梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

巡業日記11・康楽館とお別れの巻

2005年07月10日 | 芝居
古き良き芝居小屋「康楽館」とも今日でお別れです。連日大入り満員、有り難いことでございました。
三日間の滞在、朝晩の食事はホテルでとりましたが、楽屋にいる間の昼食は、康楽館の売店(本来は観客用)で頂きました。近くの飲食店から出前もできるのですけれど、ほとんどの出演者、スタッフさんは、皆この売店を利用しておりました。
メニューはうどんと蕎麦が幾種類かずつ。ただそれだけといえばそれまでなんですが、楽屋の横の庭にテーブルとベンチがおいてありまして、ここでみんなが集まって食事する。この雰囲気がなんとも言えず旅芝居っぽくて楽しいんですよ。一日目と三日目の今日は曇りや雨だったのですが、昨日はこの旅に出てから久しぶりの晴天、お日さまの下で食べるのは、本当に気持ちが良いものでした。
ここの売店はデザートもあります。小坂町の名産アカシア蜂蜜を練り込んだソフトクリーム、地元で採れた山ぶどうと牛乳のシャーベット、そしてぶどうだけのシャーベット。これが幕内になかなかの人気。若い女性の付人さんはもとより、普段甘いものとは無縁そうな役者達さんも、連日食べておりましたね。かくいう私は大の甘党なので、三日間ですべての甘味を堪能しました。

今日の夜の部は、上演中から撤収作業でバタバタいたしました。康楽館からバスで盛岡駅、それから新幹線で本日の宿泊地郡山への移動なのですが、もし遅くなると配布の指定切符の時刻に間に合わないおそれがあったからです。常にせわしないのが巡業の撤収ですが、今日はとりわけです。そのおかげでしょうか、師匠梅玉をお見送りした五分後には撤収完了、私達が乗るニ便のバスが、団体ツアーで来たお客様の乗ったバスと、ほぼ同時刻に出発できたのですから、これはみんなの努力の成果、ですね。

新幹線での夕食となりましたが、盛岡駅で買った、伯養軒謹製『特製誂え弁当 大人の休日―いわて食の道楽―』、これがなかなか美味しゅうございました。岩手の名物、食材をふんだんに使用した献立ですが、三陸秋刀魚の甘露煮、まいたけと凍み豆腐の煮物、胡麻胡桃、三陸ウニとイクラのおむすびなどなど、お腹いっぱいになりました。
九時半過ぎにホテル『郡山ビューアネックス』にチェックイン。
これから仲間達とダーツをしに街へくり出します。
今日から三日間の宿泊です。明日は「休演日」! どこへ行きましょうかね。