昔に出会う旅

歴史好きの人生は、昔に出会う旅。
何気ないものに意外な歴史を見つけるのも
旅の楽しみです。 妻の油絵もご覧下さい。

「大理石海岸」の絶景

2008年02月02日 | 東北地方の旅

昨年10月7日の東北旅行の記録を再開します。
唐桑半島から海岸線を北上し、気仙沼市唐桑町の「大理石海岸」へ行きました。

「大理石海岸」までの道は、45号線から一旦西側に曲がり、45号線の下をくぐって東側の「大理石海岸」へ進みます。



「大理石海岸」の駐車場にあった案内地図で、図の右上に方角が示されています。
最初の地図にあった赤い鳥居は、八幡神社で、弁天島辺りの景色が見所です。

駐車場トイレの下に貝塚跡・土器出土跡が表示されています。
図の上には「石灰採掘跡」、その他「潮吹穴跡」「石切場」「ウミユリ等化石群跡」などが書かれています。

「大理石海岸」の駐車場にあった案内地図で、図の右上に方角が示されています。
最初の地図にあった赤い鳥居は、八幡神社で、弁天島辺りの景色が見所です。

駐車場トイレの下に貝塚跡・土器出土跡が表示されています。
図の上には「石灰採掘跡」、その他「潮吹穴跡」「石切場」「ウミユリ等化石群跡」などが書かれています。

■案内板の説明文を転記します。
過去見た観光地の案内板の中では飛びぬけて多い文字数でした。
<大理石海岸のご案内>
大理石海岸は、永い年月にわたる地殻の変動や海水の浸食によってできたリアス式沈降性海岸です。
岩質は大理石層、石灰岩層、黒色粘板岩層に分類された光輝く白亜の岩礁は湾内の景観をいっそう引き立たせております。
霧立山から流れ出る清流は植物性プランクトンを含み、やがて動物性プランクトンの繁殖によって小魚や海草、ウニ、鮑、牡蠣などの豊富な魚介類が自然繁殖しており、駐車場の北側には深さ三十メートルに及ぶ鍾乳洞があり、これまでの内部調査によって縄文土器や石斧など数点がはっけんされました。
また、駐車場南西側の斜面にはアサリや牡蠣・貝殻等の貝塚がはっけんされており縄文人達の足跡が今も色濃く残されています。
更にこの駐車場から徒歩五分程の南側大理石層(石切場)には沢山のウミユリ等の化石群が露出しており学術的な調査をする上では大変貴重な場所です。
明治四十年、浅野セメント創始者・浅野総一郎氏がアメリカ鉱山学博士、Rスミス氏と共にこの地を訪れ大理石の優れた性質を見て「イタリア産大理石を凌ぐ」と絶賛された事が伝えられております。
浅野セメントはその後約十年間に渡り採掘を続けましたが、岩石を積む船(運搬帆船)の接岸が容易ではなく、やむをえず採掘を中断してしまったと言われています。
また一説には東京三越本店正面玄関の左右のライオン台座の大理石礎石はこの場所から運ばれたと云われており、当時の積み残した大理石原石が今でも石切り場海岸のいたるところに残っており往時を忍ばせております。
陸中海岸は宮城県気仙沼市から岩手県久慈市まで180キロメートルにも及ぶ起伏にとんだ美しい海岸線で昭和三十年に一部国立公園指定を受けました。昭和四十四年、国道四十五号線仙台宮古間が開通すると同時に陸中海岸にも観光ブームが到来しその頃から、誰云うともなくこの海岸を「大理石海岸」と呼ぶようになりました。
この湾から見える左前方の岬、出山(石山)の石灰採掘跡が湾内の景観を損ねたと云う理由で昭和三十九年陸中海岸国立公園南部区域指定(大釜半造、大島等)の時、この大理石海岸だけ外されてしまいました。
閉山四十年後の今日、一部損なわれた自然も今は美しく蘇り、宮城県最北東端の海洋ロマンの町、唐桑半島の最も美しい景観を誇る名称地として見直されております。
「大理石海岸」の四季折々の自然が織り成す素晴らしい海・山・岩礁の色彩景観は、長旅でお疲れの皆様方のお身体とお心をきっと癒してくれると思います。



駐車場から弁天岩方向を見た景色です。
数隻の小さな漁船が砂浜に並んでいました。



駐車場から弁天岩方向への海岸沿いの道です。
道の横には白いツヤのある岩があり、大理石のようです。



海岸の道の脇にあった大理石の上に立って足元を撮ってみました。
この石を磨くと、白とグレーの大理石模様が浮かび上がるのでしょうか。


波打ち際に面白い形の岩がありました。
三角山のような小さな岩があり、手前の大理石の白と、向こう側の褐色(石灰岩?)の境目のようです。

案内板の説明にあったように、このあたりの岩は、大理石層、石灰岩層、黒色粘板岩層で構成されているそうです。
「大理石」は石灰岩がマグマの熱を受けて変成、再結晶したもの。
この辺りにウミユリの化石も出ており、生物が堆積して石灰岩が出来、更に火山活動の熱変成により大理石が出来たと思われます。
粘板岩とは堆積岩の一種で、砂や泥が強い圧力で固められた岩だそうです。
黒色粘板岩は、硯や碁石にも利用されており、磨くとつやが出るようです。




弁天岩を南西方向から見た景色です。



弁天岩を西方向から見た景色です。
海に並ぶ大きな岩礁に波が立ち、非常に特徴のある絶景です。



湾内の南東を見た景色です。
湾内の向こうに案内地図にもある堤防が見えます。



海岸に沿った道を歩いていると大きなカヤの木があり、足もとにたくさんのカヤの実が落ちていました。
カヤの実は、銀杏と同じような構造で、緑の外皮の内側に硬い内皮(殻)があり、その中にある実の表面に渋皮があります。

カヤの実は、縄文遺跡からも見つかっている木の実です。
案内板の説明によると駐車場周辺で縄文時代の遺物が見つかっているようです。
縄文人たちもこの大理石海岸の美しさに魅了され、この地に住んでいたものと思われます。



見上げると大きな「カヤの木」がそびえていました。

カヤの木は、イチイ科 カヤ属の常緑針葉高木です。
イチョウなどと同じ雌雄異株で、ちなみにこの木は実をつけているので雌の木のようです。



駐車場の横に見たことのない祠(ほこら)のようなものがありました。
屋根の上の飾りも初めて見るものです。
岩の上にある祠の四つの口の形も変わっています。
弥生時代や、古墳時代を思い浮かべるこの不思議なデザインの祠は、いったい何でしょうか。