昔に出会う旅

歴史好きの人生は、昔に出会う旅。
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旅の楽しみです。 妻の油絵もご覧下さい。

伊勢神宮 内宮 正殿への参拝

2009年07月29日 | 近畿地方の旅
伊勢神宮 内宮の「宇治橋」を渡り、庭園のような植え込みが続く、広い参道を進んでいきました。

初めての参拝で、少し気持ちが高ぶっていました。



長い参道の狭い水路に架かった「日除橋」[ひよけばし]がありました。

外宮の参道口にも「日除橋」がありましたが、内宮では「宇治橋」が参道口となっており、「日除橋」は境内の参道の途中です。

江戸時代の寛政9年(1797)年発刊の伊勢参りの絵図「伊勢参宮名所図会」の「内宮宮中図其三」と現在の様子と比べてみました。

「内宮宮中図其三」の絵図には「日除橋」は見当たりませんでした。

宇治橋を渡り、一の鳥居までの一帯に民家等が立ち並ぶ様子は、現在とは大きく違っています。

「日除橋」は、神宮の建物を火災から守るため境内を水路でさえぎり、水路に架けた橋とされているようです。

「日除橋」が出来た経緯も民家が立ち並ぶ時代に考えられた防火対策で考えられたものではないかと推測されます。



「日除橋」を渡り、右手に「手水舎」がありました。

外宮の「手水舎」と同じ位の大きさで、やはり檜の掘建て柱です。



「手水舎」を過ぎるとすぐに「第一鳥居」があります。

榊が飾られた鳥居は、横を歩く人の大きさから、かなり太い柱です。

神社の鳥居には様々な種類があり、この鳥居は「伊勢鳥居」と呼ばれています。

鳥居の上にある傘木の断面が五角形で、その下段の横木「貫」[ぬき]が柱を突き抜けていない形式だそうです。



「第一鳥居」を過ぎると右手に五十鈴川の川岸につくられた「御手洗場」[みたらし]があります。

大勢の参拝者は、広い緩やかな石段を下って川岸で、手を清めています。

以前は、口も清めていたそうですが、衛生的な問題もあったのか、手だけの清めににしているようです。



「御手洗場」[みたらし]を過ぎると参道は、左に折れ、第二鳥居が見えてきます。

木が生い茂った参道から、社殿などの開けた明るい場所に出るとき、何とも言えない神聖な光が降り注いでくるようです。



参道を歩いていると散水車が追い越して走って行き、子供たちが追いかけて行きました。

散水車の青い水タンクの後方に「神宮」と書かれ、毎日参道に散水する保有車両のようです。

第二鳥居から「御札授与所」「神楽殿」「五丈殿」などの建物を左に見ながら歩いてきた辺りです。

手前の木は、杉の多い境内では珍しい巨大なクスのようです。



内宮正殿に近づいた参道の左手に大きな岩「籾種石」[もみだねいし]があります。

この風変りな名前「籾種石」には、実に涙ぐましい過酷とも思える物語がありました。

江戸時代中期、全国的に起きた「天明大飢饉」の頃、地元の楠部(五十鈴川下流の地域)の人々が、五十鈴川の河原からこの大きな岩を運び込んだと言われいます。

大飢饉で、食料が乏しくなっていた楠部の人々は、籾種[もみだね]まで食べ尽くしながらも岩を運び、奉納したことから「籾種石」と言われるようになったそうです。



参道は、突き止まりで、左手の石段を登るといよいよ天照大御神を祭る「御正宮」[ごしょうぐう]と呼ばれる神殿です。

右手の先には壁のない建物「御贄調舎」[みにえのちょうしゃ]が見えます。

内宮の祭典の時、ここでアワビを調理する儀式を行い、天照大御神にお供えするそうです。



参道の左手に「御正宮」[ごしょうぐう]へ昇る以外に高い石段がありました。

石段の下で写真撮影をするよう言われ、皆さんここで記念写真を撮っています。



「御正宮」のある石段の上を拡大してみました。

大きな鳥居と、茅葺屋根の門が見えます。

気が引き締まる想いで石段を登って行き、参拝しました。



参拝を終え、正面左手の道から見た「御正宮」です。

次々と参拝者が石段を登って行きます。



「御正宮」の隣に白い看板があり、「平成二十五年 第六十二回式年遷宮御敷地」と書かれています。

この場所に新たな神殿が建ち始めるのも、そう先ではないようです。

■新御敷地の前にあった式年遷宮の案内板に書かれていたものです。
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神宮式年遷宮について
ここは西の御敷地です。
東の御敷地と同じ広さがあり、二十年に一度、御正殿を始め、御門・御垣などの御建物と御装束神宝のすべてを新しくして、大御神様に新宮へお遷りいただくお祭りが式年遷宮です。
天武天皇の仰せににより、次の持統天皇四年(690)に第一回が行われて以来、現代まで千三百年間にわたって受け継がれてきました。
来る平成二十五年の第六十二回式年遷宮には、ここに新しい殿舎が建てられ、大御神様のご遷座を仰ぎます
この大祭には古代より常にみずみずしく、国も人も若がえり、栄え行くようにとの深い祈りが捧げられてまいりました
 神宮司庁
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