梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

巡業日記12・磐梯熱海でポカポカの巻

2005年07月11日 | 芝居
一日お休みの今日は、先輩のお誘いで、磐梯熱海温泉を訪れることになりました。
昼から夕方までは一時間に一本しか発車がない「磐越西線」の、午後十二時十分発、会津若松行きに乗り、十五分で磐梯熱海駅に到着です。熱海といえば神奈川県の温泉街ですが、なぜここ福島にも熱海があるのかと申しますと、鎌倉時代に伊豆の国から移り、この地を治めることになった伊東氏が、豊富な温泉に恵まれた新領地に、自らの生まれ育った地をしのんで、熱海の名をつけたのだそうです。ちなみにその領主となったのが、『曽我対面』でお馴染みの工藤左衛門祐経の息子だというのですから、なにか因縁を感じます。

まずは当温泉の源泉にある「源泉神社」へ参ります。磐越西線に沿って流れる五百川を上流へと向かいまして、途中から「蓬山遊歩道」に入ることにいたしました。遊歩道とはいっても、登り下りも結構多く、周りは木々に囲まれて、ちょっとしたハイキング気分です。<マムシ注意>の看板におびえながらも、十分ほどでもとの通りに出ました。出たところがちょうど神社の入り口、神社はオオヤマツミの神とお稲荷様、そしてこの地から湧き出る温泉を合祀する素朴なお社でした。
このそばに、無料で入れる「立ち寄り足湯」がございました。さっそく歩き疲れた足を浸します。やや熱めですがそれがかえって気持ちよく、おりから空は晴れ、涼やかな風が吹き込み、気分爽快。居合わせた旅行客同士の会話に、訛りが聞こえてくるのも、いかにも旅の温泉地の雰囲気です。

続いては立ち寄り湯をするためのお宿を探しながら、国道四十九号線を歩きます。温泉宿の他には何もないような鄙びた町並み。いくつか廃虚になった建物も見られますが、それもまたある種の風情と感ぜられるのは、ちと思い込みが強すぎましょうか? …磐梯熱海駅へ戻るように進み、ほぼ駅前に「温泉本舗 きらくや」というお宿があり、ここに立ち寄ることにいたしました。入浴料五百円。小さいながらも趣のある造り、露天風呂もありまして、なかなか楽しめました。泉質はアルカリ単純泉。すこしぬるりとした滑らかな湯触り。肌に優しそうです。露天風呂は使い込まれた木の湯舟。生け垣で囲まれた、季節の花が咲く庭の中で、半身浴でのんびりとした時間を過ごしました。お湯がぬるめになっているので、のぼせの心配もございません。

これだけで終わってはつまりません。今度は近年建てられたというスパ温泉「郡山ユラックス熱海」に。駅を通り越し反対の方向に十分ほど歩くと、巨大な近代建築が見えます。こちらはスパ、スポーツ施設、そして他目的ホールが一緒になった、一大複合施設でして、同じ敷地内には「磐梯熱海アイスアリーナ」もありました。
さてこのスパは、先程とはうってかわって広々とした空間に、打たせ湯、寝湯、ジャグジー、サウナ、露天風呂と揃っております。平日の三時ごろということもあり、お客さんはちらほら。おかげでゆっくりできましたが、こういう大浴場では、衛生上いたしかたないことながら、塩素が入っているのが、残念といえば残念でございました。
湯上がり後はもちろんビール! 今日は仕事はお休みでございますからね。館内のレストランで、昼食と共にジョッキでゴクゴク。至福の時でした。食後のお喋りに一通り花が咲いたところで、もう一度入浴し、午後五時前に施設を出ました。帰りの電車は午後五時三十五分。六時過ぎにはホテルに到着となりました。

今日一日で、体の疲れがずいぶんほぐれました。今この文章を書いている間も、なんだかポカポカがまだ残っているようです。さあ、これでリフレッシュができました。明日からの舞台も、ますます頑張れそうですよ!