森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

落ち葉

2021-10-03 | 日記


 10月に入ってからというもの、朝晩はグッと冷え込んでストーブを使うよう
 になりました。
 湖もすっかり落ち着いた秋の景色になっています。
 
 落葉が進んでいます。
 緑色のまま落ちる葉、茶色になって落ちる葉、鮮やかな黄色や紅色になって
 落ちる葉、さまざまです。
 子どものころ落ち葉は、木や葉が弱って枯れて落ちるものと思っていました。
 しかし、かなりいい歳になってから、落葉は木が自主的におこなっているもの
 だと知りました。
 つまり落葉は、来春に若返って再生する新緑のための賢い行動だというのです。
 まず自ら葉を断ち切って落とすことで、冬の低温や凍結に対応します。
 つぎに落ちた葉は土壌生物によって分解され、良質な養分となって根から吸収
 されていきます。
 これが、翌春に匂うがごとき新緑を生み出すメカニズムということなのです。
 なんとも羨ましいことです。



 落ち葉による腐葉土は雨水に養分を含ませ、川から海へ流れて海洋生物に大きな
 恩恵をもたらします。
 先日も、テレビで紹介された日本一の牡蠣養殖業者が、近くの山に一生懸命植樹
 していることを語っていました。
 
 それなのに、この辺りでは今もメチャクチャな森林破壊がおこなわれています。
 なにを造るのか、まったくわかりません。
 もしやI Rかもしれません。



 幸田文さんは『木』のなかで「広葉樹は裸の枝に芽吹き、花をつけ、実を結び、
 葉を染め、そしてまた裸に脱いで、骨をみせる。いろんな派手な芸当をする」
 と木の変身と力強さを表現しています。
 確かに一本の木は、さまざまな芸当をして、観客を飽きることなく楽しませて
 くれます。
 
 日々、形も色も変わりゆく樹木のその先から、明い秋を感じることができます。