第6詩集。119頁に25編を収める。
作品は固い言葉でおおわれており、醜いものをこれでもかと突きつけてくる。それは卑猥なものであったり、煩雑なものであったり、汚濁なものであったりする。私たちが無意識のうちに避けようとしてしまうものを、意識的に探し出しては検証している。そこから初めてあらわれるものが作者には必要だったのだろう。
魚は陰部の泉にゆっくり放たれ
酸欠にあえぎながら
香油を湿らせた中心部をいまにも食いちぎろうとしている
自らの美貌をうまく飼いならしても
世界はコトリともせず
宇宙の車輪を空回りさせるだけだ
(「ヘリオガバルスの汁」より)
作者は「痛みが着地するところはどこだ?」(「すりぬける」より)と探している。”闇の割れ目”にすでにいるのだろうか。それともそこで起こることを構築することによって作者自身の”闇の割れ目”を造りあげようとしているのだろうか。
ああ、良く寝た日だったとつぶやいたそば
から睡魔は砂時計のように指からこぼれ
おち、突風に加担していく。陰謀も無謀も
はらはらと美しく宙に舞い、奇妙なリズ
ムで侵入を図るのだが、外では一滴も流
れない血が、底の内部ではどくどくと孤
独に流れている。
(突風の底へ」最終部分)
読んで愉しくなるような作品では決してないのだが、それでも書きつけて突きつけてくる重さを、確かに感じる。
作品は固い言葉でおおわれており、醜いものをこれでもかと突きつけてくる。それは卑猥なものであったり、煩雑なものであったり、汚濁なものであったりする。私たちが無意識のうちに避けようとしてしまうものを、意識的に探し出しては検証している。そこから初めてあらわれるものが作者には必要だったのだろう。
魚は陰部の泉にゆっくり放たれ
酸欠にあえぎながら
香油を湿らせた中心部をいまにも食いちぎろうとしている
自らの美貌をうまく飼いならしても
世界はコトリともせず
宇宙の車輪を空回りさせるだけだ
(「ヘリオガバルスの汁」より)
作者は「痛みが着地するところはどこだ?」(「すりぬける」より)と探している。”闇の割れ目”にすでにいるのだろうか。それともそこで起こることを構築することによって作者自身の”闇の割れ目”を造りあげようとしているのだろうか。
ああ、良く寝た日だったとつぶやいたそば
から睡魔は砂時計のように指からこぼれ
おち、突風に加担していく。陰謀も無謀も
はらはらと美しく宙に舞い、奇妙なリズ
ムで侵入を図るのだが、外では一滴も流
れない血が、底の内部ではどくどくと孤
独に流れている。
(突風の底へ」最終部分)
読んで愉しくなるような作品では決してないのだが、それでも書きつけて突きつけてくる重さを、確かに感じる。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます