているかどうか、少し心配になる。

―日本製ゲーム「旅かえる」が中国で大ヒット=元国家主席に「似ている」のがヒットの背景に―産経新聞2月3日

 知らぬ間に旅に出かける気ままな「かえる」を自宅で待ち続け、旅の準備などをお世話する日本製スマホ用ゲームが、今、中国の若者の間で大ヒットしている。昨年12月に登場したばかりでゲーム画面の表記は日本語のみ。だが、2日付の中国青年報によると中国ですでに950万件もダウンロードされ、日本の20万件を大きく上回った。----------------。

 中国で「仏系」と呼ばれる"草食系"の若者がその中心だ。戦争シーンや点数アップを競うよりも、「一人っ子」世代には、かえるの帰宅を心待ちにする親になったような気持ちが癒しになるようだ。-----------。ヒットの背景に「かえるに風貌が似ている江沢民元国家主席をアイドル視する気持ちの代弁」(上海の29才女性)がある。言論統制や社会監視に走る習近平指導部への反発から、まだしも自由な空気を謳歌(おうか)できた江氏の時代を懐かしむ声が強い。2003年に国家主席を退いた江氏の時代を知らない若者にも「かえる」ファンが広がっている。

 習指導部にとって"江氏人気は排除したい"が、中国共産党機関紙、人民日報系の環流時報は、「旅先からもっと両親に写真を送るようにしたい」と話した22才のゲーム愛好家の声を伝え、「旅かえる」を通じて親の気持ちに触れるようにと若者に説教した。

 上海の学識経験者は「中国で社会現象となりつつある『旅行青蛙』が今後、江氏人気に結びついてくれば政治問題に変化し、ゲームそのものが禁止される恐れもある」と懸念している。

   以上「産経新聞」報道より

 

 


最近の、気になる報道記事より❺―台湾はどうなっていくのだろう---

2018-02-07 07:24:58 | 滞在記

◆最近まで、台湾と国交を正式にもっている国は21か国であった。そのほとんどの国は、太平洋にある小さな島国であったり、日本人があまり知らないアフリカの国であったり、南米のいくつかの国ぐらいだ。その中で最も台湾と親交が深いとされていた「パナマ」が、昨年に台湾との断交を発表した。中国がパナマへの莫大な経済援助をすることと引き換えに断交に至った。残る20か国のうち、18か国が台湾との断交に向け動いている。台湾との断交を条件に経済援助を申し出る中国の外交的戦略「台湾包囲網」「台湾断交ドミノ」が最終局面を迎えている情況だ。

◆日本と台湾の関係では、アメリカとソビエト(ソ連)が対立していた「米ソ冷戦時代」、ソビエトとも対立関係が表面化し始めた中国に対し、「対ソ牽制」戦略の一環として、1972年、当時の米大統領のニクソン氏が訪中。そして、「中華人民共和国」を唯一の中国と認め、「中華民国(台湾)」との関係を断交を発表した。それに引き続き、同じ年に日本の田中角栄氏も訪中して、日本と中国との国交樹立となった。この年日本も「台湾との断交」を発表した。これにより、「中華民国」は国際連合を脱退した。それに代わって「中華人民共和国」が国連の常任理事国の地位についた。それ以降は、台湾は国際的には「中国の一地方」と位置付けられることになり、「台湾問題は中国の内政問題」という位置づけにもなった。

 しかし、その後も日米ともに「台湾」を重要なアジアの「場所」として、実質的に友好的な関係(経済的にも政治軍事的にも)を持続させてきた歴史がある。日台間でも、民間の機関という名目で、大使館の役割を担う組織が相互に置かれ、経済的、人的な交流が続いている。この台湾の置かれている立ち位置のことをどう表現したらいいのだろうか。「政権独立国家」という言い方ができるかもしれない。

◆現在、台湾では「中国との統一問題、台湾独立問題」を巡る、中国からのさまざまな攻勢(蔡政権への徹底した締め付け)に揺れている。この状況下で、不安を募らせる台湾人からの「蔡氏」への支持率も低下してきている現状がある。2020年の「台湾総統選挙」には、ひょっとして蔡氏に代わって同じ「民進党」から台湾人の人気が高いとされる「頼清徳」氏(行政院院長)が出場する可能性がある。彼はバリバリの「台湾独立派」である。中国政府としては、彼が総統に就任する事態となれば、武力侵攻やむなしという政治判断をする可能性が大きいことを睨み、さまざまな世論形成(中国・台湾双方で)を事前に2020年までには行うだろう。「武力侵攻やむなし!」という世論形成を。

 今年の中国の「春節」は2月中旬から開始される。このため、2月1日から中国国内の列車や新幹線、長距離バス、空の便は「春節増便期間」が開始された。約7億人の民族大移動が始まった。これは、台湾でも同じである。中国大陸からこの時期に台湾に帰省する台湾人もとても多い時期だ。

 しかし、この時期を狙って中国政府のある動きがあった。中国大陸は1カ月前ほどの1月4日、台湾海峡の中間線付近の上空を通過する航空路の運用を台湾との事前協議なしに一方的に開始。台湾は会話による解決を呼びかけたが、中国側は応じず、中国東方航空と厦門(あもい)航空は航路の使用を続けている。中国政府は2つの航空会社の決定・運行を支持する姿勢を表明した。(この「M503」と呼ばれる中間線付近の新航路は、台湾側にとって重要な軍事拠点でもある「金門島」や「媽祖諸島」上空を通過する航路となっているため、その変更を求めていた。)

  このため、2月1日から始まる春節の帰省に向けた「航空2社」の臨時増発便(大陸と台湾間の)の申請を台湾側は認めないという措置に踏み切った。約5万人に影響が出るようで、「台湾に帰省が難しくなった人々やそれを待つ家族・親戚」の人々の不満が蔡政権に向かうことも狙ってもいるようだ。

 2月に入って、「春節前」のこの時期、「台湾」では、中国の侵攻に備えた軍事演習が大規模に行われた。

 


最近の、気になる中国の報道記事より❹中国政府筋「中国近未来の6つの戦争」を発表

2018-02-07 05:03:07 | 滞在記

―「中国が2020年までに台湾侵攻の準備を終える」―スクープされた習近平指導部の計画―

 昨年(2017年10月)、米国で出版された一冊の書籍によって、中国の習近平指導部が準備を進めている「計画」がスクープされた。「大規模なミサイル攻撃の後、台湾海峡を中国海軍が封鎖、40万人の中国人民解放軍が台湾に上陸する。台北・高雄などの都市を制圧し、台湾の政府、軍首脳を殺害。救援する米軍が駆けつける前に台湾を降伏させる---」

 米シンクタンク「プロジェクト2049研究所」で、アジア・太平洋地域の戦略問題を専門とする研究員、イアン・イーストンが中国人民解放軍の内部資料などを基にした『The  Chines  Invasion  Threst(中国侵略の脅威)』の中で描いた「台湾侵攻計画」の一節だ。台湾の首脳に対する、「反国家分裂法」に基づく「大罪人」としての「斬首作戦」を伴う迅速な侵攻計画が見て取れる。イーストンは「世界の火薬庫の中で最も戦争が起きる可能性が高いのが台湾だ」と強調した。その上で、「中国が2020年までに台湾侵攻の準備を終える」と指摘し、早ければ3年後に中台戦争が勃発する可能性があると示唆した。この衝撃的な内容は、台湾では大きな波紋を広げ、中国国内でも知られることとなった。

 

 中国国務院台湾弁公室副主任などを歴任し、長年、対台湾政策制定の中心となってきた「台湾研究会」副会長の王在希氏は中国メディアに対し、イーストンの著書の内容を半ば肯定し、「具体的な時間は分からないが、台湾当局が独立の傾向を強めるなら、統一の日は早くくるだろう」と語った。そのうえで、「平和的手段か、それとも祖国統一戦争か、台湾当局の動きをみてから決める」と踏み込んだ。近年、中国の当局関係者が台湾への武力行使に直接言及するのは極めて異例のようだ。

―「中国近未来6つの戦争」と題して、中国人民解放軍研究員が発表―シンポジュームにて―

 昨年10月の第19回中国共産党党大会閉幕後、北京市内で開催された政府系シンクタンクが主催するシンポジュームで、中国共産党人民解放軍所属の研究者による衝撃的な予測「中国近未来の6つの戦争」が発表された。その予測とは「2020年以降、台湾、南海(※南シナ海)、釣魚諸島(※尖閣諸島)、南チベット(インドとの国境紛争地域)、モンゴル、ロシアとの国境や領有権をめぐる戦争が起こる可能性が高いとしたうえで、台湾統一の時期は2020年~25年だ」と期限を明確に打ち出して予測を発表した。これは、習近平指導部の指示に基づいた発表である。台湾統一の時期は、イーストンの著書の指摘と一致する。

 習近平指導部は、東シナ海や南シナ海だけでなく、2050年までにはインド、ロシア、モンゴルとの周辺などにも版図を広げる計画のようだ。中国軍研究員の発表では、尖閣諸島を奪還する時期は40年~50年とされている。しかし、これは表向きの発表であり、実はもっともっと早い時期に計画されている可能性が強いように私には思える。台湾に中国軍が侵攻し基地が設けられれば、地政学的にも尖閣諸島の軍事的攻略が中国側にとって俄然有利となってくる。

 ここに一枚の地図がある。この地図は、1920年代に中国で数多く作られた「國恥地図」というものである。1842年の阿片戦争以降、中国にとって欧米日露から領土を奪われた「国辱の世紀」を「国恥(国の恥)」として、その領土奪還を誓う意をこめられて作られた地図だ。この地図は、中国の「清朝」の乾隆帝時代の1700年代の中国の領土及び属国を描いたものである。ここには、ロシアのウラジオストク・ハバロフスクなどの「極東」地域や樺太、沖縄や奄美諸島までが中国の範疇(朝貢国)として描かれている。(※東南アジア諸国も属国<朝貢国>と描かれている)

※ハバロフスク近郊を流れるアムール川。ロシア・シベリア地域や中国黒竜江省を源流域とするこの大河はオホーツク海に流れ行く。このハバロフスク近郊のアムール川の巨大な中州島の領有を巡って、「中ソ対立の時代」に国境戦争が起きた。私はこの島を2006年に、ハバロフスクに行った時に ここまで来て遠望したことがあった。

 習近平氏の描く「中国の夢」には、この「國恥地図」を念頭に置いたものであるようにも思える。