多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

縦割り型行政からホロン革命を考える

2019-05-13 00:00:00 | 多文化共生
今回は佐賀新聞からご紹介です。
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/371474
友人の北御門さんのインタビュー記事です。
まずは引用。

---ここから----
<令和 さがへの伝言(5)>
共生社会 県多文化社会コーディネーター・北御門織絵さん
地域づくり、外国人と共に 5/9 9:07

 4月から、改正された出入国管理および難民認定法(改正入管難民法)が施行された。長く多文化共生事業に携わった立場から言えば、以前から「外国人住民」は存在していた訳だが、改正入管難民法により、確実に外国人が地域や職場で増えていくことになる。

 2015年度の「佐賀県における多文化共生に関する調査」で、県民の多くが「国際交流・多文化共生に興味はあるが、外国人住民とのふれあいなどに参加していない」との結果が出た。多くの人が、外国人の交流が外国語(特に英語)に通じていないと交流できないと思い込んでいる。

 要因として、外国人との交流が少なく、地域で暮らす外国人に関心が薄かったり、習慣の違いから、「日本人とは違う行動をするのでは」との誤解が生じていると考えられる。そんな状況を改めようと、県内では地域で取り組む日本語教室の発足が相次いでいる。

 地域ボランティアで設立された日本語教室は、語学の活動だけでなく、言語・文化的差異により生活上の問題を抱えた外国人参加者の相談の場にもなっている。その相談の解決に向け行政機関への橋渡しを行うなど、行政と一緒になって共生社会づくり行なっている地域も増えてきた。

 「生活者」として地域に暮らす外国人住民は、私たちと同じように災害や事故に遭い、病気にもなる。家を買えば固定資産税を払うし、40歳を迎えれば介護保険料も支払わなくてはいけない。そのため、行政機関では、外国人に関係のない部署はないはずだ。

 子育て世代の外国人の親は、自国と日本のシステムが異なるため、子どもの予防接種や検診、教育や学校生活、進学の場面で不安を感じるケースが少なくない。行政は外国人が、地域で生活している状況を意識し、「国際担当」だけが関係があるという認識ではなく、あらゆる担当課が関係するものだと覚悟しなければならない。

 毎年、佐賀に「定住」する外国人が増加している。外国人住民の「困った」を解決していくことは、県民の「困った」を解決していくことと同じと考えなければいけない。今後は、地域の外国人を「支援しなくてはいけない人」との視点だけで取り組むのではなく、外国人も地域の担い手であるとの理解を深めることで、より豊かな佐賀県づくりを目指すべきだ。
---ここまで----

ポイントは後半にあるこの部分だろう。

「行政は外国人が、地域で生活している状況を意識し、「国際担当」だけが関係があるという認識ではなく、あらゆる担当課が関係するものだと覚悟しなければならない。」

よく、縦割り行政の弊害云々について取りざたされることがあるが、縦割り「だから」問題があるのではなく、縦割りに限定して問題を解決しようという考え方に問題があるのだ。
もちろん、縦割り型の考え方に弊害ばかりがあるわけではなく、ある事象に特化して切り込んでいくやり方が有効である場合もある。
個を見るのか全体を見るのかというと、わかりやすいかもしれない。
しかし、全体と個の関係がよくわかっていないと、正しい理解には至らない。
このため、ヒエラルキー型組織とホラクラシー型組織を考えてみるとわかりやすいかもしれない。(一般的にはヒエラルキー型組織---上司がいて部下がいる階層型組織---の方が圧倒的になじみが強いため、ホラクラシー型組織にはフラットで階層がないとった説明がなされるが、それでは正しい理解に至らないので、注意が必要である。)

とはいえ、ホラクラシー型組織については、簡単な説明が難しい。というよりも、そうした考え方に馴染みのある人なら多くの説明を要しないが、課題解決型、対処療法的、個別還元主義的な考え方しか持っていない人が理解するためには、ホロンの概念を学ぶ方が理解が早いかもしれない。
ホラクラシー型組織というのは組織全体が目的を持ち、その目的達成のために個々のタスクが形成され、個々人が能力を発揮していくことで目的が達成され、組織全体もブラッシュアップされていくというものだ。

ホロンの概念については、アーサー・ケストラーの「ホロン革命」が古典的名著である。