昔に出会う旅

歴史好きの人生は、昔に出会う旅。
何気ないものに意外な歴史を見つけるのも
旅の楽しみです。 妻の油絵もご覧下さい。

志摩市磯部町のちょっと不思議な「おうむ岩」

2009年08月21日 | 近畿地方の旅
伊勢神宮の参拝を終え、志摩市磯部町の皇大神宮別宮「伊雑宮」[いざわのみや]へ行く途中、磯部町恵利原の「おうむ岩」へ立ち寄りました。

「おうむ岩」は、音がこだまする岩壁で、相手の言葉をそのまま繰り返す「オウム返し」の言葉からこの岩の名前が付けられたものと思われます。



国民宿舎「伊勢志摩ロッジ」前の広場の片隅に「おうむ岩」(鸚鵡石」[おうむいわ])の案内板がありました。

左端に「おうむ岩展望台」に上る石段があり、そのすぐ右手に「おうむ岩」へ下る道があり、進んで行きました。

■鸚鵡石[おうむいわ]の案内板より
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鸚鵡石
「鸚鵡石」は、恵利原の和合山とゆう地にあり。この石のことは「伊勢参宮春の賑[にぎわい]」等にも記されて、往古より文人墨客の来遊が頗[すこぶ]る多い。ひと度この処にいり、語場[かたりば]より手拍子で得意の喉をうならせ、高吟すれば、巨巌は、之に応へて「聞石」[ききいし]と呼ぶ辺りの山小屋で聞く山彦の美しい音色は訪れる人の心をひきつける。
江戸時代、磯部を訪れた高山彦九朗。佐久間象山。俳人曽良等は、高さ二十七間(五〇米)巾八七間(一五八米)の石英岩の大岩壁を眺め乍らこの付近を探勝いつゝこゝをさる。
南約一粁今も皇大神宮別宮として崇敬されている志摩の大社(?)伊雑宮に詣でている。
巨巌の頂上より望む、なだらかなみどりの山脈[やまなみ]は、「神話の故郷」ともゆうべき「伊勢志摩」と共に、俄に脚光をあびつゝある。
  伊勢志摩国立公園
   磯部町 磯部町観光協会 恵利原区
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下り道を進むと左手に分かれる道があり、「おうむ岩 語り場」への案内標識がありました。

石柱に文字が刻まれていますが、達筆でまったく読めません。残念です。



道を下ると左手に「聞き場」と書かれた標識と、休憩所のような建物がありました。

この建物が「聞き場」で、中に座ってこだまを聞くようです。

建物の向こうに石段と、「おうむ岩」の切り立った岩壁が見えます。

右手の塀は、下の「語り場」から音が直接聞こえないようにするためのものと思われます。



この岩壁が、「おうむ岩」です。

岩壁の前に木製の鳥居と、祠が見えます。



「おうむ岩」に少し近づいた写真です。

「おうむ岩」の岩壁下部中央が、窪んだ感じで、音の反射が一定方向に集中する構造になっているように思えます。



「聞き場」の前から道を下った「語り場」[かたりば]方向を見た景色です。

妻が歩いている、すぐ右手の小さな建物が、「語り場」です。

「おうむ岩」全体の位置関係は、三角定規の頂点の配置に似ています。

ここ「聞き場」は内角90度の角、この先の「語り場」が内角30度の角、「おうむ岩」は内角60度の角の様になっています。(角度は違いますが・・)



この小さな建物が、「語り場」です。

中にはイスとテーブルがあり、拍子木が置かれていました。

この中で拍子木を打つと、入口から音が出て、「おうむ岩」の岩壁に当り、「聞き場」へ伝わります。

小さな入口だけから音が出るように建物を工夫して造っているのが分かります。



「語り場」の前から斜め上の「おうむ岩」を見上げた景色です。

「おうむ岩」へ直接登る石段の先に小さく鳥居が見えています。

鳥居の左手に白い塀が見え、その向こうに「聞き場」があります。

「語り場」と「聞き場」を妻と交代で、体験してみましたが、「語り場」の音があたかも「おうむ岩」から発したように実感しました。

童心に帰り、ちょっと無邪気な遊びでしたが、古代祭祀場の可能性もある岩壁や、岩の前の祠に祀られている神様の方が気になりました。



元の「伊勢志摩ロッジ」前の広場に戻り、「おうむ岩展望台」に登りました。

展望台に登り、振り返った景色です。

写真左手に「伊勢志摩ロッジ」の白い建物が見えますが、広場から比較的簡単に登れました。



展望台にあった周辺の案内図です。

これから参拝する「伊雑宮」の位置も書かれています。



上段の案内図とほぼ同じ方向を見た景色です。

「伊雑宮」の美しい緑の森も見え、気持ちの良い展望台でした。