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外国人家政婦、働く女性救えるか

2014-05-22 09:24:17 | 多文化共生
(以下、SankeiBizから転載)
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外国人家政婦、働く女性救えるか
2014.5.22 05:00

スーパーマーケットで買い物中の親子。女性の仕事と育児・家事の両立は日本全体の課題となっている(ブルームバーグ)

安倍晋三首相は、女性の就労機会を増やすために外国人家政婦の受け入れ拡大を検討している(ブルームバーグ)
 専業主婦の一松紀子さんは地元の薬局でパートタイムの仕事を見つけることができた。一松さんはケンブリッジ大学で修士号を取得したバイリンガルの薬理学者だが、勤めていた大阪の製薬会社での研究職を結婚後に離職し、都内に転居。12歳と9歳の2人の娘の子育てに専念している。

 安倍晋三首相は経済活性化の一環として家事代行サービスを受けやすくし、一松さんのような働きたい女性の職場復帰を促すため、外国人家政婦の受け入れ拡大を掲げた。しかし、一松さんは家政婦を雇っても研究職に戻ることは難しいと思っている。

 ◆長いブランクに不安

 子供が小さいうちは自分の手で育てたいという一松さんは「家事の問題だけではない。子供たちが大きくなるまでパートタイムで仕事をしていれば、帰りが遅い夫のかわりに受験勉強の面倒をみることもできる」と語った。いずれフルタイムで仕事をしたいが、長く職場を離れたため、専門性の強い元の研究職に戻れる見込みが薄いのが現実だ。

 政府の産業競争力会議の民間議員を務める増田寛也元総務相は「女性の労働力を生かし活躍の場を増やすために、東南アジアからの人材に家事や育児をやってもらう外国人家政婦の議論は進んでおり、かなり多くの人の共通認識になりつつある」と語る。

 同会議の雇用・人材分科会は外国人家政婦の導入について、政府が進めている「国家戦略特区で先行実施し、どの程度の需要があるかを見極めた上で拡大の検討を行うべきだ」と提言。国家戦略特別区域諮問会議の民間議員も12日、特区での「女性の活躍推進のための外国人支援人材の活用」を規制改革事項の一つとして掲げた。

 安倍首相は「女性の活躍は成長戦略の中核をなす」とし、女性の労働参加を促す仕事と育児・家事の両立支援や税・社会保障制度の見直しに着手している。今年1月にスイス・ダボスで行った演説では「多くの女性が市場の主人公となるためには家事の補助などに外国人のサポートが必要だ」と外国人家政婦の受け入れを提唱していた。

 独立行政法人労働政策研究・研修機構によると、日本の女性(15~64歳)の労働力率(2011年)は63%と、70%超の英国やドイツをはじめ米国の68%、フランスの66%を下回る。厚生労働省によると女性の出産後の継続就業率は36%(10年)にとどまっている。一方で、13年の日本の女性就業者数は2701万人と過去最多を記録。

 野村総研が11年に実施したアンケートでは、女性の離職経験がある人のうち30%強が「仕事と家事や育児との両立が困難」だったことを理由に挙げた。一方で、家事支援サービスを受けることで両立しやすいとの答えが8割を占め、同サービスを利用できれば働き続けられた可能性があると考えている女性は3割近くいた。同調査はインターネットを通じて1000人を対象に行われた。

 日本では女性が家事のほとんどを任されている。経済協力開発機構(OECD)が昨年3月に発表した調査結果によると、日本の女性が家事や育児などの「無償労働」に1日平均299分を費やすのに対し、男性は62分と韓国に次いで最低レベルとなった。一方で、日本男性の「有償労働」時間は375分と加盟国中で最長となっている。

◆フィリピン人が大半

 法務省によると昨年末段階で家事使用人として入国している外国人は1169人、うちフィリピン人が921人と大半を占める。現行制度では、外交官や年収1500万円以上の企業幹部をはじめ、研究者、技術者など「高度人材」として認められた外国人が月額20万円の賃金支払いを条件に外国人家政婦を受け入れることができる。

 増田元総務相は外国人家政婦の受け入れについて、政府が6月にもまとめる成長戦略の改訂版に明記する考えを示した上で、「家政婦を安く提供し、女性が社会で活躍するチャンスを広げたい。そのためには相当なボリュームを受け入れなければならない」と述べた。

 在日米国商工会議所は世帯の年収合計が700万円以上であることを条件に、日本人も外国人家政婦の身元引受人になることを認めるよう求める提言を行った。多くのフィリピン人家政婦を受け入れているシンガポールや香港を参考に、育児や介護、家事を外国人労働者に担ってもらうことで働く女性に大きなメリットをもたらすと指摘する。

 家事代行サービス「ベアーズ」の高橋ゆき専務取締役は1995年から4年間、香港で商社のマーケティングマネジャーとして赴任した際に住み込みのフィリピン人メイドに助けられた。その経験から同社を99年に立ち上げた業界の草分け的存在だ。高橋氏は外国人家政婦受け入れの動きに「待ち望んでいた事態だ。国籍を問わず、いろいろな人の手を借りて暮らしのレベルを維持できればよい」と強調する。

 同社では09年にフィリピンに合弁会社を設立し、現地での研修を始めている。受け入れ可能となれば今すぐにでも30~50人のフィリピン人家政婦を国内に派遣することは可能という。しかし、国の支援や協力体制がなければ実現の受け入れは難しいのが現状だ。

 ◆大幅な賃下げ困難

 高橋氏は「管理コストや人材教育への投資も考えれば、外国人家政婦の受け入れ拡大に合わせて企業側への助成金や利用者への補助金の検討も必要だ」と指摘。外国人労働者にも最低賃金が反映されるため、大幅な賃下げは難しいという。ベアーズのサービス料金は最低でも1時間2350円。スタッフの多くは主婦で時給1000円を支払っている。特に東京の最低賃金は869円と高く、引き下げ幅は限られている。女性が仕事を継続したとしても高額な家事代行サービスの負担は重くのしかかる。野村総研がサービスを利用していない理由を聞いたところ、6割近くが「価格が高い」ことを理由に挙げた。サービスの価格帯は1時間2000~3000円程度。同総研の武田佳奈主任コンサルタントは価格に加えて「家事は家庭内で対応すべきだという日本人の価値観が根強く残るなか、外部委託への抵抗感がある」と言う。

 同総研の調査では、家事代行サービスの利用率はわずか2%。受け入れ経験のない4割強が「他人に家の中に入られることに抵抗感がある」と答えた。武田氏は「サービスの利用が進んでいない中で、いきなり外国人が業界で働くのは少し早い。まずはサービスの利用者の裾野を広げ、産業として確立させることが重要」としている。

 日本の光学機器メーカーに勤める鈴木さやかさんは「外国人家政婦にかかわらず、日本人は留守宅に他人が入ることを敬遠しがちだ」と指摘。鈴木さんは実家近くに引っ越し、両親に5歳の長男の面倒や食事の用意を手伝ってもらっている。家事の外部委託よりも夫の帰りがいつも遅くなる長期労働の文化を変えるべきだとの考えだ。

 鈴木さんは「政府は女性にもっと働くよう求めているが、本当に必要なのは仕事と生活を調和させ、誰もが働きやすいよりよいワークライフバランスを実現することだと思う」と語った。(ブルームバーグ Kyoko Shimodoi、Isabel Reynolds)

低賃金の外国人労働者は納税額が小さいため財政にはマイナス

2014-05-22 09:23:47 | 多文化共生
(以下、アメーバニュースから転載)
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低賃金の外国人労働者は納税額が小さいため財政にはマイナス

2014年05月22日 07時00分
提供:NEWSポストセブン


 政府が年間20万人の外国人労働者の受け入れを検討し始めた。だが、労働力を補う移民受け入れより、「人口が減っても豊かに暮らせる社会を目指すべき」と森永卓郎氏は提言する。

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「ドイツがこんなに苦しんでいるのに、なぜ日本は同じ轍を踏もうとするのか」

 経済企画庁総合計画局で労働政策に携わっていた1980年代半ば、ドイツの政策担当者に言われたその言葉を私は忘れることができない。

 ドイツでは1960年代、高度成長期にトルコから大量の労働者を受け入れた。それにより不足した労働力を補うことはできたが、高度成長が終わると状況は一変し、彼らのための社会コストが増大した。

 短期的には人手不足解消や人件費の削減により外国人労働者を雇い入れた企業はメリットを享受する。しかし、長期的には彼らのための住宅対策、失業対策、子弟の教育対策など莫大な社会コストが全国民に跳ね返ってくる。

 低賃金の単純労働者であれば納税額は小さく、財政にはマイナスだ。医療や年金などの社会保障も同様。外国人労働者受け入れは、その瞬間は気持ち良いが後で体全体がボロボロになる麻薬のようなもの。日本の国益にならない。

 たとえ日本の人口が減少しても、私はそれほど悲観していない。昭和初期の人口は現在の約半分。山がちで平地の少ないこの国土に1億3000万人近くが暮らす現在は定員オーバーではないか。適正な人口密度になれば交通渋滞や満員電車、レジャー地の混雑はなくなるし、ゆとりある広さの家に住めるようになる。

 今のうちに将来まで利用できるインフラさえ整えておけば、豊かに暮らせるはずだ(イタリアではローマ時代の道路が、ドイツでは大戦前のアウトバーンが現役だ)。

 国立社会保障・人口問題研究所の推計では、出生率が2030年に2.07まで上昇した場合、1960年の人口は9894万人とされている。これから45年かけて総人口は現在の8割弱、高齢化率は約3割に達する。もっと高齢者が労働に参加するとしても、現在の経済規模を保つには1人当たりのGDPを今より2割増やさなければならない。

 過去20年以上横ばいであることを考えると簡単ではないが、1980年代前半には5年間で2割アップさせた経験があるから、産業構造に大きな変革があれば不可能ではない。

※SAPIO2014年6月号