梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

巡業日記19・鈴鹿の巻

2005年07月22日 | 芝居
本日は三重県鈴鹿市『鈴鹿市民会館』での一回公演でした。ホテル前を午後一時に出発、約九十分で到着いたしました。
今日の中部地方はどこも三十度を越える猛暑だったようですね。鈴鹿も例にもれず、うだるような暑さでした。楽屋は冷房が効いて過ごしやすかったのですが、舞台が暑い暑い! 蒸し風呂の中でお芝居をいたしているような感覚でございました。
会館によって、「舞台の温度」は随分違うものです。理由として第一にあげられるのは、「照明」ですね。明るく見せるようにすればするほど、熱量の高い照明を使用するわけですし、その取り付け位置が舞台に近ければ近いほど、その熱は我々出演者に直に伝わるのです。会館ごとに、使用している照明の種類、取り付け数、位置は変わってきますから、舞台に出てみないことにはその暑さはわからないものなのです。
この巡業中にも、天井が低いため、頭上すぐの距離から熱気が襲ってきた所、客席の左右から、野球場のナイトスタンドみたいに照らされた所など、様々なパターンで我々は汗をかいてまいりました。
しかしながら、そうした照明は、すべて今回巡業に同行していらっしゃる照明さんが、現地のスタッフさんと共に、「この会館のこの舞台で、どうしたらお客様に見やすい明るさを作れるのか」と考えて下さった結果なのでございます。多少の暑さで不満を言っている場合ではないわけです!
もちろん、照明だけが原因ではなく、舞台裏の空調設備の問題、あるいは建物の構造で外気が侵入しやすいなどの理由も考えられますが、どちらにしましても、夏は暑くて当たり前。ようはお客様に一時でも暑さを忘れていただけるような、素敵なお芝居を演じることができたら一番です。

私などは未熟者ゆえ、いつも自分で「冷や汗」「脂汗」をかいてばかりなのですが…。