森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

回帰

2015-10-24 | 日記
 何年も何万キロもひたすら大海を泳いで、その最終ゴールが自分の生まれた川に
戻ることだなんて。そして残された最後の力を振り絞って子孫を残した後は、ボロ
ボロになって死んでゆく。
 神はどうしてこんな過酷な運命を鮭や鱒に与えたのだろう。いくらなんでもちょ
っと厳し過ぎやしませんか?・・・と思っていました。

 しかし、実際に遡上に出会ってこの目で見た時に、考えは変わりました。その必
死な動き、目の輝きから「あっ、これは皆のために帰ってきてくれたのだ」と。
 事実アイヌの人々にとって鮭は神そのものだったと聞いています。



 今の時代、多くの人は肉や魚はスーパーの奥の方から出てくるもの、子供は牛乳
を冷蔵庫から出るものと思っています。ですから魚の回帰に感謝するどころか、関
心もありません。それはそれでいいことなのです。幸せの証なのです。
 それなのに、一生懸命頑張って帰ってくる彼らの律儀な姿に頭が下がります。



 一生の最後に一番大事なことをやり終えて、直ちに消える。もしやこれが最高の
生き方なのかも知れない。しかしオッチャンにできるだろうか? できねぇ~。

 動物たちにいろいろ教えられる秋です。


                              動(yurugi)


  


 

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