ポニーに出会ったのはずいぶん久しぶりです。
たまに観光地で、子どもたちを乗せた車を曳いているのを見かけますが、農家の
一員として労働をともにしているのは、今どき大変珍しいです。
なんとも言えない穏やかで豊かな気持ちになりました。
以前はポニーやロバはよく見かけました。
ポニーは大きな眼、そしてロバは長い耳が可愛らしいかったのをよく覚えています。
この子たちの役割は、小さな荷車に農具や収穫物をいっぱい乗せて運ぶことです。
時には人も乗せてとなり村までいきます。
とにかく一家の運送業務をすべて担っていました。
そんな貴重な家族がいなくなったのは、あの白い軽トラの出現です。
軽トラなら、ぐずらない、病気しない、食べ物いらない、場所とらない、いいこと
ずくめです。
国も一台の軽トラから各種の税金をとれるから、ホクホク顔でお奨めしたのでしょう。
もちろんカーメーカーは大喜びです。
そんなわけで、あの子たちにかわって農業には軽トラが必携となり、農家といえば
白い軽トラがイメージされるようにまでなりました。
ヨーロッパの農家では、今でもかなりの数のポニーやロバが家族の一員として暮ら
しているそうです。
なにしろ可愛いし、カッコイイですよね。
税金は払わないけれどね。
ロバといえばフランス映画の名作、ロベール・ブレッソン監督の『バルタザールど
こへ行く』を想い出します。
今ではロバを主人公にした映画なんて「マジ マジ うそみた~い」なのでしょうが
ロバ(バルタザール)を取り巻く人間たちの生き方、狡猾さを描いた作品で、映画を
学ぶ人には必見のものです。
そういえば、ヨーロッパの映画はぜんぜんきませんね。
映画館にかかるのは、ハリウッド制作のものばかりです。かといって、フランスや
ドイツで映画を作っていないわけではありません。
ヨーロッパ映画は表現を、アメリカ映画は娯楽をと、ハッキリ制作コンセプトを分け
ています。
我々がなにも考えずに、理屈抜きで楽しめるハリウッド映画を選ぶようになったのは、
たぶん生活が豊かになったからでしょう。
でも、たまにはテレビででも現代のヨーロッパ作品を観たいものです。
もう、ず~っと雨です。
雨は嫌いではないけれど、こんなに続くとさすがに気分は暗くなります。
せめて三日に一度ぐらいは陽が射してくれるといいなぁ、などと勝手なことを考えて
しまいます。
これも農業者のため、植物のため、と諦めて無理に明るくしています。