goo blog サービス終了のお知らせ 

彦四郎の中国生活

中国滞在記

はたして、何が起きているのだろう!?➊—この10カ月間ほどの対日政策の変化はなぜ‥?国内政策の変化はなぜ‥?

2025-07-21 05:55:32 | 滞在記

 2022年10月、第20回中国共産党大会にて、(2018年に憲法を改正し)異例の第3期目の中国(国家主席・共産党総書記・共産党軍事委員会主席)の最高権力者に就任した習近平氏。2018年頃より、香港問題への対応や外交では「戦狼外交」など、国内外に強硬な政治姿勢を取り続けてきていた習近平氏だったが、新型コロナウイルス感染パンデミックへの、あの世界的にも例を見なかった「ゼロコロナ政策」の突然の廃止を22年12月に発表。

 対日政策では、23年8・9月に福島第一原発処理水の海洋放出を巡っての日本産海産物の全面禁輸を発表。しかし、その1年後の24年9月には、その禁輸措置緩和を発表した。同年11月、APEC首脳会議の期間中に、日本の石破首相との初会談を行った。その後の11月下旬、日本人に対する短期訪中渡航でのビザなし渡航(30日間)の再開を発表した。

 これらの一連の、中国共産党の対日政策の変化は、第二次米国トランプ政権(トランプ2.0)誕生という政治情勢の変化に対し、「米国と日本の間に楔(くさび)を打つ」ために日本との融和政策を進めるためのものと解釈されてきていたが、どうもそれだけではなく、中国の権力構造(習近平氏の個人権力集中)に、大きな変化が実は進行し始めていたためではないかと現在は推測もされ始めている。そしてそれは、あの2022年10月の第20回中国共産党大会で、前総書記の胡錦濤氏が会場から強制退場させられた出来事が大きな変化が起きることとなった始まりだったとも‥。そしてそれはさらに、23年10月の前中国共産党国務院首相の李克強氏の突然の死去事件により、中国の政権内部中枢で、その大きな変化の流れが加速し始めたとも最近は伝えられもしている‥。

 中国の人々も世界の人々も中国の国内政治の突然の大変化に驚いた出来事が2025年の「春節」の後の2月17日にあった。それは、北京の人民大会堂にて、「中国の民間大企業代表者31人を招いての懇談会」を習近平氏らチャイナセブンらも参加して開催されたことだった。日本のテレビ報道では、「習近平氏 民間企業の支援方針を強調—アリババや新興企業"Deep Seek"の創設者など、中国の民間企業(31社)のトップらが出席」と題されて報道された。中国国内のネットニュースなどでは、アリババの創業者・馬雲氏(ジャック・マー)の中国帰国に関して、「馬雲回国(帰国)!」「馬雲回復(復権)!」などと報じられてもいた。2020年以降、中国のIT関連民間大企業などに対して大きな規制や圧力をかけ続けてきた習政権だったのだが‥。

 このような政策の大変化は、中国での経済問題での大不況の長期化に対応するためとされていたが、どうもそれだけではなく、権力構造に大変化が起きているためとの推測も現在され始めている。はたして、中国の権力構造(政権)に何が起きているのだろうか。いろいろな憶測が広がっている2025年7月現在‥。

 7月12日付朝日新聞には、「日中思惑一致 進む関係改善 牛肉輸出再開へ—日本政府 参院選追い風期待、中国政府 日米間くさび狙う—トランプ関税"貿易戦"背景」の見出し記事。

 12日付同紙の社説には、「弁護士弾圧10年 中国の深刻な人権無視」の見出し社説記事。17日付同紙には、「"スパイ活動"拘束3年6月 中国判決 アステラス社員(60代男性)に」「"スパイ行為"不透明な中国—アステラス駐在員に拘束刑判決 不安広がる日系企業 対応手探り」「判決時期配慮か 駐在員希望減る」「"居住監視"刑務所より辛い—中国に6年間拘束された男性(鈴木英司さん)語る、部屋に男2人と 会話できず 読み書き許されず 時計なし」などの見出し記事。そして「中国の邦人有罪 透明な不当判決」と題された社説記事などが掲載されていた。

 このアステラス社員に対する判決に関して、日本のBS報道番組「インサイドOUT」にコメンテーターとして出演していたジャーナリスト(中国社会・政治経済の専門家)の近藤大介氏は、「これまでの日本人に対するスパイ容疑での判決は、6年~12年が多かっただけに、今回の3年6月というのは、かなり短い判決となっている。逮捕されたのが一昨年だったので、すでに2年半あまり刑務所に収監されているので、刑期はあと1年間余りとなる」と説明していた。(※この60代のアステラス社員は、中国に3万社余りある日系企業の商工会の副会長でもあった。)

 このように、中国政府のこの10カ月間余りの国内・国外、そして対日政策はかなり融和的なものとなってきている。これはいったいなぜなのか!?中国で10年が経過した300人超の弁護士への弾圧事件だが、これまでは絶対許されなかった日本の報道機関の弁護士たちへの取材が一部許可されていて、それが、最近日本で報道されてもいた。

 はたしてこの政治的政策の変化は、いったい中国で何が起きているからなのだろうか‥?なぞは深まるばかりだが、その「何かが起きている」ことについては、日本の報道番組で、これまで一切報道されてこなかった。だが、ようやく今年の7月に入り特集的に報道がされ始めた。(➀TBS、BS報道番組「報道1930」、➁ABC「大下容子のワイドスクランブル」、③BS報道番組「インサイドOUT」などで)

  さて、昨日20日(日)に投開票となった日本の参議院議員選挙。本日21日付朝日新聞には、「自公大敗 議席大幅減—石破首相、続投意向を表明」「立憲横ばい 国民・参政大幅増、政権 不安定化は不可避」「立憲 揺らぐ"盟主"の座、公明 厳しい戦い 責任論にも、国民民主 衆参で増す存在感、維新遠い"全国化"、共産 退潮浮き彫り、参政 無党派層を取り込む、比例で伸び欠き れいわに埋没感、参院でも議席 保守党が獲得、社民 政党要件崖っぷち」などの、参院選挙結果についての見出し記事。そして、「自公大幅減と進む多極化 戦後政治の大きな転換点」と題された社説記事。

 中国政府としては、石破政権を評価している(石破首相の続投を望んでいる)だけに、今回の参議院選挙の結果、今後、日本の政治状況がどうなっていくのか‥。気になるところであるだろう。日本も欧米のような、社会や政治にたいする国民の不満や不安感を利用して、過激に国民を扇動するポピュリズム政党が存在感をもってきた時代に入ったようだ。民主主義政治の困難さというもののの一面を改めて思う。そして、偽情報なども使いながら国民を扇動する政党の増長を防ぎ、民主主義が正しく作用するための社会的な重要さも‥。

 

 


これからの日本という国の岐路ともなる可能性が大きい今回の参院選—注目を集める参政党、そして代表の神谷宗幣氏とはいったい何者なのか‥、それでも彼を支持するのか‥

2025-07-18 16:57:30 | 滞在記

 いよいよ明後日の20日(日)が参院選挙の投開票日となった。この選挙は、日本の政治状況が良くも悪くも大きく変わる可能性をはらんだ選挙となるように思われる。国際社会における弱肉強食世界の始まりの様相、国内における多くの人々の閉塞感や不満、不安感が、自民党・公明党の2党連立政権の終焉の序章を始まらせる岐路となったり、欧米における排外主義的ポピュリズム政治の潮流を日本でも大きくする可能性をはらんだりもしているからだ。

 二つの興味深い資料がある。➀イプソス「ポピュリズムレポート2025」(2025年6月発表)と、➁NHK調査(7/11~13)だ。➁のNHK調査資料では、日本の若年層と中年層の既存政党への不信感の大きさが示されている。➀の資料では、「➊自国の社会は壊れている(Society Broken)と感じているかどうか。➋既存の政党や政治家は、私(自分)のような人間を気にかけていないと感じているかどうか。➌金持ちや権力者からこの国(自国)を取り戻す強いリーダーを必要と感じるかどうか。」について調査をした結果だ。➌の質問は、ポピュリズム政党指導者への期待を感じるかどうかという質問に近い。

 この最近の二つの調査結果では、特に若年層や中年層での「そう感じる」と答えた比率が、2016年以降は日本でもうなぎ上りに上昇しているという調査結果なのである。(※欧米では2016年時点で、すでに「そう感じる」という人の比率は80%余りとても高かったのだが。2016年時点の日本では、「そう感じる」と答えた人の比率はまだ40%程度とそう高くはなかった。しかし、2025年には若年層や中年層では欧米に近い比率に増加している。)

 このような若年層や中年層の意識変化が、今回の参議院議員選挙にも、参政党などへの支持率の高まりなどへと大きく反映していると考察することができる。要するに、閉塞感からの変化を求めている若年層や中年層の増加。そして、SNSやYou tubeなどの情報媒体の影響を強く受けて、変化を求めて参政党などへの支持をしていくという風潮が現在、現れていると推察することもできる。

 この参院選期間、日本社会で最も注目されているのは参政党代表の神谷宗幣氏(47歳)の言動。今回の選挙の争点の一つとして浮上してきた「在日外国人政策」問題を最も強く規制すべきと語ってもいるのが、この神谷代表だ。例えば、「安い労働力だといってどんどん野放図に外国人を受け入れていったら、結局 日本人の賃金は上がらないでしょう!」と彼は聴衆に訴えている。ちょっとそれを聞いたら「なるほど」と共感してしまいそうだが、実は、その訴えにはに虚偽がある。(事実ではない。)   日本人の賃金があがらないことを外国人労働者のせいになすりつけているにすぎないヘイト的な虚偽だ。新潟清陵大学の碓井真史教授(社会心理学専門家)は、「これは人間の"心のわな"であって、私たちは容易にわなに入ってしまう」と報道番組(テレビ)で解説していた。

 そして、この報道番組では、「日本に外国人労働者が増加した理由は"人手不足"です。各種企業への調査では、例えば建設業では81.3%、宿泊、飲食業では80.8%の業者がこの"人手不足"を補うために外国人労働者の必要性を答えています。つまり、日本人がやりたがらない労働を外国人が補っているのが実情です」とも報道していた。

 7月16日付の朝日新聞では、選挙終盤情勢として東京選挙区のことが次のような見出しで掲載されていた。「さや候補(参政党)が引き離す、鈴木・川村・吉良・塩村やや先行」と。また、「支持広げる参政党 どんな政党?—国民ではなく"国に主権"憲法草案等に ネット動画では代表が"影の政府"主張—結党前と地続き 潜む"陰謀論"思考」との見出し記事も。

 7月18日付朝日新聞には、「参政党公認候補"核武装が最も安上がり"」の見出し記事。この候補者とは参政党のさや候補のことで、日本の戦力のために核武装の必要性を訴えたとの記事。この核武装論に対しての批判が上がると、神谷代表は、「すぐに核保有をするわけではない」とさや候補をホローしていた。

 7月17日朝日新聞には、「外国人への生活保護 日本人より優遇されている FACT CHECK  永住者や難民らに限定 審査は同じ」との見出し記事。外国人問題について積極的にその政策の批判をしている政党(参政党や日本保守党など)の論説の多くには嘘・虚偽の言論が行われヘイト的な論調が目立つこと(「FACT=虚偽・嘘」が多く見られること)がこの記事では掲載されていた。

 Yahoo Japanに掲載されていた毎日新聞記事には、「参政・神谷代表"稲作をやめれば神道がなくなる"街頭演説で発言」の見出し記事も。「今、農業が衰退している段階で、外国米に逃げたら日本の農業はだめになる。日本人が稲作をやらなくなったら信仰がなくなる。神道もなくなる。神道がすたれたら皇室もなくなる」と福井市で訴えたとの記事。参政党は参院選公約で「食糧自給率100%」を掲げ、農業の公務員化を訴えているが、この「食糧自給率」を上げる国策の必要性については、私も同感する。

 7月に入り、週刊誌の『週刊文春』や『週刊新潮』などでは、参院選や参政党関連の特集記事が掲載されることが多くなったので、私も購入して読んでみた。7月17日号の『週刊文春』には、「参政党 神谷宗幣は日本のトランプか?」と題された特集記事が、同日号の『週刊新潮』には、「参政党 神谷宗幣の危うい実像、党幹部曰く 神谷は独裁者」と題された特集記事が組まれていた。

 また、7月24日号の『週刊新潮』には、「天下分け目の7.20参院選 日本人ファーストでデマも飛び交う 外国人政策4つの大問題」と題された特集記事や、「神谷代表"元女性秘書"を訴えた 参政党の"言論封殺"」と題された記事が掲載。同日付の『週刊文春』には、「参政党の政策&憲法草案を徹底検証—憲法草案に"主食は米"!? 専門家はまるで"怪文書"  研究者が指摘"外国人への支援停止"は"ナチスを想起"」と題された特集記事が掲載。

 ちなみに神谷氏の愛読書の一つは、ヒトラーの『我が闘争』でもあるようだ。

■神谷宗幣—1977年福井県高浜町生まれ(47歳)。福井県立若狭高校を卒業後、関西大学に進学し卒業。若狭東高校の講師(世界史など担当)を経て、実家のスーパーマーケットの店長となり経営の立て直しを図るも倒産。その後再び高校の講師となる。関西大学大学院に進学。その後、2007年に大阪府吹田市の市会議員を2期6年務める。そして会社を設立したり自衛官ともなる。2020年に発起人の1人として参政党の設立に加わり、2022年の衆院選に比例区から立候補し当選した。思想的には、神道的右翼思想の傾向を強くもっているとされる。

 yahoo Japanの記事に、今回の参院選の政党の中では、温暖化などの環境問題では、各政党の中で最悪の政党が参政党であることが書かれた記事があった。「温暖化対策などをすすめるパリ協定には反対、温暖化の要因となるCO2排出などの科学的根拠も信じないと否定している。まさにトランプ大統領と同じような主張をしている」と記事は述べている。

 最近のyahoo Japanのニュースサイトには、「参政党研究の第一人者。古谷経衡氏が語る"支持者の本質"大半は人生で初めて投票に行く"無関心層だが300万~500万票は動く」と題された記事が掲載されていた。この記事の冒頭「(古谷氏が)6月下旬に発表した論考で、私は参政党支持層について、多くが"日本政治や社会の大まかな構造に対して、驚くほど無知で無関心"な人々、これまで一度も投票に行ったことがなかった"無関心層"であると書きました」から始まる論考文記事だ。

 長く保守論壇で活動してきた評論家の古谷氏はこの記事で、「岩盤保守層やネット右翼が大量に参政党に流れているのではないかとの問いをしばしばうけるが、しかし、そうではない」ことなども述べている。はたしてこの古谷氏の指摘が正しいのかどうか疑問もあるが‥。このブログ号のはじめに紹介した二つの興味深い調査結果なども考えると‥‥。若年層や中年層で、かなり広範な層からのポピュリズム的支持もあるのではと私は推測もする。

 この神谷代表は、今回の参院選での飛躍や次期衆院選での飛躍により議席を伸ばし、自民党との連立政権入りを構想していると語っている。こうなると、現実的にポピュリズム排外主義、反グローバル主義の影響が及ぶ連立政権が誕生することとなり、日本の政治状況も欧米に近いものとなることが危惧もされる。

 7月15日付朝日新聞には、「新興政党を好む人 動画・SNS情報源 政府やメディアへの不信感強い—今の社会に不満 制度への不信」と題された記事。7月18日付同紙には、「SNSのリスクって何?—注目集めるため過激な内容や偽情報も増えやすい」と題された記事。私も中国での生活では、日本からのYoutubeを何時間も視聴することがとても多いので、そこの記事などの危険性リスクについてはよくわかる。コンピューターやスマホのアルゴリズム装置が働いていて、同じような傾向と主張の記事ばかり、視聴することとなり、一種の洗脳的な状況に陥る場合も多く危険性がとてもある。

 同日付の朝日新聞には、「"米国"不満の矛先"移民"に "独国"増える難民 極右政党急伸 —参院選で注目の外国人政策、欧米では‥」と題された見出し記事。

 7月18日付朝日新聞の社説には、「分断と経済格差—"支え合い"を鍛えなおすとき」と題された記事が掲載されていた。一読する価値のある社説だった。

 7月17日、Yahoo Japanのサイトに産経新聞の記事で「日本生き残りへ"強い保守政治の継承必要"—全国縦断「正論」講演会で宮家邦彦氏訴え」と題された記事が掲載されていた。この記事では、宮家氏は「80年間続いた"幸せな戦間期"は終わろうとしているのではないか。そうした世界秩序の中、日本が生き残るためには"強い保守政治の継続と戦わずして勝つために正しい軍事力の行使が必要だ」とし、国内保守勢力の結集を訴えたとの記事内容。

 これからの日本、宮家氏の提唱する自民党を中心とした強い保守政治の継続が必要なのか、はたまた、立憲民主党などを中心としたより生活者や労働者を大切にし、平和外交を展開する政治が必要なのか‥。日本国民はどちらを選択するのか‥。その新たな章の1ページ・2ページ目の序章がまず今回の参院選挙で始まっている。

 

 

 

 

 


参院選を巡って、「在日外国人政策」問題が急浮上しているが‥参政党や日本保守党などは間違った事実を挙げて、排外主義的・ヘイト的な主張もしていることは憂慮すべき事態だ

2025-07-18 08:16:23 | 滞在記

 7月3日に告示された参議院議員選挙は、明後日の20日に投開票が行われる。参議院議員の国会議員定数248議席(過半数は150議席)中、今回の選挙では約半数の125議席が改選される。(今回の非改選議席数は123議席)   与党である自民党と公明党の連立政権の、参議院での非改選議員数は現在75議席なので、引き続き参議院で過半数を確保するためには、自民・公明両党は今回の選挙で50議席数の当選を確保する必要に迫られている。

 選挙戦序盤の7月5・6日に発表されたJNNの世論調査(各党支持率)では、「①自民党20.8%、➁立憲民主党6.3%、③参政党6.2%、➃国民民主党5.9%、⑤日本維新の会4.1%、⑥公明党3.9%、⑦れいわ新選組3.2%、➇日本共産党1.7%、➈日本保守党1.1%、⑩社民党0.8%、⑪その他0.8%、⑫支持なし40.0%」となっていたが、2022年に結党されたばかりの新興政党である参政党の支持率の高さが注目された。

 選挙戦序盤・中盤にかけての選挙情勢としては、与党の自民・公明の50議席以上の確保の難しさが報道されていた。そして、この選挙戦で「在日外国人政策」を巡る問題が選挙戦の争点の一つとして大きくクローズアップされてもきている。yahoo Japanのネット記事には、「参院選 争点に急浮上"外国人規制に関する不安の声" —選挙運動の名のもとに露骨なヘイトスピーチが 参院選挙—(報道特集)」と題された記事などが増えることともなった。

 今回の参院選での各党の「外国人政策」に関する公約として、自民、公明、国民民主、維新、保守、参政は、外国人政策に規制が必要として政策を掲げている。特に、参政と保守の両党は、強い規制の必要性を掲げている。一方、立憲、共産、れいわ、社民は、規制の強化に対して反対の政策を掲げている。

 参院選の争点として急浮上したこの「外国人政策」問題について、7月12日付京都新聞の社説には、「外国人政策 分断や排外主義をあおるな」と題された記事が掲載されていた。また、7月13日付朝日新聞の社説には、「"優生"と分断の先には—排外主義の台頭を許すな」と題された記事が掲載されていた。

 そして報道番組(テレビ)でも、この在日外国人敵視につながる排外主義を危惧する報道がされてもいた。報道では、「参院選の争点?外国人政策」と題され、人権問題に取り組む団体の共同会見(国会議事堂議員会館での外国人人権法連絡会)が報道。共同会見では、「排外主義主義が急速に拡大していることに強い危惧を持っています」と述べられていた。

 この選挙戦で争点の一つとして外国人問題を重視している参政党や保守党の主張に押されるように、政府与党も外国人政策強化を出し始めた。7月16日付朝日新聞には、「政府、外国人政策を強化—権利や受け入れ 参院選争点に 新組織設置」と題された見出し記事が掲載されていた。

 また、同日付の朝日新聞には、「外国人規制 公約相次ぐけど 穏健保守 右に引っ張られる懸念」と題された見出し記事も掲載されていた。

 昨日、自宅のポストに入れられていた日本共産党のチラシには、「"外国人が悪い"って本当?事実は全く違います」と題した内容が書かれていた。「"日本人ファースト"や"違法外国人ゼロ"など、外国人の排除・取り締まりを求める主張が勢いを増しています。しかし、日本で暮らす外国人はみんな社会の一員です。ともに働き、地域社会をつくっているパートナーです。」「➀治安が悪化しているの?—18年間で外国人労働者は6倍に増えましたが、犯罪件数は3分の1に激減。検挙率も日本人と大差はありません。犯罪件数も減っています。」「➁奨学金で優遇されているの?➡国費留学生は全体の3%—学費と月額最大15万円の生活費を支援する国費留学生は、優秀な人材確保などを目的に採用している制度です。利用できる留学生はごく一部の3%で、大半は私費留学です。問題は留学生への優遇ではなく、自公政権の教育予算の貧困です。」などと、チラシには書かれていた。おそらく、これが真実なのだろう。

 とりわけ、参政党や保守党は、生活保護や医療保険、奨学金制度を外国人が利用することを敵視するような、事実に基づかないヘイトまがいの在日外国人攻撃もしてもいるようだが、これは恥ずべき主張ではないだろうかと私も危惧する。私が中国の二つの大学で教えた中国人学生は1300人余りに上る。このうち、100人余りが1年間の短期日本留学や2~5年の大学院日本留学をしている。このうち1人は日本政府による国費留学で京都大学に1年間在籍したが、他は私費留学(国公立私立含めて)である。私費留学でも奨学金制度を活用している学生が多いが、これもまた日本人学生とほぼ同等の扱いであった。

■日本における外国人労働者数は、2008年では約48万人だったが、2025年現在では約230万3000人となっている。私が暮らす京都府では、2024年10月末時点で3万4786人(2023年10月末比22%増)。私の自宅のある町で、早朝や夕方に自転車で職場に向かったり、深夜勤務を終えてアパートに帰る東南アジア系の若者たち、農地で働いていたりコンビニで働く人の姿も多い。彼らの労働力が必要な日本社会でもある。外国から来ていて苦労も多いだろうが、よく日本に来てくれたと彼らに感謝もする。

 在留外国人と刑法犯罪人数の資料グラフを調べると、2004年の約1万5000人の犯罪件数をピークとして、減少し始め、2024年では約8000人と半数近くに減少していることがわかる。

 確かに、最近の外国人観光客の増加によるインバウンド問題や中国人富裕層による日本の土地や建物取得における問題、埼玉県川口市などグルド人集中増加による問題などは、その対策は必要だとは思うが、過度な外国人規制は、かえって日本の国の国際的な地位・評価を貶(おとし)め、日本人の会社の経営や暮らしそのものを逆に大変にさせることになるのではと危惧する。参政党や日本保守党などの事実に基づかない排外主義的・ヘイト的主張こそ、批判されるべきではないかと思う。また、難民申請に対して日本の国家(入国管理局)は適切な認定数をもっと増やすべきではないかとも思う。(あまりにも貧弱な難民救済政策は日本の恥である。)

 7月15日付朝日新聞には、「自公、半数困難か—自民比例も苦戦、国民民主・参政勢い続く」「細る自民、伸びる参政—1人区野党リード10に拡大」などの見出し記事。同日の京都新聞には、「終盤情勢 自公が苦戦 過半数微妙—立憲堅調、国民民主大幅増 参政勢い 維新足踏み」の見出し記事。

 私が暮らす京都府の選挙区には9人が立候補し、そのうち2人が当選する。2013年は、1位当選自民西田氏、2位当選倉林氏。2019年は1位当選自民西田氏、2位当選倉林氏だった。特に西田氏は、2位にも大差をつける得票数だった。しかし、今回の西田氏は、「①自民党の凋落、➁西田氏の北陸新幹線延伸問題での、小浜・京都延伸ルートでの国政における旗振り役的役割、③沖縄戦でのひめゆりの塔歴史資料会館への歴史認識での攻撃に関する問題」が重なり、非常に厳しい選挙戦を戦っている。私はこの西田氏の落選を、➁➂の問題がある西田氏なので、切に願ってはいる。

 7月15日付朝日新聞には、「北陸新幹線 割れる訴え」の見出し記事。16日付同紙には、「新実(維新)リード 西田(自民)・谷口(参政)・山本(立憲)が激戦」の見出し記事。17日同紙には、「本社終盤情勢調査 新実氏優位に立つ 西田氏・谷口氏・山本氏混戦」の見出し記事。

 過去二回の自民・共産の当選者が京都選挙区でもし一人も今回当選しなかったら、自民党と日本共産党の凋落(ちょうらく)を全国的に象徴する選挙区ともなる。(日本共産党は、現在の委員長は田村智子氏だが、議長には前委員長の志位和夫氏が就任している。事実上の党内最高権力者は党規約でも議長となっている。志位氏なども書記長・委員長・議長の各時代を含めると30年以上も君臨している。このような日本共産党の党内民主主義の欠落が問題となっている。この党内民主主義の欠落への改革が急務なのだが‥。これまでの支持者も支持から離れることが、特に京都では起きている。このことも凋落の一つの要因ともなっている。働く人の立場を守ることや新幹線問題への対応などなど、いろいろな優れた政策を持つ日本共産党だけに、この党内民主主義への旧態依然とした党内改革のなさはとても残念ではある。)

 


石清水八幡宮境内の茶室の庭に沙羅双樹(夏椿)の白い花が咲く—「‥沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす‥」(『平家物語冒頭文』)—今年も八幡の太鼓祭りが‥

2025-07-16 13:18:04 | 滞在記

 日本に帰国して、時々、早朝の散歩に時々行くのが、自宅からほど近いところにある石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)境内。石清水八幡宮駅(京阪電鉄)から徒歩1~2分ほどのところに一の鳥居がある。ここから本殿のある男山(標高143m)山頂の御山(おやま)を見上げる。

 一の鳥居からすぐに下宮があり、二の鳥居から山に登ると三の鳥居までは、ゆっくり休み休みに20分ほど石段を登る。三の鳥居から参道を行くと国宝となっている本殿の山門が見えてくる。京都の平安京の南の鬼門となる場所に位置し都(みやこ)を守護する南の地とされた石清水八幡宮は平安時代の859年に創建された。(九州の宇佐八幡宮・鎌倉の鶴岡八幡宮とともに、日本三大八幡宮の一つ)

 本殿近くの展望台は、京都随一の展望が開けていて、西は天王山から西山山系や愛宕山、北には丹波山系から比叡山、東山連山から奈良方面にいたる南山城地方の連山、そして平安京(京都)盆地がすっぽりと展望できる。

 展望所付近のアジサイがまだ美しさをたもつ7月上旬。毎朝の早朝に、小高い丘のような男山への、ここまでの山登りと散歩に訪れる人も多い。美しい竹林も多い男山だが、ここの竹が米国のエジソンの白熱電球のフィラメントとして使われ、実用化となったのは1880年頃のこと。

 石清水八幡宮山頂境内の三の鳥居やエジソン記念碑近くに、茶室の建物がある。今の字は茶室庭園内のアジサイがまだ美しく咲き残っている。

 その茶室の建物の玄関近くに、けっこう高い沙羅双樹(さらそうじゅ)があり、6月下旬から7月中旬にかけて白い花を咲かせていた。沙羅双樹は仏教では菩提樹(ぼだいじゅ)とともに有名な樹木と花。日本では夏椿とも呼ばれる。『平家物語』の冒頭文には、「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。驕れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のこどし。猛き者もつひには ほろびぬ。ひとへに風の前の塵に同じ。‥」と、この樹木の花が詠われる。今の世界、驕(おご)れる国家元首も多い。私が暮らす中国もまた、ようやくだが、「久しからず」となってもきているようだ‥。ロシア、北朝鮮、アメリカ、イスラエルなどは、さてどうなるか‥。

 7月上旬から始まった石清水八幡宮境内の下宮にある高良(こうら)神社の祭礼、通称「八幡の太鼓祭り」の宵宮(宮入)がこの13日(日)の夕方から行われた。江戸時代末期から開催されてきたこの太鼓祭り。石清水八幡宮の門前町であった八幡の旧町内(1区~6区)の町々の神輿(みこし)が町々を練り歩き、13日の夕方に八幡宮の下宮に宮入(集まり)、参道を練り歩く。

 人口約7万人の八幡市には現在、約2500人超の外国人が暮らす。また、外国にルーツを持つ子どもたちも市内の小中学校や高校に多く在籍している。この太鼓祭りは、地元の若者や子どもたちも多く参加し、とても賑わうののだが、外国籍の人たちルーツをもつ若者の参加も最近は多い。

 夜店は20数軒が店開きをし祭りの雰囲気を盛り上げてくれる。

 午後6時30分から始まった宮入や行事は夜の8時30分頃まで、今年も熱気の中で繰り広げられていた。

 一昨日14日(宵々々山)、昨日15日(宵々山)、そして今日16日(宵山)となる京都祇園祭(前祭)。明日17日(木)は前祭の祇園祭山鉾巡行が行われる。(24日は後祭の山鉾巡行)  八幡の太鼓祭りや祇園祭の前祭・山鉾巡行が行われると、例年(平年)ならば梅雨明けを迎える季節となる京都地方。

 7月5日(土)の夜、息子たち夫婦が家に来たので、前日に福井県敦賀市の日本海市場で買って帰ったサザエなどを食べながらの乾杯となった。家の裏の柿の木も葉を繁らせて実をつけ始めている。柿の木のそばの用水路にトンボが飛び始めた7月上旬。日本に帰国してから、近隣のサツキ公園で毎日6時30分から行われているラジオ体操に参加している。

 公園のサツキグラウンドでは、ラジオ体操前に、10人ほどの高齢者が円になって15分間ほどキャッチボールをしている。そのなかの一人の高齢者は、中風の病気のようで右手の間断ない震えがあるが、その体で遠くにはボールを投げられないが、仲間とともにキャッチボールを毎日楽しんでいる。女性の高齢者も3人ほどこのキャッチボールを楽しんでいる。

 腰かけて眺めているグラウンドの向こうに丹波山系の山々が見える。山の向こうは京都府の亀岡市の農山村あたりとなる。毎日のラジオ体操には30人ほどの高齢者が参加している。

 1週間ほど前の7月中旬に入った頃、ようやくこの公園の木々でもセミが鳴き始めた。公園の近所の民家の門前には、百日紅(サルスベリ)の赤い花とともに、脱皮したセミの抜け殻が見られた。

 

 

 


木津川に架かる流れ橋(上津屋橋)と最高級抹茶となる浜茶畑、そして、伊佐家住宅のあるこの地は「日本遺産」に選定された

2025-07-14 04:15:50 | 滞在記

 日本でも中国でも、私の起床時刻は早朝の3時頃。夏の季節に日本に帰国している時は、早朝5時過ぎ頃に車で家を出て、目的地付近にて下車し、付近を散歩する。その散歩コースの一つが木津(きづ)川に架かる「木津の流れ橋」界隈。堤防からは京都市内や丹波山系も一望できる。

 京都府の丹波山系を源流域とし、京都市内を流れてくる桂川。三重県の伊賀山系を源流域とし、伊賀上野市や京都府の南山城村などを流れてくる木津川。そして琵琶湖を取り囲む山系を源流域とし、琵琶湖から流れ出て宇治市を流れてくる宇治川の三川がこのあたりで合流(八幡の三川合流・背割堤)し、淀川となる。

 ここ木津の流れ橋(上津屋橋)は全て木製の橋だが、大雨で川が増水し激流となると、時に橋の上板がごそっと流される。しかし、鉄製ロープで橋げたとつながれているため、川の氾濫後に再び戻され改修される。このようにして、10年に2~3度は流されるが再び改修される。

 橋の付近の河床には、茶畑が広がる。ここの茶畑は「浜茶」と呼ばれる最高級の抹茶が作られる。河床の砂地質の土地が広がる茶畑だが、木津川中流域の河川にはこの「浜茶」畑がよく見られる。この「浜茶」は宇治茶ブランドの一つとして販売される。

 早朝の朝もやの霧の中を東の山々から朝日が昇り始める。ちょっと幻想的な光景になる木津の流れ橋は、数々の時代劇のドラマや映画でこの80年余り撮影場所となってきている。

 この橋を目指して、早朝に散歩に来る高齢者や若い人もよく見られる木津の流れ橋。ある日、宇治市内からここまでジョキングをしてくるという82歳の高齢男性と橋の近くの東屋(あずまや)で話をした。彼の話によると、「私の元気の源(みなもと)は、三つです。➀仕事を今も現役でして、➁ジョキング・マラソンをして、➁海外旅行を毎年数回することです」とのこと。連れ合い(妻)は25年前に亡くなったとのことだつた。海外はいままでに32カ国を訪れたと話していた。

 木津の流れ橋の堤防の内側の集落(上津屋)には、重要文化財になっている「伊佐家住宅」がある。江戸時代からの庄屋の住宅が現存していて、今も子孫が暮らす。母屋は現在修復中で全体に工事用のシートで覆われていた。周りを堀で囲まれていて、堀には広い土橋が架かる。この南山城地方は、「山城の国一揆」でも歴史上有名な地だが、いわゆる集落の周りを堀で囲み防備をした環濠集落がけっこう多く残る。

 「木津の流れ橋と浜茶畑、そして伊佐家住宅」。この地のエリアは「日本遺産」に選定されている。