梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

巡業日記22・塩尻の巻

2005年07月26日 | 芝居
本日は長野県塩尻市『塩尻市文化会舘 レザンホール』での一回公演でした。
午後六時十五分開演という、遅いスケジュールでしたので、私達は午後一時に新宿を出る「あずさ十九号」で塩尻へと向かったのですが、おりからの台風のあおりをうけ、これ以降の「あずさ」はみな運休になってしまいました。私達は運良く間一髪で間に合ったわけですが、実は大部分の幹部俳優さん、演奏家さんは、第二便として、我々より一時間あとの「スーパーあずさ」に乗ることになっていたのです! 運休となってしまった以上は仕方がありません。急遽二便の一行は、「長野新幹線」で松本駅、そこから在来線で塩尻駅というコースに変更となったのですが、到着する時間は大幅に遅れ、結果として、開演時間を十五分遅くして芝居をあけました。しかしながら、遅れてしまったとはいえ、無事に全員が揃ったのですから、これは非常にラッキーなことで、もし新幹線や在来線まで停まってしまったらと考えると、とんでもない事態が想定されるわけで、ともかくも幕を開けることができ、本当に良かったと思います。
開演が遅れたこともあり、今日の終演は午後九時をまわりました。撤収後は貸切バスで松本へ。『ホテルブエナビスタ』が今夜の宿でございます。
今晩が、この巡業での最後のホテル生活となります。これからは東京近郊の公演ばかりで、自宅からの「通い」になります。そういうこともあって、一つ今夜は、ひと月に渡る巡業の打ち上げをやろうじゃないかということになり、私達名題下俳優を中心に、大道具さん、衣裳さん、床山さん、小道具さん、付人さん、そして清元節の方まで、総勢三十余名が揃っての大宴会が、ホテル近くの居酒屋さんで行われました。十時半過ぎの開始でしたが、皆さんよく飲みよく食べよくしゃべり、あっという間に日付けが変わりました。閉店後も、まだまだ意気軒昂の勇士達は、二次会としてカラオケにくり出すこととなり、もちろん私も参加。なんと延々四時間半、午前四時半まで十数人が歌い続けたのでございます。これはひとえに、日付け変わった二十七日が、仕事のない「移動日」だからこそできる荒行でございましょう。私も、福山やサザン、あるいはスマップ、TMNなど、少ないレパートリーから無理矢理ひねり出した駄声を臆面もなく披露してしまいましたが、聞いている人の気持ちを考えなければ、ただ無心に歌うことほど、気持ちのよいことはございませんね。

実はこの文章を書いているのは午前五時なのでございます。これから一寝入りとなるのですが、折角信州に来たので、諏訪大社にお参りしてから東京に帰ろうと思っております。となると午前中にはここ松本を発たねばならず、睡眠時間はいかほどに…?
体力の続く限り、巡業は満喫したいものでございます。