梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

巡業日記<終>・蒲田で千穐楽の巻

2005年07月31日 | 芝居
本日、大田区蒲田『大田区民ホール アプリコ』での二回公演をもちまして、本年度の「公文協中央コース」、そして足掛け四年にわたった「ニ代目中村魁春襲名興行」が幕となりました。
普段の劇場の時と同じく、千穐楽を祝っての御挨拶まわり、大入袋の配布があったりいたします。こころなしか楽屋の様子は浮き立った感じでございました。
舞台のほうは別段変化はございません。ただ、東京での公演ということもあり、<大向こう>の方々が大勢いらしてくださり、さかんに掛け声をかけて、お芝居を盛り上げて下さいました。また『口上』では、加賀屋(魁春)さんが、今日で一連の襲名興行を終える旨をお客様に御報告なさいました。

私も、『吉野山』の花四天、『与話情浮名横櫛・見染めの場』の黒戸の子分、二役ともに大過なく勤めおおせることができました。先輩方からいろいろと教わることができ、また、勉強会ではない、本公演の舞台でお役を勉強させて頂けたこと、本当に有り難く、まだまだお目まだるい状態だったとは存じますが、今回の経験を、次の機会につなげてゆけるように、今後とも精進してまいる所存でございます。

さて、いつもの公演ですと、千穐楽の後片付けは大変バタバタとするものですが、巡業に限っては、毎日毎日が荷明けと撤収の繰り返しなので、いつも通りに作業をすれば完了というわけで、それほど大変にはなりません。加えて、汗になったものは荷物に入れずに手持ちで持ち帰ったり、宅急便で送ったりいたしますので、今までより荷物が減ることのほうが多いですね。そうしたもの以外の荷物は、今晩は運送屋さんが預かり、明日の朝に歌舞伎座に荷下ろしとなります。

さて、無事巡業も終わりました! 『巡業日記』もこれにて筆をおくことといたしましょう。明日からは早速に勉強会の稽古が始まります。師匠梅玉をはじめ、魁春さん、歌江さんといった、巡業で御一緒だった皆様が連日御指導下さいます。お疲れのところを申し訳ない気持ちでいっぱいですが、こちらの精進の成果をもってお返しができればと存じます。

ひと月の間、観光日記ともグルメ日記ともつかない文章におつき合い下さいまして、有難うございました。