梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

巡業日記番外・旅の総勢

2005年07月07日 | 芝居
ここでちょっと、今回の旅の総メンバーを御説明しておきましょう。より皆様のイメージがリアルになるかもしれませんね。
まず『俳優』。幹部さん、名題さん、名題下あわせてちょうど三十名。
それから幹部俳優さんの『付人』さんが七名。
同じく幹部俳優さんのマネージャー的な仕事をする『番頭』さんのうち、全行程に同行するのが三名。
次に音曲関係では、
『長唄』さんが八名。
『鳴り物』さんが五名。
『清元』さんが六名。
『竹本』さんが四名。
それからスタッフは、
『衣裳』さんが三名。
『床山』さんが五名。
『大道具』さんが六名。
『小道具』さんが二名。
『照明』さんが一名。
『運送』さん(トラックでの荷物運搬)が四名。
そして
『狂言作者』さん(「柝(拍子木)」を打ち、舞台進行をとりしきる)が一名。
『頭取』さん(楽屋内の庶務いっさいをとりしきる)が二名。
『事務局』(宿の手配や移動の段取り、その他あらゆる事柄の窓口になって下さる、松竹株式会社演劇部演劇営業課の方)が三名。
以上、計八十六名が、今回の巡業の総勢となるのです。

移動は基本的に団体行動です。しかしながら、出番の遅い早い、用事のあるなしによって、楽屋入りの時間も各人さまざまですので、一行を二つに分け、出発時刻をずらしての移動がほとんどです。
例えばわれわれのような弟子の立場の者は、師匠の楽屋作りがありますので、開演の二時間くらい前に会場に到着する<一便>のバス、あるいは電車に乗り、そういう仕事をしなくてもよい方や幹部俳優さんは、開演約一時間前に到着の<二便>を利用する、という具合です。帰りも同様で、早くに出番がすむ方達は<一便>、そうでない方は<二便>となります。
また幹部俳優さんは、時に応じてタクシーなどを使用し、一行とは別となることもございますし、大道具さん、照明さんは、搬入と仕込み、あるいは撤収に時間がかかることも多いので、本隊とは別の行程で移動することもままございます。

…ほぼひと月を、移動から舞台から、ともすれば食事まで、同じメンバーと共にするわけで、考えてみればよく飽きないなあと思いますけれど、会場や宿が変わるから、それほどマンネリを感じなくてすむのでしょう。
なによりも、東京では味わえない「旅の空」の解放感。この楽しさに尽きますね。