梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

巡業日記24・君津の巻

2005年07月30日 | 芝居
本日は千葉県君津市『君津市民文化ホール 大ホール』での二回公演でした。東京駅を午前九時半に出発の「ビューさざなみ」で約一時間。それからタクシーで十分ほどで会舘へ到着です。
君津は、今回の上演の『与話情浮名横櫛』の「見染めの場」の舞台である木更津に程近い街。今日のこの芝居は、いわば「御当地もの」のようなおもむきがございました。ただ、この作品の中では、木更津は<田舎>として描かれておりまして、セリフにも、この地を指して「おりふしは田舎の景色もまんざらではございますまい」といわせているくらいです。その点について、今日のお客様はこの場面をどうご覧になったのか、非常に興味がございます(夜の部では先程のセリフで笑いがおこりましたけれど)。
私達名題下の楽屋が、舞台とは離れていたのが、早拵えには大変でしたが、舞台は広さも丁度よく、何事もなく無事一日が終わりました。
帰りは貸切バスで歌舞伎座までゆくことになっておりましたが、私はそれですとかえって遠回りになってしまいますので、予め断っておいて、電車で帰りました。JRと京成本線で約二時間。千葉といっても広いですからねえ。松戸公演とはえらい違いでございます。

さて、巡業もあと一日となりました。何度も書いておりますことですが、これまで無事に舞台を勤められたこと、得難い勉強の場を与えて頂いたこと、そして沢山の楽しい思い出を作れたこと、あらためて感謝する次第です。有終の美となりますよう、明日も一生懸命勤めさせて頂きます。