和紙に顔彩の作品。
以前、わたしが顔彩の作品の束を見つけ、取り上げたことがありますが、
現在、その紙の束を、武内が点検しています。
わたしが見逃していた絵がありまして、
今回は、その一枚を選びました。
もしかしたら、以前見ているにも関わらず、気にとめなかった絵かもしれない。
少々、わたしも年を取り、絵の見方や好みが変わったりしているのだろうか?
いい意味で言えば、絵画の深みを感知する能力が進化したというふうに、自身のことを思ったり。
きっと、以前は「な~んだ。」と、この絵の前でいったかもしれない。
子供が描いたような絵なのですが、
花の形が立体的に見えて、ユニークなこと。
花びらと茎、葉がほとんど同じ太さで描かれていること。
バックのバラバラとした線が、花が立て向きなのに対して、横の動きをしていること。
黄土色の花に対して、紫~緑がかった茶色の色合い。
この4つの特徴が、調和しています。
花姿は静かなので、日本の花なのでしょう。
また、顔彩の頃は仏教にも傾倒していたので、
どことなく、彼岸を感じるようなところもある。
この頃、武内は孤独で破れかぶれになったり、気を持ち直したり、
侘びしさを抱えて、散策する日々だったようです。
(よく喋る人なので、その頃の心情をもういいと思うぐらい話してくれるのです。
話が行ったり来たりするのを並べ替え、あの時、この時の心情を頭の中でマッチさせて聞く。
今でも、理解不能なセリフがあって、
「私は、きょくほくなんよ。」と言われ、字は「極北」として、どういう意味なんだろう?
と、思いながら本人を見て、究極に寒い所にいる武内の心情??等と思っていた。
たぶん、違うでしょう・・・。
未だに分かりません。
話が脱線しそうなので、( )の部分終わります。)
この絵は、紙の白い部分が多く、余計なものが描かれていないだけに、
精神が剥きだしているように思われ、
「侘び然び」に通じるものを感じます。
実際、寂しく、侘しかったようです。
当時、話を聞きながら、「侘しかったのね。」と言ったら、
「侘しいんじゃない、おそろしく孤独だったんだ!」って、怒られた。
わたしは、心外でした。
暖かい日があり、その暖かさを味わってしまうと春が待ち遠しい。
育苗しているビオラもやっと花をつけ始めている。
緑の葉の間から、紫や黄色、白、茶色が見え初めている。
「やっぱり、花はいいなぁ。」と思う瞬間です。
ヒロク二さんは、寒さが戻ると花が萎れるが如く、弱る人だ。
パワーをアップする為に、ガスストーブとクーラーで暖房を入れる。
その異様な暖かさの中で、わたしは汗をかき、
次々と上着やセーターを脱ぎ、夕食の準備をすることも。
「寒いちゅうのは、いかん。すべてが嫌になる。」とまで言われると、
「それだけで、すべて嫌になるって短絡的すぎない?」とわたしは言う。
「それに、これだけ暖かくして部屋にいるのに。
こうやって雨風しのげる場にいることに感謝はないの?そう思わない?」
と、説教気味な発言を付け加えた。
すると、怒りのトーンが落ち、少しまともになった。
意地悪なわたしは、トーンが落ちたところを狙うかのように、
「わたしは、入浴前に冷たい水を浴びているからね。
最近、寒さに強くなったみたいで。
あなたもやってみたら。いいわよ~。」
と、笑いながら言った。
すると、上目ずかいに私を見て、
「そういう人意外といるよね。修行で滝行とかあって修行僧がよくやっているのは知っている。」と。
わたしは説明した。
「わたしレベルの話なんだけど、何がいいかと言うと、
水を浴びる前に洗面器に水を溜めるじゃない、やっぱり嫌だなって思うのよ。
そして躊躇する気持ちがあるじゃない。
それを思いながら、エイ!ヤ!と水を浴びると、
思ったほど苦痛じゃなくって苦難を越えたような気がするわけ。
普段の生活でもやってしまわないと嫌なことってあるじゃない。
そういう時、やってしまえばいいんだって、思う時があるのよ。
いいと思わない?」
と、締めくくり、ヒロク二さんの顔を見た。
なるほどという顔はしているのだが、好きな話題じゃないという雰囲気が漂う。
そこで、「水垢離をしているからって、それで素晴らしい人になるとか、そういうことはないと思うけど。」と言うと、
とても嬉しそうな顔に変わり、
「それはそうだよね。」と落ち着いた知的な感じで頷いている。
たぶん、水垢離で素晴らしい人になるわけないという部分に安心を感じているのだろうと察する。
だから、それはしなくていい、自分には関係がないと。
そこで、また震え上がらそうと思ったわたしは、
「それで、水垢離は夏にすると水浴びになってしまうから、冬にしなくちゃいけないのよ。
だから、今やっている。
瞑想の指導の先生は、真冬のつららが垂れ下がっている滝に打たれている写真があってね、
半身水に浸かっているのよ。もう、滝の冷水にあたると、気が遠くなるって言われていて、
身体が丈夫でないとしてはいけないと言われている。」
ヒロク二さんの顔を見ると、寒さ全開の表情だ。
暖かい部屋で寒そうな顔をしている。
「あなたも、やってみたら?」と言うと、
「やりたい人がすればいい。」という答えが返ってきました。
だけど、寒さで嫌になる発言は、この後、控えたようです。
夏に強いヒロク二さんは、夏になったらクーラーを切れと言い、
立場が逆転します。
けれども「暑いからすべてが嫌になる。」」とは、わたしは言いません。
最後に、育苗中のビオラ。
↑手振れしてしまいました。
今年は、紫色の花が多い。
茶色の花と思って植えた種からも紫の花。
そして、黒に近い紫色の種からも、上記のタイプの花。中央にブッチが入っているという新種(わたしのビオラでは)に。
下の3枚の花びらに白い縁があるのも、今までにないタイプです。
昨年は、蜂がよくビオラの周りを飛んでいましたので、
虫によって新しい交配が進んだのかもしれない。
去年、無かった花姿のビオラが多くなっています。
↑今、花をつけ始めているビオラ。
もう、種を継いだビオラを育て始めて何年経つのか。
上の写真のビオラとは違う紫のビオラが育っています。
花がうさぎビオラの形で紫色。
春になって、わんさかと花をつけて欲しいと思います。
今日は、夫の描いた絵を「侘び然び」等と、独自解釈しました。
漢字では、「侘び寂び」と書くのが一般的だと思います。
「然び」としたのは、時間の経過によって出てくる内面の本質を表すという意味になるそうで、
こちらの方がしっくりくるからです。
またもや、褒めすぎかもしれません。
パッと見たら、子供が描いた絵のように見えるという感想も
素直でいいと思っていますが。
日常は、お互い屁理屈の言い合い。
屁理屈の水垢離論でした。(笑)
今日もこのような文章を最後までお読み下さった方、ありがとうございます。