武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

梅雨の読書

2010-06-23 10:39:22 | Weblog

名作と古典が梅雨には、似合う。

ヒロクニさんは、川端康成の「山の音」を寝る前にひっそりと読んでいる。

わたしは、田辺聖子訳の源氏物語にはまってしまった。
源氏の死後の物語「宇治十帖」を読んでいると、雨の多い梅雨の季節にぴったりしている。うっとうしい季節と平安時代のなよなよした雰囲気や、霧の多い宇治の山間での話しにぴったりくる。
 結婚当初の神戸市西区にいる頃、ヒロクニさんの本棚にある源氏物語、与謝野晶子訳は、明石の君ぐらいまで読んで、後は覚えていない。古い明石のありようを想像しながら読んだ。明石暮らしが新しい暮らしの始まりだったので、「明石の君」の章は比較的気持ちが入りやすかったのかもしれない。明石の君のイメージは、すっとしたキリリとした知的な姫君だったなぁという印象を持っている。
 本屋さんで「小説一途」ふたりの「源氏物語」田辺聖子・瀬戸内寂聴をパラッと立ち読みして、源氏物語の面白さが気になり、図書館で、田辺聖子著「源氏物語」の男達ーミスターゲンジの生活と意見・「源氏物語」男の世界を借りた。源氏の子孫、夕霧と薫の恋愛模様がなんかとてもいいの。特に薫の登場するところが、わたしには面白い。薫さまは、ロマンティックで初めて愛した美しい大君のことが忘れられない。恋は成熟することなく、大君の死によって終わる。死ぬまぎわに、かたくなに薫の求愛を拒んでいた大君なる女性は薫を愛していることに気が付くのだが、遅かった・・・・。その後の薫は、大君の面影をたたえた女人を視つけると、次々と愛するが、薫の恋は成熟あと一歩手前で空しく手が届かなくなるのである。薫は事務手続きもうまく、恋の為に采配を振るうのはうまく、思いやりもあるのだが、恋に対して凄くロマンティック・ラブな人なのであるが、世間をやたら気にするところがあり、そのことで墓穴を掘る。ゆえに何故かいつも辛い別れを強いられる人物なのです。源氏が亡くなってからの「宇治十帖」は、本当に面白い。面白いから、ご飯を作って食べる時間も惜しかった。

 ヒロクニさんは、「山の音の小説の中に、基調音があり、それは戦争のかげりの音がする」という。
わたしは、その話にフムフムと聞いてから、「源氏物語が、かんなに面白いとは思わなかった」と、話を切り出すと、「源氏物語って、床敷きの上でしたんでしょう」というの。なんか嫌な感じ。美しい平安の貴族が奏でる旋律のような、感情としっとりした「もののあわれ」もへったくれもない返事。「もー、いい。源氏物語と、風と共に去りぬは男性がもっとも読まない本らしいから、もー、いい」と言った。

わたしは、紫の上がとても印象に残っている。そして、源氏よりも頭の中将が好きだ。

読書の後の言葉使いは、質問は「いかがなさいます」となり、反論するときは「そうでございましょうか」となり、ヒロクニさんに、気に食わない時は「いやなかたですね」なり、波風がたたない言葉使いを、古典に学んだ。なんかヒロクニさんと、喧嘩しなくなってしまった。

コメント
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